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第二章 「家族の想い」と「新たな路」
修行の日々10
しおりを挟む僕が養子に行くことが決まってから、あっさりと二カ月が過ぎました。
今日まで、父上はたまっていた有休をすべて使って仕事を休み、家族四人で一緒に過ごしました。
ピクニックに行ったり、職人街に遊びに行ったり、行きつけの商店で色々買ったり…。
いっぱい思い出を作りました。
そして、今日。兄上の従騎士認定試験当日です。今は、父上・母上と兄上の試験が終わるのを会場の待合室で待っています。試験会場は受験者しか入れないのです。
兄上の試験が終わったら、そのまま僕は叔父上のもとに行く予定ですし、兄上は試験に受かったら家には帰らずに騎士団の宿舎に入らねばなりません。荷物だって叔父上のもとにもう送ってあります。養子にする届もとっくに終わっています。だから、今日が家族全員が一緒にいられる最後の日ともいえるのです。
でも、思い出もたくさん作りました。だから、大丈夫です。別れの場では泣かないって決めましたしね。死にさえしなければ、必ず再び会えるわけですし。
それに、僕と兄上は夢に向かってまた一歩踏み出すのです。喜ばしい日でもあるのですから。
それから、兄上と夢を語り合う機会がありまして、また新しい目標を立てました。
「兄上が騎士団長に、僕が宰相になって、肩を並べてこの国を支えること」です。今はまだ荒唐無稽としか言えないでしょう。でも、いつかは必ずかなえられると信じています。
それよりも、兄上は試験に受かったでしょうか…?
あ、兄上が待合室に戻ってきました。
「兄上、お疲れ様です。試験はどうでしたか?」
「……もちろん合格だよ、それどころか試験官の騎士を倒してきた。今日から私も従騎士だよ。」
「お疲れ、カーウェル。でも、試験官はある程度手加減している。勝てたからといって慢心はしないように。それに、これからが大変なんだからな。気を緩めずに頑張りなさい。」
「そうですわね。これからも頑張るのよ。」
「わかっていますよ、父上、母上。今は、私の試験結果よりも、叔父上を探さなくては…。」
「ああ、小生ならもうここにいるよ~。家族の場を邪魔したらいけないかと思って黙ってたんだよ~。」
いつの間に父上の後ろにいたんですね…。気づきませんでしたよ。
「ユーリ殿!?いつの間にそこにいたのですか?」
兄上も驚いている。
「カーウェル、もう少し周りを見たほうがいいと思うぞ。お前が戻ってきた少し後にはここにいたぞ。」
「し、失礼しました。」
「いいんだよ~。まあ、今後は頑張りなよ。さて、レイシェン君。そろそろ、家族との別れは惜しみはもういいかな?」
「…もう少しだけ…。」
「そう。」
「ユーリ殿、レイを頼みます。」
「小兄様、レイを傷つけたら許しませんからね。」
父上と母上が言う。
「もちろんだよ。小生は決して傷つけたりはしないと約束しよう。」
「なればよいのです。」
叔父上は馬車の用意をさせるといって先に廊下に行った。別れを惜しむのに気を使ったのだろう……か?
「レイ、これから離れ離れになるけどお互い頑張ろうな。」
兄上が僕にいってきた。涙目になっている気がするけど気のせいかな?
「ええ、必ず夢をかなえて再会しましょうね。それに、涙は見せないのが約束ですよ!」
「泣いてないよ!これは……心の汗だよ…。」
心の汗って…。
「兄上、それならいいのです。僕は精一杯頑張りますから兄上も挫けちゃだめですよ。それじゃあ、再開する日を楽しみにしていますね。」
「ああ、私もだよ。」
「レイ、頑張ってね。体には気を付けて。」
母上も涙目でいう。
「文官として、俺らと肩を並べる日を楽しみにしているぞ。」
父上は僕の肩をたたきながら言ってきた。
「父上、痛いです。……道は違えど、いつか父上に追いついて見せましょう。それじゃあ、行ってきます!!」
「「「行ってらっしゃい、レイ!」」」
さんざん屋敷で別れを惜しんだためか、あっさりと終わりました。
僕は、待たせてしまっている叔父上のもとに駆け出します。
路は分かたれた、されどいつかは必ず交わるだろう、だからしばしの別れを。
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