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組長さん
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「は、初めまして…!」
「初めまして。俺はこの組の組長を務めてる會田雅俊(ごうだ まさとし)だ。よろしくな誠也。」
俺が知ってるヤクザ…じゃない。俺の元に借金を取り立てに来てた人とは全然違う。同じヤクザとは思えない。まぁ…それは游さんも慎都さんも同じだけどね。けど雅俊さんは慎都さんよりも游さんよりも…穏やかな顔をしてる。
「お願いします…!」
「礼儀正しいじゃねぇか。慎都よりも優秀かもな。」
俺はさっきまでの緊張が嘘のように解けた。雅俊さんが初めて会ったばかりの見知らぬ俺を受け入れてくれたから。
「組長。誠也をあんまり触らないでくださいよ。」
雅俊さんが俺の頭を少し撫でただけで慎都さんは不機嫌そうな顔をしてる。慎都さんをあんまりにも怒らせると俺は夜痛い目を見ることになるけど拗ねてる慎都さんの顔…俺嫌いじゃない。
「はは、相変わらずだな慎都。」
「そりゃどうも。」
「つーかよぉ、せっかくだから茶でも飲んでいけよ、な?いいだろ慎都。」
「まぁいいですけど。」
「なら決まりだ。誠也、こっちおいで。」
「はい…!」
この組の組長さんがこんなにも優しい方だとは思わなかった。よかった…。ただ…優しいだけじゃないって言うのは分かった。雅俊さんも慎都さん同様に刺青も勿論入ってるし…それに体も傷だらけだったから。
「誠也はお茶飲めるか?」
「飲めます…!」
「お、いい子だな。慎都はいつのもでいいよな?」
「はい。」
慎都さんはまだ少しだけ不機嫌だけど怒ってるわけじゃない。雅俊さんの前だからかもしれねぇな。
「おい楓峨(ふうが)。茶を入れてくれ。」
「承知しました。」
ふう…が?あ、人がいた。俺は全然気づかなかったけど奥の方にもう1人いた…。
「誠也、あいつは俺の補佐だ。河相 楓峨って名前。」
「お、お願いします。」
「よろしくな。誠也君の話は組長からよく聞いてるよ。ずっと会いたいと思ってたから会えて良かった。不自由なことはない?」
「だ、大丈夫です。」
楓峨さんも落ち着いていた。なんだが似てる…。雅俊さんと楓峨さんの雰囲気すごく似てる気がする。2人とも刺青を隠してたらヤクザには見えないぐらい落ち着きがあった。
「なら良かった。お茶、熱いから冷めてから飲んでね。慎都は飲めるだろ。」
「うっす。」
あれ…。楓峨さんって慎都さんに対してはそんな感じの口調なんだ。長い付き合いだからかな…。
「楓峨、お前は下がってていいぞ。」
「承知しました。」
楓峨さんが部屋を出ていってしまった。また…話せる機会があればいいな。
「誠也、ここでの生活はどうだ?大分慣れてきたか?」
「はい。慎都さんのおかげで毎日幸せに暮らしてます。」
「そうか。良かった。」
普段だったら言えないけど…恥ずかしくて。けど、こういう時だからこそ言わなきゃいけない。慎都さんのおかげで俺は幸せになれたんだから。それに慎都さんも嬉しそうな顔をしてくれた。
「慎都もお前が来てから仕事が捗っているし何よりも元気になった。誠也のおかげでな。感謝している。俺もそろそろ引退だからな。」
そう言って貰えて俺はすごく嬉しかった。けど最後に雅俊さんが言ったことが引っかかってなんて話せばいいか分からなくなった…。そしたら慎都さんが…。
「組長、本気で引退を考えているんですか?」
「ああ。」
「どうしてですか?まだ組長は30代ですし引退するメリットが俺には分かりません。」
「まぁ俺も正直悩んではいる。慎都も若すぎるしな。だがな、俺はよりこの組を立派にしたい。そうなればお前の力が必要なんだ慎都。」
「でしたら俺が今まで通り支えます。」
「それでは駄目だ。まぁ今は誠也の前だし、あまり仕事の話はよそう。」
「…そうですね。」
俺…外に行ってようかな。慎都さんが寂しそうな顔してるしこのまま二人で話をしてもらいたい…。
「あの、俺外出てます。」
「は?いや誠也が外に行く必要はねぇだろ。お前を組長に会わせるためにここに連れてきたんだぞ。」
「…でも、」
二人がこのまま話が出来ずに終わって帰るなんて俺が嫌だな…。俺がいることによってそうなるのが嫌なんだ。
「誠也。お前は何も気にしなくていい。組長もそう思いますよね。」
「慎都、俺は誠也と二人っきりで話をしたい。」
「…はい?」
お、俺と…!?慎都さんじゃなくて…!?
「だから慎都。少しの間、お前部屋を出ていけ。」
「はい?嫌ですけど。」
「上司に対する態度かお前は。」
なんか…今の慎都さん游さんに似てたな…。はは、やっぱり似てる。
「じゃあ組長は誠也と何を話すんですか?」
「言わねぇよ。だから出ていけって言ってんだよ。文句言わずにさっさと行け。楓峨を呼ぶぞ。」
「…分かりましたよ。なら部屋の外で待ってますから。」
「ああ。そうしろ。」
「誠也、後でな。組長になんかされたら叫ぶんだぞ。」
「んな事しねぇよ。早く行け。」
「はーい。」
「初めまして。俺はこの組の組長を務めてる會田雅俊(ごうだ まさとし)だ。よろしくな誠也。」
俺が知ってるヤクザ…じゃない。俺の元に借金を取り立てに来てた人とは全然違う。同じヤクザとは思えない。まぁ…それは游さんも慎都さんも同じだけどね。けど雅俊さんは慎都さんよりも游さんよりも…穏やかな顔をしてる。
「お願いします…!」
「礼儀正しいじゃねぇか。慎都よりも優秀かもな。」
俺はさっきまでの緊張が嘘のように解けた。雅俊さんが初めて会ったばかりの見知らぬ俺を受け入れてくれたから。
「組長。誠也をあんまり触らないでくださいよ。」
雅俊さんが俺の頭を少し撫でただけで慎都さんは不機嫌そうな顔をしてる。慎都さんをあんまりにも怒らせると俺は夜痛い目を見ることになるけど拗ねてる慎都さんの顔…俺嫌いじゃない。
「はは、相変わらずだな慎都。」
「そりゃどうも。」
「つーかよぉ、せっかくだから茶でも飲んでいけよ、な?いいだろ慎都。」
「まぁいいですけど。」
「なら決まりだ。誠也、こっちおいで。」
「はい…!」
この組の組長さんがこんなにも優しい方だとは思わなかった。よかった…。ただ…優しいだけじゃないって言うのは分かった。雅俊さんも慎都さん同様に刺青も勿論入ってるし…それに体も傷だらけだったから。
「誠也はお茶飲めるか?」
「飲めます…!」
「お、いい子だな。慎都はいつのもでいいよな?」
「はい。」
慎都さんはまだ少しだけ不機嫌だけど怒ってるわけじゃない。雅俊さんの前だからかもしれねぇな。
「おい楓峨(ふうが)。茶を入れてくれ。」
「承知しました。」
ふう…が?あ、人がいた。俺は全然気づかなかったけど奥の方にもう1人いた…。
「誠也、あいつは俺の補佐だ。河相 楓峨って名前。」
「お、お願いします。」
「よろしくな。誠也君の話は組長からよく聞いてるよ。ずっと会いたいと思ってたから会えて良かった。不自由なことはない?」
「だ、大丈夫です。」
楓峨さんも落ち着いていた。なんだが似てる…。雅俊さんと楓峨さんの雰囲気すごく似てる気がする。2人とも刺青を隠してたらヤクザには見えないぐらい落ち着きがあった。
「なら良かった。お茶、熱いから冷めてから飲んでね。慎都は飲めるだろ。」
「うっす。」
あれ…。楓峨さんって慎都さんに対してはそんな感じの口調なんだ。長い付き合いだからかな…。
「楓峨、お前は下がってていいぞ。」
「承知しました。」
楓峨さんが部屋を出ていってしまった。また…話せる機会があればいいな。
「誠也、ここでの生活はどうだ?大分慣れてきたか?」
「はい。慎都さんのおかげで毎日幸せに暮らしてます。」
「そうか。良かった。」
普段だったら言えないけど…恥ずかしくて。けど、こういう時だからこそ言わなきゃいけない。慎都さんのおかげで俺は幸せになれたんだから。それに慎都さんも嬉しそうな顔をしてくれた。
「慎都もお前が来てから仕事が捗っているし何よりも元気になった。誠也のおかげでな。感謝している。俺もそろそろ引退だからな。」
そう言って貰えて俺はすごく嬉しかった。けど最後に雅俊さんが言ったことが引っかかってなんて話せばいいか分からなくなった…。そしたら慎都さんが…。
「組長、本気で引退を考えているんですか?」
「ああ。」
「どうしてですか?まだ組長は30代ですし引退するメリットが俺には分かりません。」
「まぁ俺も正直悩んではいる。慎都も若すぎるしな。だがな、俺はよりこの組を立派にしたい。そうなればお前の力が必要なんだ慎都。」
「でしたら俺が今まで通り支えます。」
「それでは駄目だ。まぁ今は誠也の前だし、あまり仕事の話はよそう。」
「…そうですね。」
俺…外に行ってようかな。慎都さんが寂しそうな顔してるしこのまま二人で話をしてもらいたい…。
「あの、俺外出てます。」
「は?いや誠也が外に行く必要はねぇだろ。お前を組長に会わせるためにここに連れてきたんだぞ。」
「…でも、」
二人がこのまま話が出来ずに終わって帰るなんて俺が嫌だな…。俺がいることによってそうなるのが嫌なんだ。
「誠也。お前は何も気にしなくていい。組長もそう思いますよね。」
「慎都、俺は誠也と二人っきりで話をしたい。」
「…はい?」
お、俺と…!?慎都さんじゃなくて…!?
「だから慎都。少しの間、お前部屋を出ていけ。」
「はい?嫌ですけど。」
「上司に対する態度かお前は。」
なんか…今の慎都さん游さんに似てたな…。はは、やっぱり似てる。
「じゃあ組長は誠也と何を話すんですか?」
「言わねぇよ。だから出ていけって言ってんだよ。文句言わずにさっさと行け。楓峨を呼ぶぞ。」
「…分かりましたよ。なら部屋の外で待ってますから。」
「ああ。そうしろ。」
「誠也、後でな。組長になんかされたら叫ぶんだぞ。」
「んな事しねぇよ。早く行け。」
「はーい。」
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