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遅い
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「…全然帰ってこないじゃん。」
ご飯も食べ終わっちまったぞ。いつ帰ってくんだよあいつ…っ。喧嘩したまま仕事にも行きやがって。それは仕方ねぇけど…。仕事行く前に一言声掛けていけよ…っ。腹立つ…っ。
「あ?おい誠也。お前が起きてからまだ一時間も経ってねぇよ。」
「…あんなに喧嘩した後なのに仕事行くなんて酷い。」
自分勝手って分かってるけど昨日俺をあんな風に抱いておいて何を言わずに仕事に行ったのが俺は許せなかった。
「なぁ誠也。何があったの?」
「え?」
「頭と。お前なんで喧嘩したの?」
「それは…っ、」
「言えないの?」
「そうじゃ…ないけど…っ、」
相談するような内容でも無いんだよな。俺が悪いし…っ。でもだからこそ俺はちゃんと話したいんだ。俺が悪いから…謝りたいのに…っ。
「なら教えろよ。教えてくんねぇならキスしてやる。」
「なっ…!!」
ソファで無防備に横になってたから俺は游さんにあっという間にホールドされた。しかも昨日…つーか今日の朝まで慎都さんに抱かれてたから体も痛くていつも以上に抵抗出来ねぇ…。
「誠也、早く言えよ。」
「離せ…っ!」
抱きしめてくるだけってわかってるけど…っ。游さんは俺が嫌がってたら何もしてこないから。けど近ぇ…っ!游さんの顔が目の前にあるとさすがに目を逸らしたくなる…!
「おい目を逸らすなよ。お前が話したら離してやるって。」
「なんだよそ…っ、いてぇ…っ。」
「ほらぁ。腰痛むだろー?早く話せよ。」
さりげなく…キスしやがって…っ。この野郎…っ。俺がこんな調子じゃなかったらちゃんと抵抗出来てるのに…っ!
「や、やめろって!キスしてんじゃねぇ…っ!」
「お前が言わねぇからだろ?早く言わねぇとほんとに食っちまうぞ。」
「ま、待って…!」
耳までかじられたらさすがの俺も抵抗する…っ!て、抵抗出来ねぇけど!体痛すぎて!どうしよう…!游さんにとっては多分しょうもない事だから言いたくねぇのに…っ!
「抵抗出来てねぇじゃん。体痛いんだろお前。」
「な、ならやめろよ…!」
「やめねぇよ。お前こそなんでそこまで隠すんだよ。言えばいいだろ。」
「やだ…っ!」
「じゃあ口開けろ。」
「な、なんで…っ。」
「キスするから。深い方の。」
そ、それはさすがにやばいだろ!慎都さんに見つかったら怒られる…って俺…今慎都さんと喧嘩してんじゃん。俺と游さんがキスしてんの見たら慎都さん怒って帰ってくるかな…。いや…だめだ。いくらなんでもそういうのはしたくねぇ…。
「言うっ、言うからやめろ!」
「早く言え。」
「言うってばっ、離れろ…!」
「お前が言ったら離れる。」
「分かったっ、お、俺が…慎都さんが…っ、俺のこと全部しようとするから…。」
「はぁ?何それ。どういうことだ?」
言ったのに離れてくんねぇ…っ。もういいや…っ。キスすんのも耳噛むのもやめてくれたし…。
「…お、俺にもちゃんとできるのに。俺は一人でも大丈夫なのに慎都さんが全部しようとしてくるんだ!俺は慎都さんの負担になりたくねぇのに。」
「なぁ誠也。それはあまりにも自分勝手じゃねぇの?」
「…え?」
思いもよらない事を游さんに言われて俺は固まった。游さんに覆いかぶさられてホールドされてることなんてどうでも良くなるぐらいに…。
「実際お前はさ、弱いじゃん。な?誠也。」
「そ、それは…っ。」
游さんに言われなくたってわかってる。自分が弱いってことぐらい。だから俺も強くなろうと…
「なのに1人で何とかしたいとかそれは無理な話じゃねぇの?」
「……………っ。」
それは……っ。今は無理かもしれねぇけど……。でもいつになったら俺は一人で何とかできるようになるだろうか。游さんの言う通り無理な話…だよな。俺は今…やっと冷静になれた。ずっと怒ってたけど…それは游さんの言う通り自分勝手だった…。
「でも誠也。お前の気持ちもちゃんと分かるよ。頭の為だもんな。そのためにお前が何とかしようって思ってんのは俺でも嬉しい。だけどな誠也。せっかくその気持ち持ってんのに行動と言動が裏腹になっちゃ意味が無い。ここは実際殺人が繰り返し行われるヤクザだらけのとこなんだぞ。お前もそれは知ってるよな?」
「……うん。」
「だろ?お前も実際嫌な思いもしたことがあるところ。そんな思いを一度してるお前を頭が守りたいと思うのは義務でも何でもねぇんだよ。頭はお前を守るために仕事にも行ってる、な?なのに守らなくていいとか言われたらそりゃ頭もさ、頭に血が昇っちまうぞ。お前が自ら自分を危険に晒して自分を傷つけようとしてるようなもんだからよ。それをさ、頭がやってたらお前も止めるだろ?」
「……………っ。」
止める…。慎都さんには傷ついて欲しくないから。けど俺はそっちの方しか考えれてなかった。自分のことは後回しで慎都さんへの気持ちだけを考えてた。それは…良くないよね…。やっと分かった。俺は慎都さんに何を謝らなきゃいけないのか。
「だから守られたくないってのはお前のわがままなんだよ誠也。頭は強い。そんな人が愛する人のために戦うのは当たり前のことだ。だから守られたくないとか二度と言っちゃ駄目だからな。」
「…うん。」
「いい子いい子。じゃあ誠也、俺にキスして。」
「う……ん?」
ご飯も食べ終わっちまったぞ。いつ帰ってくんだよあいつ…っ。喧嘩したまま仕事にも行きやがって。それは仕方ねぇけど…。仕事行く前に一言声掛けていけよ…っ。腹立つ…っ。
「あ?おい誠也。お前が起きてからまだ一時間も経ってねぇよ。」
「…あんなに喧嘩した後なのに仕事行くなんて酷い。」
自分勝手って分かってるけど昨日俺をあんな風に抱いておいて何を言わずに仕事に行ったのが俺は許せなかった。
「なぁ誠也。何があったの?」
「え?」
「頭と。お前なんで喧嘩したの?」
「それは…っ、」
「言えないの?」
「そうじゃ…ないけど…っ、」
相談するような内容でも無いんだよな。俺が悪いし…っ。でもだからこそ俺はちゃんと話したいんだ。俺が悪いから…謝りたいのに…っ。
「なら教えろよ。教えてくんねぇならキスしてやる。」
「なっ…!!」
ソファで無防備に横になってたから俺は游さんにあっという間にホールドされた。しかも昨日…つーか今日の朝まで慎都さんに抱かれてたから体も痛くていつも以上に抵抗出来ねぇ…。
「誠也、早く言えよ。」
「離せ…っ!」
抱きしめてくるだけってわかってるけど…っ。游さんは俺が嫌がってたら何もしてこないから。けど近ぇ…っ!游さんの顔が目の前にあるとさすがに目を逸らしたくなる…!
「おい目を逸らすなよ。お前が話したら離してやるって。」
「なんだよそ…っ、いてぇ…っ。」
「ほらぁ。腰痛むだろー?早く話せよ。」
さりげなく…キスしやがって…っ。この野郎…っ。俺がこんな調子じゃなかったらちゃんと抵抗出来てるのに…っ!
「や、やめろって!キスしてんじゃねぇ…っ!」
「お前が言わねぇからだろ?早く言わねぇとほんとに食っちまうぞ。」
「ま、待って…!」
耳までかじられたらさすがの俺も抵抗する…っ!て、抵抗出来ねぇけど!体痛すぎて!どうしよう…!游さんにとっては多分しょうもない事だから言いたくねぇのに…っ!
「抵抗出来てねぇじゃん。体痛いんだろお前。」
「な、ならやめろよ…!」
「やめねぇよ。お前こそなんでそこまで隠すんだよ。言えばいいだろ。」
「やだ…っ!」
「じゃあ口開けろ。」
「な、なんで…っ。」
「キスするから。深い方の。」
そ、それはさすがにやばいだろ!慎都さんに見つかったら怒られる…って俺…今慎都さんと喧嘩してんじゃん。俺と游さんがキスしてんの見たら慎都さん怒って帰ってくるかな…。いや…だめだ。いくらなんでもそういうのはしたくねぇ…。
「言うっ、言うからやめろ!」
「早く言え。」
「言うってばっ、離れろ…!」
「お前が言ったら離れる。」
「分かったっ、お、俺が…慎都さんが…っ、俺のこと全部しようとするから…。」
「はぁ?何それ。どういうことだ?」
言ったのに離れてくんねぇ…っ。もういいや…っ。キスすんのも耳噛むのもやめてくれたし…。
「…お、俺にもちゃんとできるのに。俺は一人でも大丈夫なのに慎都さんが全部しようとしてくるんだ!俺は慎都さんの負担になりたくねぇのに。」
「なぁ誠也。それはあまりにも自分勝手じゃねぇの?」
「…え?」
思いもよらない事を游さんに言われて俺は固まった。游さんに覆いかぶさられてホールドされてることなんてどうでも良くなるぐらいに…。
「実際お前はさ、弱いじゃん。な?誠也。」
「そ、それは…っ。」
游さんに言われなくたってわかってる。自分が弱いってことぐらい。だから俺も強くなろうと…
「なのに1人で何とかしたいとかそれは無理な話じゃねぇの?」
「……………っ。」
それは……っ。今は無理かもしれねぇけど……。でもいつになったら俺は一人で何とかできるようになるだろうか。游さんの言う通り無理な話…だよな。俺は今…やっと冷静になれた。ずっと怒ってたけど…それは游さんの言う通り自分勝手だった…。
「でも誠也。お前の気持ちもちゃんと分かるよ。頭の為だもんな。そのためにお前が何とかしようって思ってんのは俺でも嬉しい。だけどな誠也。せっかくその気持ち持ってんのに行動と言動が裏腹になっちゃ意味が無い。ここは実際殺人が繰り返し行われるヤクザだらけのとこなんだぞ。お前もそれは知ってるよな?」
「……うん。」
「だろ?お前も実際嫌な思いもしたことがあるところ。そんな思いを一度してるお前を頭が守りたいと思うのは義務でも何でもねぇんだよ。頭はお前を守るために仕事にも行ってる、な?なのに守らなくていいとか言われたらそりゃ頭もさ、頭に血が昇っちまうぞ。お前が自ら自分を危険に晒して自分を傷つけようとしてるようなもんだからよ。それをさ、頭がやってたらお前も止めるだろ?」
「……………っ。」
止める…。慎都さんには傷ついて欲しくないから。けど俺はそっちの方しか考えれてなかった。自分のことは後回しで慎都さんへの気持ちだけを考えてた。それは…良くないよね…。やっと分かった。俺は慎都さんに何を謝らなきゃいけないのか。
「だから守られたくないってのはお前のわがままなんだよ誠也。頭は強い。そんな人が愛する人のために戦うのは当たり前のことだ。だから守られたくないとか二度と言っちゃ駄目だからな。」
「…うん。」
「いい子いい子。じゃあ誠也、俺にキスして。」
「う……ん?」
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