怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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優しい

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「誠也、腹減ったろ?」

「…ううん。」

「嘘つけ。泣きながらさっきから腹鳴らしてんじゃねぇか。」



お腹は空いてるけど今は游さんから離れたくない。だから俺は游さんにしがみついて離れようとしなかった。だって游さんも游さんで俺の事抱き締め返してくれるから。



「…空いてないから。」

「たく、意地はんなよ。何が食べたい?」

「…何も食べない。」



空腹よりも1人になる方が…嫌だ。



「駄目だそれは。腹減ってるお前を見過ごせねぇ。」

「…いやだ。」

「なんでだよ。」

「…離れたくない。」

「はぁ?俺から?」

「…うん。」



迷惑って思われてもいいんだ。1人になりたくなんかない。



「…ごめん游さん。」

「は?いや可愛すぎるだお前。たまんねぇなこりゃ。つーか何謝ってんだよ。このまま俺のもんにしてしまいてぇわ。まぁ出来ねぇけどよ。けど誠也が俺の事好きになったら俺のもんになるか。どうだ誠也、この際俺のもんになってみるか。なんちゃって。」

「…いや。」

「だろうな。分かってたよ。冗談だ冗談。おし、行くぞ。」

「ど、どこに…?」



急に游さんに抱きしめられた状態で抱っこされて俺は思わず顔を上げた。どこに行くんだ…?



「キッチンに決まってんだ…ってお前!俺の大事な服に精子撒き散らすな!」



立ち上がった拍子に慎都さんたちのが出てきてしまったんだ。けどそれ…俺のじゃないし撒き散らすなとか無理だもん…っ。



「…俺のじゃないもん。慎都さんたちが…ゴムしてくれないから。」

「そうだよな。悪かった。それなら仕方ねぇ。先に風呂入るか。」

「…游さん、着替えある?」

「ねぇから銀時の貰う。あいつのもんは俺のもんだからな。」

「なんだそれ…。」

「いいんだよ細かいことは。おし誠也、行くぞ。しっかり掴まってろ。」



なんて游さんは言うけど俺が游さんに掴まらなくてもいいぐらい游さんは俺の事を離さないでいてくれるんだ。



「おーし風呂だ。寒くねぇか?誠也。」

「…寒くない。」

「なんだその浮かない顔は。」

「…俺、慎都さんと仲直り出来るかな。」



帰ってきたらまた…抱かれるのかな。続きをされるのかな。仲直りなんて出来ずにずっとやる事になるのかな…。嫌だな…。



「お前あんな事されてもそんなこと言ってんのかよ。」

「…俺が悪いから。」

「そうだな。今回は誠也が悪い。ただ度を越したら意味ねぇじゃねぇか。だから俺は慎都さんを止める。つーか銀時も銀時だよなぁ。あいつは大切なもんを失うのが怖いからよ。慎都さんと同じで。だから気持ちが爆発してお前にあんなことしたんだろうよ。いつもだったらきっと銀時もお前のこと見逃してただろうけど。」

「…銀時さんにも謝らなきゃいけない。」

「は?謝る事ねぇだろ。」

「…え?」

「謝るのは銀時の方だ。あいつも誠也から一旦離れて頭を落ち着かせたらきっと冷静になる。そしたら自分がした事の過ちを理解すんだろ。だからさ誠也、銀時の事、嫌いにならないでやってくれ。その代わり俺が慎都さんとお前の仲を元に戻してやるから。」
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