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二人の約束
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「すまないな誠也。会ったばかりなのに二人っきりにしちまって。どうしてもお前と話がしたかったんだ。」
とても緊張するけど俺は緊張を出さないように必死になっていた。優しい人と分かっていても雅俊さんはヤクザの組長で…すごい人…だから緊張する。声震えないように気をつけなきゃ。
「俺も…雅俊さんとお話ずっとしたかったです。」
「そうか。そりゃよかった。」
よし…声が震えてないぞ…。大丈夫。徐々に緊張を解くんだ俺…!
「話ってのがな、慎都の事なんだ。俺は近々組長を引退してこの組を別の形で見守ろうと思ってる。だが不安がやはりあってな。慎都は優しいからどこまで出来るのかが不安なんだ。あと、自分をあいつは大切にしない。誠也が来てから怪我一つないようだが前は凄くてな。喧嘩沙汰が絶えなかったんだ。」
「そうだったんですね…。」
刺青で隠れていたけど初めの頃は慎都さんの体に無数の痣があるなと思っていた。それは喧嘩してたからだったんだ…。
「ああ。あいつが若くして若頭になったことをよく思っていない連中もいる。そういうやつらは俺があいつに気づかれないように消してきたんだが…未だにそういう連中が残ってるかもしれない。だから誠也もこの先慎都と暮らしていく上で危険な目に遭うことが沢山あるかもしれないんだ。お前を誘拐すれば慎都は何でもするだろうからな。」
「その覚悟の上で俺は慎都さんと一緒にいます。烏滸がましい…かもしれないけど。でも、俺も慎都さんを守るために頑張ろうと思ってるんです。迷惑ばかりかけちゃうかもれないですけど…。」
「何を言う。俺達はお前を歓迎してるどころか家族として接していきたい。楓峨もそうだよ。俺と楓峨はよくお前の事を話してるんだ。お前が来てから慎都も游も変わったって。」
「…ほんとですか?」
「ああ。もちろんさ。慎都が大切にする人は俺にとっても大切な人だからな。」
「はい…っ。」
嬉しかった。本当に嬉しかった。孤児といっても過言では無い俺にこんなに優しくしてくれて家族として迎え入れてくれるなんて…。嬉しくて嬉しくてたらまない。この世にはこんなに幸せを感じることがあったんだな…。
「誠也。どうか慎都のことをよろしく頼む。それとこれは俺の連絡先だ。慎都に何かあったり挙動不審になった時、俺に連絡をして欲しい。」
「分かりました。」
俺は雅俊さんから紙切れを受け取ってそれを直ぐにポケットに入れた。これ…慎都さんに見つからないように隠しとかなきゃ。
「それと誠也、俺はもう1つお前に言わなきゃなんねぇことがある。」
「なんですか…?」
「近藤会の事だ。俺は引退する前の一仕事としてあの組を潰そうと思ってる。元々あいつは俺らの組の傘下だったんだがな…。まぁあそこまで自己中な行動をされちゃ俺らも目をつぶってやれない。あいつはこの俺に恥をかかせようとしている。それは許されない。だから誠也、ごめんな。」
「どうして謝るんですか…?」
雅俊さんは誤解してる気がする。そりゃ…殺されちゃうのは悲しいよ。いくらあんなことをされたとはいえ、死んでしまうのは同情してしまう。だけどそれだけだ。
「お前元々あいつらのとこにいたんだろ?」
「いた…けど俺が居たくて居たわけじゃないんです。あそこにいる時は怖くてたまりませんでした。だから…俺はなにも…。」
「そうか。嫌な事を思い出させてしまってすまない。じゃあお前がこれから先、嫌な思いをしないように俺が全部良くしてやるから安心しろ。な?誠也。」
「ありがとうございます雅俊さん…。」
「ああ。誠也はいい子だな。もう大丈夫だからな。慎都がお前を守ってくれるから。何も心配いらないよ。」
「はい…っ。」
「じゃあそろそろ慎都を呼ぼうか。あいつも我慢の限界だろ。な?慎都。」
……ん?な?慎都…って?も、もしかして慎都さんこの話全部聞いてたの…!?と、俺が1人で焦っていると扉が開いて慎都さんが入ってきた。
「当たり前です。誠也は俺のもんで誠也も俺の事を愛してますから。」
「はは、そうだな。じゃあ誠也、今日は帰りなさい。また近々会って今度はゆっくり話をしようね。」
「はい…!」
とても緊張するけど俺は緊張を出さないように必死になっていた。優しい人と分かっていても雅俊さんはヤクザの組長で…すごい人…だから緊張する。声震えないように気をつけなきゃ。
「俺も…雅俊さんとお話ずっとしたかったです。」
「そうか。そりゃよかった。」
よし…声が震えてないぞ…。大丈夫。徐々に緊張を解くんだ俺…!
「話ってのがな、慎都の事なんだ。俺は近々組長を引退してこの組を別の形で見守ろうと思ってる。だが不安がやはりあってな。慎都は優しいからどこまで出来るのかが不安なんだ。あと、自分をあいつは大切にしない。誠也が来てから怪我一つないようだが前は凄くてな。喧嘩沙汰が絶えなかったんだ。」
「そうだったんですね…。」
刺青で隠れていたけど初めの頃は慎都さんの体に無数の痣があるなと思っていた。それは喧嘩してたからだったんだ…。
「ああ。あいつが若くして若頭になったことをよく思っていない連中もいる。そういうやつらは俺があいつに気づかれないように消してきたんだが…未だにそういう連中が残ってるかもしれない。だから誠也もこの先慎都と暮らしていく上で危険な目に遭うことが沢山あるかもしれないんだ。お前を誘拐すれば慎都は何でもするだろうからな。」
「その覚悟の上で俺は慎都さんと一緒にいます。烏滸がましい…かもしれないけど。でも、俺も慎都さんを守るために頑張ろうと思ってるんです。迷惑ばかりかけちゃうかもれないですけど…。」
「何を言う。俺達はお前を歓迎してるどころか家族として接していきたい。楓峨もそうだよ。俺と楓峨はよくお前の事を話してるんだ。お前が来てから慎都も游も変わったって。」
「…ほんとですか?」
「ああ。もちろんさ。慎都が大切にする人は俺にとっても大切な人だからな。」
「はい…っ。」
嬉しかった。本当に嬉しかった。孤児といっても過言では無い俺にこんなに優しくしてくれて家族として迎え入れてくれるなんて…。嬉しくて嬉しくてたらまない。この世にはこんなに幸せを感じることがあったんだな…。
「誠也。どうか慎都のことをよろしく頼む。それとこれは俺の連絡先だ。慎都に何かあったり挙動不審になった時、俺に連絡をして欲しい。」
「分かりました。」
俺は雅俊さんから紙切れを受け取ってそれを直ぐにポケットに入れた。これ…慎都さんに見つからないように隠しとかなきゃ。
「それと誠也、俺はもう1つお前に言わなきゃなんねぇことがある。」
「なんですか…?」
「近藤会の事だ。俺は引退する前の一仕事としてあの組を潰そうと思ってる。元々あいつは俺らの組の傘下だったんだがな…。まぁあそこまで自己中な行動をされちゃ俺らも目をつぶってやれない。あいつはこの俺に恥をかかせようとしている。それは許されない。だから誠也、ごめんな。」
「どうして謝るんですか…?」
雅俊さんは誤解してる気がする。そりゃ…殺されちゃうのは悲しいよ。いくらあんなことをされたとはいえ、死んでしまうのは同情してしまう。だけどそれだけだ。
「お前元々あいつらのとこにいたんだろ?」
「いた…けど俺が居たくて居たわけじゃないんです。あそこにいる時は怖くてたまりませんでした。だから…俺はなにも…。」
「そうか。嫌な事を思い出させてしまってすまない。じゃあお前がこれから先、嫌な思いをしないように俺が全部良くしてやるから安心しろ。な?誠也。」
「ありがとうございます雅俊さん…。」
「ああ。誠也はいい子だな。もう大丈夫だからな。慎都がお前を守ってくれるから。何も心配いらないよ。」
「はい…っ。」
「じゃあそろそろ慎都を呼ぼうか。あいつも我慢の限界だろ。な?慎都。」
……ん?な?慎都…って?も、もしかして慎都さんこの話全部聞いてたの…!?と、俺が1人で焦っていると扉が開いて慎都さんが入ってきた。
「当たり前です。誠也は俺のもんで誠也も俺の事を愛してますから。」
「はは、そうだな。じゃあ誠也、今日は帰りなさい。また近々会って今度はゆっくり話をしようね。」
「はい…!」
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