怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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「39.8度か。しっかり熱出てんじゃねぇかよ。すまねぇ誠也。無理させちまった。」



あれから俺はお風呂に連れていかれて体もこれでもかってほど丁寧に洗われて髪も乾かしてもらった。慎都さんに全部してもらった挙句に今ソファで寝かされている。全部…やらせてしまった。



「…ううん、俺も気づかなったごめん。」

「は?誠也が謝る必要はねぇだろ。とにかく今日はゆっくり寝よう。」

「…うん。」

「おやすみ誠也。」



慎都さんにそう言われて俺は目を閉じた。やったばっかだから眠いってのもあるだろうけど何よりも熱が出てるから眠いんだろうな…。あーあ…。中途半端で終わらせてしまったことがすごく申し訳ない…。熱を出すと気持ちまで弱るのかな…。俺ほんと情けねぇ男だ。



「…慎都さん、おやすみ。」

「ああ。おやすみ。」



気づいたら俺寝てしまっていて次に目を覚ますとベットの上にいた。けど、慎都さんはいなかった。



「…朝だ。」



俺が熱出さなかったら今の今までやってたんだろうなぁ…。申し訳ない…。



「…慎都さん、どこいったんだろ。」



俺は起きてリビングに向かった。そこに慎都さんがいると思ったから。けどいざリビングに行くと誰もいなかったんだ。



「…誰もいない。事務所かな。」



俺は慎都さんに連絡する手段がない。固定電話とないから…。そもそも慎都さんの電話番号も知らないんだ。



「事務所行こうかな…。」



安静にしとけって言われてたのに俺は何故か慎都さんのところに行きたくなって家を出る準備をし始めた。普段の俺だったら絶対そんなことしてなかった。だけど、判断力が鈍っていたせいか俺は後先考えず行動してしまった。



「ドア…開くかな。」



このドア…慎都さんしか開けられないとかあるのかな…。それだったら俺はここから出られない。とりあえず開けてみよう…。そう思って俺は扉に手をかけた。

そしたら…。



「開いた…。」



慎都さんも俺が勝手に外に出るなんて思ってなかったんだろうな。玄関のドアは鍵すらかかってなかった。けどこれで慎都さんのとこ行ける。



「…ふらふらする。」



熱が出てるから当然だよな。ソファで休むべきだ。俺もちゃんとそれを分かってるんだけど、どうしても慎都さんのとこ行きたかった。俺でもなんでかは分かんねぇ。



「は?誠也?」



家から出てフラフラしながら廊下を歩いていると前の方から名前を呼ばれた。誰だ…?



「お前、馬鹿!!何してんだ!!」

「あ、慎都さん…。」



慎都さんいた…。よかった。すっげぇ慎都さん怒ってるのに俺は何故か安心して焦ることすらしなかった。



「誰が外に出ていいって言った?勝手な事すんのにも程があるんじゃねぇの?なぁ誠也。」

「慎都さん。体調が悪い誠也に怒ったら悪影響ですよ。」



あれ…この声銀時さんだ。



「…銀時さん?」

「そうだよ。けど誠也、勝手に外に出るのは駄目だろ?熱出てんだから部屋に戻ろう。」

「うん…。」

「いい子だ。慎都さん、行きますよ。」
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