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1章
【第3話】モフる側とモフられる側
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3羽のホーンラビットは、圧倒的な魔力をもっている僕の存在に気づいている。 それなのに、逃げるどころか、まっすぐこちらに向かってくる。
(なんでだ……?)
僕はフェンリル。相手はホーンラビット。 食物連鎖で言えば、僕が圧倒的上位のはずだ。
【魔力感知】スキルが、3羽にまったく敵意がないことを伝えてくる。 それどころか、なにか……ウットリとしたというか、熱っぽい視線を感じるような……。
「ピョン、ピョン……」
岩陰から警戒しつつ見守っていると、ついに3羽は僕の目の前までやってきた。 そして、そのうちの一匹がサモエドカフェの「凛」が常連客(僕)にしていたように、僕の足元(前足)に、おそるおそる頭をスリ、と擦りつけてきた。
「ピィ……(うっとり)」
(―――は!?)
僕は衝撃で固まった。 擦りつけられたその毛並み感触。
「ピィ!」「キュン!」
一匹が始めたのを合図に、残りの二匹も我先にと僕の身体に駆けよってきた。 一匹は僕のふかふかの尻尾に抱きつき、もう一匹は僕の脇腹に顔をうずめている。
(こ、これが……「モフられる」ということなのか……!?)
ブラック企業時代、僕が「凛」にやっていたことを、今、僕がホーンラビットたちにやられている! 僕がやりたかったのはこっち(モフる側)なのに!
「グルルゥ!(なんで僕が『モフられる側』なんだよ!!!)」
思わず唸り声を上げてしまった。 すると、3羽のホーンラビットたちはビクッと動きを止めた……かと思いきや、むしろ嬉しそうに「ピィ!」「キュン!」と鳴き、さらに激しく僕の毛皮にスリスリと身体を擦りつけてきた。
(……あれ? もしかして、今の唸り声、「もっとやれ」っていう催促に聞こえたのか?)
違う違うそうじゃない、もふりたいのは僕の方なんだ。
そうこう考えている間に、脇腹に顔をうずめていた一匹が、僕の毛並みに満足したのか、「くぅ……」と幸せそうな寝息を立て始めた。 尻尾にじゃれついている一匹も、楽しそうだ。
(……あれ?)
うさぎ達の体温が、僕の毛皮を通してじんわりと伝わってくる。 温かい。 ブラック企業で擦り切れきた心が、ゆっくりと解かされていくような、不思議な感覚。
(……悪くない、かも……)
サモエドの「凛」も、僕にモフられている時、こんな気持ちだったのだろうか。 モフる側の至福は知っていたが、まさかモフられる側もこんなに幸福になれるなんて。
「キュ?」
僕が(モフられながら)うっとりしかけていると、足元のホーンラビットが不思議そうに僕を見上げてきた。
(いやいや、おちつけ)
一旦我に返る。 いくら僕が魅力的な「もふもふ」だからといって、なぜ野生の魔物がこんなにも無防備に近づいて僕をモフり倒しているのか? 僕はもう一度「ステータスオープン」と念じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前: (なし)
種族: フェンリル(幼体)
レベル: 1 状態: 良好(うさぎに懐かれている)
スキル:
・【神速(幼)】
・【氷結の息吹(弱)】
・【魔力感知】 ・【鑑定】
・【アイテムボックス】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(あれ?、さっきよりも増えているような?)
さっきの時点では表示されていなかったスキルが二つもある。 【鑑定】と【アイテムボックス】。おそらく、「ステータスオープン」と単に念じただけでは主要な戦闘スキルしか表示されなかったのかもしれない。
(ともかく、これでサバイバルが楽になる!)
いやいや、今の問題はそこじゃない。 なぜこのホーンラビット達は僕にこんなにも懐いているんだ?
(このなつき方は異常だ、絶対に何かあるはずだ。僕の「もふもふ」への情熱が、何か特殊なスキルを生み出しているのかもしれない!)
僕が強く「能力を知りたい!」と念じると、ステータスウィンドウが淡く光り、スキル欄の下に隠されていた一行が、ゆっくりと浮かび上がってきた。
・【もふもふ愛(極)】
(これか?!!)
僕は、そのスキル名に意識を集中させる。 するとウィンドウに詳細が表示された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【もふもふ愛(極)】 前世で培われた「もふもふ」への異常なまでの愛情がスキル化したもの。
効果①:鑑定(もふもふ) 対象(もふもふ限定)の生態、食性、生息域、性格など、図鑑レベルの詳細情報を瞬時に把握する。汎用の【鑑定】スキルでは分からない情報も含まれる。
効果②:魅了(もふもふ) 自身の「もふもふ(神獣補正)」に比例し、格下の魔獣(特に毛皮を持つ種)を強烈に魅了し、敵意を喪失させる。(現時点では小型の魔物・動物のみ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(そういうことか!)
きっと僕のサモエドカフェ通いが影響しているのだろう! 既に【極】に至っているとは。伊達に通い続けていただけはあるな。
(汎用の【鑑定】スキルとは別に、もふもふ専門の「図鑑」スキルまであるのか…なんて素晴らしい…)
いやいやおちつけ。ここにある効果②:「魅了」。 きっと、このホーンラビット達は、この効果の前に、戦意を失い、メロメロにされているわけだ。
「ピィ……」
僕の足元で、3羽のホーンラビットが幸せそうに身を寄せ合っている。
(……これって、つまり)
僕は自分のスキルと、目の前の光景を交互に見比べた。
(テイマーにはなれなかったけど、テイマー(魅了)スキルはゲットしてる……?)
(なんでだ……?)
僕はフェンリル。相手はホーンラビット。 食物連鎖で言えば、僕が圧倒的上位のはずだ。
【魔力感知】スキルが、3羽にまったく敵意がないことを伝えてくる。 それどころか、なにか……ウットリとしたというか、熱っぽい視線を感じるような……。
「ピョン、ピョン……」
岩陰から警戒しつつ見守っていると、ついに3羽は僕の目の前までやってきた。 そして、そのうちの一匹がサモエドカフェの「凛」が常連客(僕)にしていたように、僕の足元(前足)に、おそるおそる頭をスリ、と擦りつけてきた。
「ピィ……(うっとり)」
(―――は!?)
僕は衝撃で固まった。 擦りつけられたその毛並み感触。
「ピィ!」「キュン!」
一匹が始めたのを合図に、残りの二匹も我先にと僕の身体に駆けよってきた。 一匹は僕のふかふかの尻尾に抱きつき、もう一匹は僕の脇腹に顔をうずめている。
(こ、これが……「モフられる」ということなのか……!?)
ブラック企業時代、僕が「凛」にやっていたことを、今、僕がホーンラビットたちにやられている! 僕がやりたかったのはこっち(モフる側)なのに!
「グルルゥ!(なんで僕が『モフられる側』なんだよ!!!)」
思わず唸り声を上げてしまった。 すると、3羽のホーンラビットたちはビクッと動きを止めた……かと思いきや、むしろ嬉しそうに「ピィ!」「キュン!」と鳴き、さらに激しく僕の毛皮にスリスリと身体を擦りつけてきた。
(……あれ? もしかして、今の唸り声、「もっとやれ」っていう催促に聞こえたのか?)
違う違うそうじゃない、もふりたいのは僕の方なんだ。
そうこう考えている間に、脇腹に顔をうずめていた一匹が、僕の毛並みに満足したのか、「くぅ……」と幸せそうな寝息を立て始めた。 尻尾にじゃれついている一匹も、楽しそうだ。
(……あれ?)
うさぎ達の体温が、僕の毛皮を通してじんわりと伝わってくる。 温かい。 ブラック企業で擦り切れきた心が、ゆっくりと解かされていくような、不思議な感覚。
(……悪くない、かも……)
サモエドの「凛」も、僕にモフられている時、こんな気持ちだったのだろうか。 モフる側の至福は知っていたが、まさかモフられる側もこんなに幸福になれるなんて。
「キュ?」
僕が(モフられながら)うっとりしかけていると、足元のホーンラビットが不思議そうに僕を見上げてきた。
(いやいや、おちつけ)
一旦我に返る。 いくら僕が魅力的な「もふもふ」だからといって、なぜ野生の魔物がこんなにも無防備に近づいて僕をモフり倒しているのか? 僕はもう一度「ステータスオープン」と念じた。
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名前: (なし)
種族: フェンリル(幼体)
レベル: 1 状態: 良好(うさぎに懐かれている)
スキル:
・【神速(幼)】
・【氷結の息吹(弱)】
・【魔力感知】 ・【鑑定】
・【アイテムボックス】
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(あれ?、さっきよりも増えているような?)
さっきの時点では表示されていなかったスキルが二つもある。 【鑑定】と【アイテムボックス】。おそらく、「ステータスオープン」と単に念じただけでは主要な戦闘スキルしか表示されなかったのかもしれない。
(ともかく、これでサバイバルが楽になる!)
いやいや、今の問題はそこじゃない。 なぜこのホーンラビット達は僕にこんなにも懐いているんだ?
(このなつき方は異常だ、絶対に何かあるはずだ。僕の「もふもふ」への情熱が、何か特殊なスキルを生み出しているのかもしれない!)
僕が強く「能力を知りたい!」と念じると、ステータスウィンドウが淡く光り、スキル欄の下に隠されていた一行が、ゆっくりと浮かび上がってきた。
・【もふもふ愛(極)】
(これか?!!)
僕は、そのスキル名に意識を集中させる。 するとウィンドウに詳細が表示された。
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【もふもふ愛(極)】 前世で培われた「もふもふ」への異常なまでの愛情がスキル化したもの。
効果①:鑑定(もふもふ) 対象(もふもふ限定)の生態、食性、生息域、性格など、図鑑レベルの詳細情報を瞬時に把握する。汎用の【鑑定】スキルでは分からない情報も含まれる。
効果②:魅了(もふもふ) 自身の「もふもふ(神獣補正)」に比例し、格下の魔獣(特に毛皮を持つ種)を強烈に魅了し、敵意を喪失させる。(現時点では小型の魔物・動物のみ)
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(そういうことか!)
きっと僕のサモエドカフェ通いが影響しているのだろう! 既に【極】に至っているとは。伊達に通い続けていただけはあるな。
(汎用の【鑑定】スキルとは別に、もふもふ専門の「図鑑」スキルまであるのか…なんて素晴らしい…)
いやいやおちつけ。ここにある効果②:「魅了」。 きっと、このホーンラビット達は、この効果の前に、戦意を失い、メロメロにされているわけだ。
「ピィ……」
僕の足元で、3羽のホーンラビットが幸せそうに身を寄せ合っている。
(……これって、つまり)
僕は自分のスキルと、目の前の光景を交互に見比べた。
(テイマーにはなれなかったけど、テイマー(魅了)スキルはゲットしてる……?)
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