霧幻の冒険者~最強冒険者の自由気ままな生活~

きぃゔぃ

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霧幻、過去を追想?

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 彼女は生まれながらに孤独だった。

 赤子のころに、孤児院の前に捨てられていたところを、孤児院のシスターに拾われたのが彼女の始まりだった。
 拾われてから少しして、彼女の固有能力が初めて発現した。

 それは、年少組の子供たちが、外でボール遊びをしていた時、ボールが彼女に向かって飛んできたときのことだった。

 自衛のためであろう、幼いとはいえ人としての防衛本能が働いたのか、彼女はボールに向かって手を伸ばした。
 そして彼女の手がボールに触れたとき、そのボールが霧のように霧散した。

 まだ幼い彼女は、自分が何をしたのか理解ができなかったようだが、周りの子供たちは、少しは理解ができてしまったようで…

 その日を境に、彼女に近づく人間は、一人もいなくなった。
 それ故に、彼女は『愛』を求めた。

 始まりが仮初だろうとも、真の親愛を欲した。
 それ故に、彼女は『力』を極めた。

 森羅万象彼女に敵うものがなくなった時、彼女は世界の真実を知った。
 愚かな生物たちに絶望し、抗うすべを編み出した。
 代償として、終わりない生を受け入れて。





 ~ミリアSIDE~

 私は、王都から遠い寒村に生まれました。
 村にこれといった特産品もなく、村人みんなが、日々細々と農業にいそしんでいる貧しい村です。

 そんな村ですから、食い扶持減らしとして、毎年村の誰かが借金奴隷として売られていきました。私も今年、とうとう売られることになってしまいました。

 以前から覚悟していたことですし、私は受け入れていました。
 自分で言うのもなんですが、日々の食事量が少ないせいか、体は細いのですが、胸はほどほどに大きく、村の中では一番の美人と評判でした。

 それもあってか、引き取られた商館では、高級奴隷という枠組みで、村にいたときよりもいい暮らしをさせてもらいました。

 日々の食事は、おなかいっぱいまで食べれるようになりましたし、必要な教養として、計算や文字の勉強…そのほかにもいろんな勉強をさせてもらいました。

 商館で他の奴隷の方たちと教育期間を過ごして半年ほどたった時、とうとうその時が来ました。女性の高級奴隷を何人か買う、という注文をしたお客様が来たそうです。

 交渉部屋に行くまでのみんなの顔は、少し暗かったような気がしました。
 それもそうでしょう。高級奴隷を複数人、それも女を注文するということは、どこかの好色なお貴族様である可能性が高いのです。

 貴族に買われるのにも、ピンキリあると聞きますから、皆不安だったのでしょう。
 ですが実際に交渉部屋にいたのは、かわいらしい小さな女の子でした。

 その女の子は、立ち並ぶ奴隷たちの胸を見比べて、次に顔を順番に見比べました。
 目が合ったのは気のせいでしょうか?

 …結局買われたのは、私と元冒険者のカオンさん、それからいつもぼーっとしている、ドワーフ族のルルゥさんの3人でした。
 …あの時胸を見比べていたのは、そういうことなのでしょうか?

 そして、ご主人様の正体は、かの高名な冒険者”霧幻”のミスト様でした。
 故郷の村で過ごしていた時でさえ、その名を聞いたことがありました。
 曰く、災害指定種の魔物を、拳一撃で屠ったとか…

 他にも、数々の伝説を作ったすごい冒険者さんです。
 …そんなすごい冒険者さんに買われて、少し不安に思っていたのですが、そんな不安もすぐ吹き飛びました。

 高圧的でもなく、私たち3人を安心させようと、色々と尽くしてくださいました。
 これからお世話になりますし、私も尽くしてまいりましょう!












 ~カオンSIDE~

 私は、普通の狼人族の里で生まれて、成人まですくすく育ったんだ。
 里の外に出たかった私は、里を飛び出して、生活のために冒険者になった。

 元々里の狩りの手伝いなんかもしてたし、腕には自信があったから、ランクはとんとん拍子で上がっていったな~…

 それで、Dランクに上がって、もうすぐでCランクに上がるって時くらいだったかな…初めての指名依頼が入ったんだ、それもお貴族様から!

 でも、私の勘がこれは危険だって告げてたんだよ。
 だけどお貴族様からの依頼だからってんで、断れなかったんだ。

 詳しくは話せねぇけど、そこからどんどん雲行きが怪しくなっていったんだよな~
 結果的に、だれもが憧れる冒険者”霧幻”のミストに買われたから、結果オーライってやつだけどよ…

 まぁ、せっかく懐の広い主人に買われたんだ!
 これからの人生楽しくなりそうだ!









 ~ルルゥSIDE~

 私は、もともとドワーフ王の治める、鍛冶の国”メタリア”出身の鍛冶師…家族とのちょっとしたいざこざがあって、国を出たのはいいけど…

 私はあまり人と話すのが、得意じゃないから、結局あくどい商人にはめられて、奴隷になっちゃった……鍛冶仕事が出来なくなったけど、多少いい暮らしができるようになったから、まぁいいかなって思ってた。

 …今日、とうとう私の主が決まった。
 ……しかも、なんと!あの”メタリアの英雄”‼ミスト様が私の主になる人だった!

 メタリアの英雄っていうのは、3年前メタリアを襲った、災害指定種の魔物、『魔獣ベヒモス』をたった一人で退けたときに、メタリアの住人が呼ぶようになった呼び名のこと。

 ……ちなみにベヒモスっていうのは、世界最高硬度を持つといわれている、神結晶《オリハルコン》で造られた武具でさえ、傷をつけるのがやっとな鎧のような甲殻を持つ魔獣……

 それを拳一振りで討伐したものだから、当時のメタリアの住民は…特に鍛冶師のおじさんたちは、こぞってミスト様のところに押しかけていったっけ……
 私はなんだか恥ずかしくて声をかけれなかったけど……

 ……でもこれからは、毎日ミスト様と一緒なんだ‼楽しみ!
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