怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

文字の大きさ
125 / 242

しおりを挟む
「誠也。起きろって。星秀に逢いに行くんだろ?」



…んん…?慎都さんの声……。会いに行く…会い……に…。そうだ!!星秀さん!!!



「おっと、そんな勢いよく起き上がるなよ。体に悪いぞ。」

「おはよ…慎都さん。」

「おはよう誠也。」

「もう朝?」

「ああ。9時ぐらい。飯食って行こう。」

「うん。」



あれ…?体が痛くない。痛くないだけじゃない。体がなんか軽い。なんでだ?腰も足も全然キツくない。こんな事初めてだ。



「誠也、起き上がれそうか?」

「起き上がれる。体がなんか…軽い。 」

「お、やるじゃねぇか。なら今夜は少し無理させても大丈夫そうたな。」

「な、なんでそうなるんだよ!」

「お前の望みを一つ叶えてやるんだ。俺の望みも聞いてもらわねぇとだろ?」

「………………っ。」



こればっかりは仕方ねぇ。また慎都さんの機嫌を損ねて星秀さんに会わせたくないなんて言われたら大変だ。今は何も言わないでおこう。




「ん?どうした誠也。反論しねぇんだな。元気ねぇの?」

「そんなことない。」

「ふーん。ならいいけど。」



慎都さんはそう言って俺の顔をじっと見てきた。なんだよもう…。またなんか悟られてる気分になる。



「…なんだよ。」

「いやてっきりもっと騒ぐかと思ってよ。今夜激しくしてもいいって事か?」

「…そうしたいなら好きにしろよ。」



思ったより体も痛くないし、慎都さんは俺に過度な無理をさせてこない。それに何よりも慎都さんは俺の望むことをさせてくれる。だから俺も慎都さんに返さなきゃいけない。あと…嫌じゃない。俺もついにイカれちまったのかもしらねぇけど慎都さんとやんのは嫌じゃない…。



「へぇ。可愛いなお前。じゃあそうさせてもらうわ。」

「ま、待てって慎都さんっ、先に星秀さん…!」



慎都さんがスイッチの入った顔をして俺に抱きついてきたから俺は慌てて叫んだ。さすがに今抱かれたら動けなくなる!



 「ああ。ちゃんと分かってるよ。游にも会い行かねぇとな。支度したら直ぐに出るぞ。」

「…うん。」

「あと俺のマッサージ効果あったみたいで良かった。」

「マッサージ…?なんの事だ?」



俺、慎都さんにマッサージなんてして貰ったか…?思い当たらない。あ…もしかして…俺が寝てる間にしてくれたのか?



「お前がぐっすり寝てる間にやってやったんだよ。無理させちまったし明日動けなくなったら困るからな。星秀に会いに行きたいって言ってたしよ。だからマッサージしてやったんだ。」

「……ありがとう。」



こんな風にこれまで誰かが俺の体のことを気遣ってくれたことがあっただろうか。いや………一人だけいた。それは星秀さん…。ただ一人だけだった。でもそんとき星秀さんも余裕なくて関われた時間は少ない。だからこそこうして慎都さんが色々俺にしてくれて嬉しかった。なんか俺…泣きそう…。



「こんぐらいで礼を言うな。そもそも無理させた俺が…はぁ!?なんで泣いてんだお前!」

「あ、いや…これは…っ、」



俺もなんで泣いてんのか分かんねぇよ。気づいたら涙が出てた。嬉しいのか。悲しいのか…いや何言ってんだ俺は。嬉しいからに決まってんだろ。



「嬉しかったから…。」

「嬉しい?はぁ?どういう事だ。」

「俺は…マッサージしてもらった事ない。」



そこに喜んだんじゃねぇけど…な。上手く言えない。涙が出てるから。俺が嬉しいと思ったのは慎都さんが俺の事を気遣ってくれたこと。俺の事を性欲処理とかとして見てるんじゃなくて一人の人間として見てくれてることが嬉しかったんだ。



「そんなに嬉しかったなら毎日してやるよ。まぁそれは毎日俺とやるって意味にもなるけどよ。お前がそれを望むなら俺は喜んで毎日するぜ誠也。」

「…ま、毎日は勘弁っ、」

「勘弁ってなんだよてめぇ。毎日やるに決まってんだろ。」

「なんで慎都さんはそんなに元気なんだよ!」

「いや逆に誠也の性欲の無さにビックリするわ。俺が16の時なんて性欲の塊だったぞ。だから俺が鍛えてやるよ。毎日愛し合おうぜ誠也。」

「……………っ。」



毎日…っ。体力持つか……って俺は何を考えてるんだ。前は…嫌だとか…どうやって逃げようとか…。それしか考えられなかった。なのに俺は今…体力の心配をした。やべぇ…また泣きそう…。



「…どうせ俺が嫌って言ってもやるんだろ。」

「よく分かってんじゃねぇか。だがまぁ安心しろ。お前の体調を見てやるからよ。」

「…余計なお世話だ。」

「おいおいそんな事言うなよ誠也…ってまた泣いてんのか。仕方ねぇやつだ。ほら誠也、おいで。抱きしめてやるから。」
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

二本の男根は一つの淫具の中で休み無く絶頂を強いられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...