怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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「おい游。お前帰れ。」

「えー。」



朝ごはん食べてからも游さんは仕事に行く気配もなくくつろいでいた。慎都さんも初めの頃は何も言わずに游さんを休めさせてたけど1時間が経とうとしてさすがに声をかけた。けど俺からしたら游さんが休んでる姿には安心する。普段は仕事詰めだろうから。



「いいから帰れって游。お前は仕事あんだろうが。銀時に押し付けんな。」

「もー分かりましたよ。帰ります。」

「おう。そうしろ。」

「誠也じゃあな。」

「うん。仕事頑張ってね。」



すっごい嫌そうな顔はしてたけど游さんは家を出て事務所にに向かった。また後で会いに行こうかななんて俺が思っていると…。



「誠也、こっちおいで。」

「うん。」



慎都さんがソファに座りながら俺の事を呼んできた。映画でも見るのかな…?



「誠也。俺はお前に伝えねぇといけないことがある。」

「…なに?」

「お前のこと、暫く外には出してやれそうにない。」

「なんだそんなことか。」



俺を守ってくれるためにそうしてくれてるって分かってるから俺はもちろん慎都さんの言うことを聞く。そうすることで慎都さんも仕事とかやりやすくなるだろうからね。



「それだけじゃなくて近藤会のやつも殺すかもしれない。ごめんな。」

「…どうして謝るの?」

「誠也はあいつらと少しだけだけど暮らしてたろ?お前は優しいからどんな事されたとしても殺すってのは嫌だろ。」

「それは…そうだけど。でも俺は何かを言える立場でもないし…それに図々しいけど俺は慎都さんたちとここで暮らせたらそれだけで幸せだから。他に何も願わないよ。」



俺はわがままを言える立場でもない。幸せにしてもらってるんだ。ここにいれるだけで幸せだし…まぁ喧嘩もするけどそれは悪いことじゃない。



「お前は優しい子だな誠也。ちょっとグレてるけど。」

「慎都さんに言われたくないし!」

「はは、確かに。俺はグレてるどころじゃねぇな。」



そう言いながら慎都さんは俺の事抱きしめてキスをしてきた。喧嘩した後だからな…。それともお仕置きされた後だからわかんねぇけど俺はいつもより温もりを感じた。絶対それを口には出さねぇけどな!



「つーかそろそろ組長にお前を会わせないといけねぇな。」

「…俺、怒られる?」

「は?なんで?」

「慎都さんって時期組長でしょ…?」

「まぁそうだな。」

「なら俺…男だから子供も産めないし…。」

「は?何言ってんだお前。」



俺の勝手な想像かもしれないけどヤクザってのは跡継ぎが重要な気がする…。だから…俺はそれが出来ないから…。



「俺は子供が欲しくてお前を手元に置いてるんじゃない。愛してるからだ。変なこと考えるなよ。」

「………………っ。」



慎都さんはそう言ってくれるけど周りから見たらどうなんだろうか。組長さんは…組員さんたちは…どう思うんだろう…。



「それに俺の子供が俺の跡継ぎって決まってるわけでもねぇし。」

「そうなの?」

「俺は組長の子供じゃねぇよ。俺が選ばれただけであって。だからそこは気にしなくていい。余計なストレス与えてすまない。」

「…そうだったんだ。よかった。」

「そうだよ。あとはなんか不安なことあるか?」



出せって言われたら沢山ある。これからもずっと俺はここにいていいの?とか…俺のせいで迷惑になってないかとか…色々ある。けどそれは今…言う必要はねぇよな。



「ううん、何も無いよ。」

「そっか。ならいつでも言えよ。なんかあったら。」

「うん。ありがとう。」

「つかさ、今から行くか?組長のとこ。」

「い、今から…!?」
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