怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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緊張

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「い、今から…!?」

「嫌なのか?」



嫌…というかまだ心の準備が出来ていない。どんな人なんだろう…っ。怖い人なのか…?駄目だ…考え始めたら止まらない。



「…いや、じゃない。」

「誠也。無理しなくていいぞ。会いたくなったら会いに行こう。」



こういうのは後にすればするほど緊張する。そういうもんだ。それならここは男らしく逢いに行く方が…!



「ううん。慎都さん俺行く。」

「大丈夫か?」

「大丈夫。」

「冷や汗出てるけどお前。」



なんて笑いながら慎都さんが言ってくる。そんな冗談にも付き合えなくなるぐらい俺は緊張していた。手も震えそうだ。



「はは、誠也。そんなに緊張する必要もねぇぞ。」

「…う、うん。」

「一回冷静になって考えてみろ。組長は俺が游みたいなやつを放っておいても許すような人だ。だからお前が怯える必要も無い。なんなら誇っていけ。組長はお前に感謝してるからよ。」

「そうなの…?」

「ああ。お前は俺の大事なやつだから。だから何も怖がることなんてねぇよ。どうだ、会いに行くか?」

「…会いに行く。」



慎都さんがそう言ってくれたおかげでなんだが気になってきた。わくわくしてきた。組長さんはどんな人なんだろうって。



「よし、じゃあ誠也。行こうか。」

「うん!」

「上の階に行くからエレベーター乗るぞ。」

「はーい。」



そういえばここに来たばかりの時、慎都さんがそんなことを言ってた気もする。上に俺の上司がいるって。



「慎都さん。何階に行くの?」

「最上階だ。」

「…最上階。」

「組長はこの組のトップだからな。」



また俺は緊張してきた。緊張ってなんでこんなに体が硬直するんだろう。気を抜いたら手が震えちゃいそうになる。だから俺は…慎都さんの服を掴んでみた。



「あ?どうした誠也。」

「…なんもない。」

「可愛いやつ。おいで、抱きしめてやるから。」

「いらない…!」

「いいから来い。」



いらないと言いながら俺は抱きしめて欲しかった。正直になれない…っ。だけど慎都さんはそんな俺の本音も分かってくれている。俺も自分で言えるようにならねぇとな…。



「落ち着いたか?」

「…うん。」

「ならよかった。もうすぐ着くからよ。」



もうすぐ…。俺の心臓おさまれ…っ。頼むから!バクバクすんなよ!何だこの気持ち!変な感じになる!首もバクバクしてる。あーも。なんか気絶しそう…。



「誠也、着いたからおいで。」

「うん…。」

「いい子いい子。組長はこの部屋の中にいる。ちょっと待ってろ。」



慎都さんはそう言うとドアの前にある番号を押し始めた。この番号が鍵の代わりなのか…?



「よし、開いた。入るぞ。」

「わかった…。」



俺は本気で緊張してるのにそんな俺を見て慎都さんは笑ってくる。なんだよもう…っ。仕方ねぇじゃん!緊張すんだから!



「組長、お疲れ様です。」

「あ?慎都?」

「はい。それとこの子も連れてきました。」

「あ?誰だ……って誠也じゃねぇか!やっと来てくれたようだな。」
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