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第二章 「家族の想い」と「新たな路」

修行の日々4

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「やあ、君が噂のレイシェン君かい?ルーリスの話通り、きれいな髪と目をしてるね~。それに、まだ一歳と少しだったっけ?なのに法律書を読んでるの?すごいね~。」

本を読んでたら、いつの間にか、右に知らないおじさんが座っていた。誰だろう…。

「…?」

「あれ、その感じだと、もしかして小生が誰かわからない?おっかし~な~…?」

僕が、疑問を抱いているのが分かったのだろうか。
おじさんは、けげんな顔をして、頭をかいている。
もしかして、これが不審者というやつなのだろうか…。

「ユーリ様~?どこにいらっしゃるのですか~?」

すると、図書室の外から慌てたような執事長の声が聞こえた。

「はいは~い。ここだよ~。」

隣の人がのんきな声で答えた。どうやら、ユーリという名前らしい。
でも、なんでこんなところにいて、呼ばれてるんだろう…?それに、どこの誰?

コンコン

「失礼いたします。レイシェン様、ユーリ様がこちらに…ってこちらにいらっしゃいましたか。ユーリ様、応接室で待つように旦那様がおっしゃっていたはずですが?…とにかく、食堂にて旦那様方がすでにお待ちです。晩餐を共にとのことですので早くお戻りください。」

「はいはい。ごめんなさいね。」

「レイシェン様も、ご夕食の時間ですから、一緒に食堂にいらっしゃってください。」

「は~い。ねえ、執事長?このおじさんは誰?」

気になっていたことを聞くことにする。執事長が呼んでたんだから、不審者ではないだろうけど。

「ちょっと~、おじさんはひどいよ。まだ、お兄さんの年齢だよ~。」

隣で何かずれたことを言っている人がいる。

「あ~…、食堂にて旦那様にお聞きください。今は、私から何も申し上げないほうがよろしいかと。」

困った顔の執事長に断られてしまった。
いつもは、こんなにつまらないのに珍しい。
そんなに、言わないほうがいい人なのだろうか…?ちょっと疑ってしまう。

「それじゃあ、そろそろ行こうか。レイシェン君。」

いつの間にか、おじさんが立ち上がってドアのほうに移動しようとしていた。

「…誰かも分からない、あなたには言われたくないのですが…。まあ、母上たちを待たせるのはいけないので行きましょうか。」


というわけで、執事長の後ろについて、食堂に向かった。



おじさんがよくわからない鼻歌を歌っている…。この感じだと、昔母上が歌ってくれた子守唄に似てるんだけど…。

「音、外れているよ。」

「え…。」

ふふふ…、ショックを受けた顔をしてた。

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