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第二部
89話 敗戦ダイジェスト。そして……
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藤吉郎秀吉くんが考えていたのは「一夜城の建築」だった。
あー、それ聞いたことある!ここだったんだ!と私は興奮し、日奈も満足げに頷いた。
日奈が先に信長やみんなに伝えてもよかったんだけど、これは、秀吉がやる気を出さないとできないことだったらしい。
たしかに、聞いてみると色んな人の助けが要りそうで、藤吉郎くんの人柄や人望あっての作戦だ。
「こんなの成功するかわからないから、言いたくなかったんス!」とごねる藤吉郎くんをずいずいみんなの前に出して発表させると、信長も二つ返事でGOを出した。
とりあえず面白い策はやってみたいらしい。
で、まあここからはダイジェストでお送りしようと思います。
だって、珍しく敗戦続きなんだもん。
負け戦ばっかりなんて、つまらないよね。
まず、一夜城建築の事前準備の為、私達はまあまあ強固な装備を整えて、稲葉山城を目指した。
できたら攻め落しちゃおう、とやる気満々で、家康くんにも助力を仰いだ。
「君の為ならいいよ☆」とかる~い感じで後方支援をしてもらったのに……
「ストップストップ、退避ー!」
「どうしましたか、帰蝶様」
「あれ見えないの!?バックバック!戻って!逃げて!!」
「……なんスかあれ!?」
大砲だった。
私は一応身内だから、戦には参加しないでおこうと思っていたのだけど、藤吉郎くんが心配だったので下見にだけ参加することにしていた。
そうしたら、稲葉山城の城壁からにゅっと伸びる黒く大きな筒。どう見ても大砲が、私達を狙い見下ろしていたのだ。
どうやらこの時代にはかなり珍しい武器だったらしく、火縄銃に慣れた織田兵のみなさんでも、驚きを隠せず撤退に時間がかかり、それなりの損害が出てしまった。
私も、乙女ゲームで大砲が出てくるとかなんだそれ、と驚きを通り越して呆れた。
そして日奈も驚いた。
「ゲームだと戦はナレーションで勝敗のみしか出ないから、まさか大筒が出てくるとは……でも、斎藤が大筒作ってたなんて、記録にあったかなあ……」
「あ…………」
やべ、と私は気まずい顔をして逃げようとしたが、すぐに十兵衛と日奈にバレた。
私を捕まえられない十兵衛のかわりに、日奈が腕をぎゅっと掴んでいる。
「なんで大筒があるの?」
「帰蝶様が、作れと言いましたね」
「わー!だって、強い武器があった方がいいと思って!敵に回るって考えてなかったのー!」
嫁入りは決まってたんだから、気づけよ、と言う視線だった。前から後ろから刺さってくる。
十兵衛は、私が日奈と「ゲーム」とか「ナレーション」とか変な単語を出していても、周りの人同様に気にしなくなったらしい。それ以外の理解できる単語を読み取って、私を責める。
必死に謝りました。
「う、うちの大筒は出せないの?」
「無理ですね。あれは基本的には籠城用です」
「そぉねぇ。威力は申し分ないカンジ♡だけど、持ち運びができないのよねえ。帰蝶様が言うなら、信長様にも言われてるし、軽量化を進めさせておくわ」
「お願いします……」
さすがは織田信長。斎藤家より銃火器の導入が遅かったのに、もう大筒があるだけでなく、軽量化の指示まで!
私みたいに何も考えてないのかと思ったけど、やっぱり素養が違うのね。
でも一夜城が出来ても、向こうに大砲があったんじゃ意味がない。
せっかくやる気になってた藤吉郎くんも私も他のみんなも、やる気が急激になくなった。士気、ダダ下がり。
ダメ押しでもう一度攻めてみたけど、やはり大筒に怯える兵を従えただけじゃ、なんの意味もなかった。
家康くんにも「ごめんね。君のためになりたいけど、うちの兵も減らせないからさ~」とかる~い感じで支援を断られてしまった。
せめて、うちにもう少し勝機が見えないと、助けてくれないらしい。
「信長様~、どうするの?もう兄上イケイケすぎて隙もないわよ」
「ん?そんな欲しいのか、稲葉山城」
「欲しがってるのは信長様でしょ?」
「そうだなー」
柄にもなく弱音を吐く私に、信長はよしよしと頭をポンポンしてきた。
こいつ、女子が困ってるときは頭撫でときゃいいと思っている。イケメンだし一応夫だから許すけど。
それに、実際弱気になっていたので励ましてもらえるのは、少し、嬉しかった。
以前は、部下を気遣ったり妻に優しくしたり、なんて、他人の気持ちを推し量るのは苦手というかしないタイプだったけど、だいぶ大人な態度を取れるようになったのだ。
これは、部下に裏切られることなく天下統一も近いかな。
それには今立ちはだかるボス・義龍兄上を倒さなきゃなんだけど。
「じゃ、出かけるか!」
「どこへ?」
「そりゃあ、お楽しみだろ!」
「こんな戦時下にどこへ行かれるおつもりですか」
「ミツも来たいのか?できれば、蝶と二人きりが良いんだけどな」
「へ……」
ふたりきり。
そんなこと言うなんて、珍しい。
いつも、楽しいことは多い方がいい。お出かけなら大勢の方がいい。って言ってたのに。
「それって、デートってこと?」
「ん、そうだな、でーとだな!」
「あらまあ、デート!」
おばちゃんみたいな声をあげてしまったが、だって、前世を合わせても、生まれて初めてかもしれないのだ。
なんだか、ウキウキしてきたかも。
あー、それ聞いたことある!ここだったんだ!と私は興奮し、日奈も満足げに頷いた。
日奈が先に信長やみんなに伝えてもよかったんだけど、これは、秀吉がやる気を出さないとできないことだったらしい。
たしかに、聞いてみると色んな人の助けが要りそうで、藤吉郎くんの人柄や人望あっての作戦だ。
「こんなの成功するかわからないから、言いたくなかったんス!」とごねる藤吉郎くんをずいずいみんなの前に出して発表させると、信長も二つ返事でGOを出した。
とりあえず面白い策はやってみたいらしい。
で、まあここからはダイジェストでお送りしようと思います。
だって、珍しく敗戦続きなんだもん。
負け戦ばっかりなんて、つまらないよね。
まず、一夜城建築の事前準備の為、私達はまあまあ強固な装備を整えて、稲葉山城を目指した。
できたら攻め落しちゃおう、とやる気満々で、家康くんにも助力を仰いだ。
「君の為ならいいよ☆」とかる~い感じで後方支援をしてもらったのに……
「ストップストップ、退避ー!」
「どうしましたか、帰蝶様」
「あれ見えないの!?バックバック!戻って!逃げて!!」
「……なんスかあれ!?」
大砲だった。
私は一応身内だから、戦には参加しないでおこうと思っていたのだけど、藤吉郎くんが心配だったので下見にだけ参加することにしていた。
そうしたら、稲葉山城の城壁からにゅっと伸びる黒く大きな筒。どう見ても大砲が、私達を狙い見下ろしていたのだ。
どうやらこの時代にはかなり珍しい武器だったらしく、火縄銃に慣れた織田兵のみなさんでも、驚きを隠せず撤退に時間がかかり、それなりの損害が出てしまった。
私も、乙女ゲームで大砲が出てくるとかなんだそれ、と驚きを通り越して呆れた。
そして日奈も驚いた。
「ゲームだと戦はナレーションで勝敗のみしか出ないから、まさか大筒が出てくるとは……でも、斎藤が大筒作ってたなんて、記録にあったかなあ……」
「あ…………」
やべ、と私は気まずい顔をして逃げようとしたが、すぐに十兵衛と日奈にバレた。
私を捕まえられない十兵衛のかわりに、日奈が腕をぎゅっと掴んでいる。
「なんで大筒があるの?」
「帰蝶様が、作れと言いましたね」
「わー!だって、強い武器があった方がいいと思って!敵に回るって考えてなかったのー!」
嫁入りは決まってたんだから、気づけよ、と言う視線だった。前から後ろから刺さってくる。
十兵衛は、私が日奈と「ゲーム」とか「ナレーション」とか変な単語を出していても、周りの人同様に気にしなくなったらしい。それ以外の理解できる単語を読み取って、私を責める。
必死に謝りました。
「う、うちの大筒は出せないの?」
「無理ですね。あれは基本的には籠城用です」
「そぉねぇ。威力は申し分ないカンジ♡だけど、持ち運びができないのよねえ。帰蝶様が言うなら、信長様にも言われてるし、軽量化を進めさせておくわ」
「お願いします……」
さすがは織田信長。斎藤家より銃火器の導入が遅かったのに、もう大筒があるだけでなく、軽量化の指示まで!
私みたいに何も考えてないのかと思ったけど、やっぱり素養が違うのね。
でも一夜城が出来ても、向こうに大砲があったんじゃ意味がない。
せっかくやる気になってた藤吉郎くんも私も他のみんなも、やる気が急激になくなった。士気、ダダ下がり。
ダメ押しでもう一度攻めてみたけど、やはり大筒に怯える兵を従えただけじゃ、なんの意味もなかった。
家康くんにも「ごめんね。君のためになりたいけど、うちの兵も減らせないからさ~」とかる~い感じで支援を断られてしまった。
せめて、うちにもう少し勝機が見えないと、助けてくれないらしい。
「信長様~、どうするの?もう兄上イケイケすぎて隙もないわよ」
「ん?そんな欲しいのか、稲葉山城」
「欲しがってるのは信長様でしょ?」
「そうだなー」
柄にもなく弱音を吐く私に、信長はよしよしと頭をポンポンしてきた。
こいつ、女子が困ってるときは頭撫でときゃいいと思っている。イケメンだし一応夫だから許すけど。
それに、実際弱気になっていたので励ましてもらえるのは、少し、嬉しかった。
以前は、部下を気遣ったり妻に優しくしたり、なんて、他人の気持ちを推し量るのは苦手というかしないタイプだったけど、だいぶ大人な態度を取れるようになったのだ。
これは、部下に裏切られることなく天下統一も近いかな。
それには今立ちはだかるボス・義龍兄上を倒さなきゃなんだけど。
「じゃ、出かけるか!」
「どこへ?」
「そりゃあ、お楽しみだろ!」
「こんな戦時下にどこへ行かれるおつもりですか」
「ミツも来たいのか?できれば、蝶と二人きりが良いんだけどな」
「へ……」
ふたりきり。
そんなこと言うなんて、珍しい。
いつも、楽しいことは多い方がいい。お出かけなら大勢の方がいい。って言ってたのに。
「それって、デートってこと?」
「ん、そうだな、でーとだな!」
「あらまあ、デート!」
おばちゃんみたいな声をあげてしまったが、だって、前世を合わせても、生まれて初めてかもしれないのだ。
なんだか、ウキウキしてきたかも。
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