極道の密にされる健気少年

安達

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齟齬

100話 再会

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寛也は3日足らずで駿里の居場所を突き止めていた。



「組長、まだ駿里の所へ行かれないんですか?」



1日、2日と時が経っても動こうとしない寛也を松下は不思議に思っていた。こんな事は初めてだからだ。いつもはターゲットが見つかりしだい、動いていたからだ。







「そろそろ3日になるか…。行くか」

「はい。準備は出来ています。今行きますか?」

「ああ」






寛也は森廣、松下、島袋、北風と煙草谷を連れて車二台で駿里のいる場所へ向かっていった。






「組長。何故3日も居場所をわかっている上で野放しにしていたのです?その間に警察に通報される可能性だってありましたよ」







森廣が皆不思議に思っていたことを聞いた。駿里の事を狂いそうなぐらい愛している寛也は見つけた瞬間に行くはずだと誰もが思っていたからだ。





「俺は駿里と一緒に暮らしている奴らのことを調べてたんだよ。あいつらをどうすべきか勘がえていた。それに駿里を油断させておいた方が連れ戻しやすいしな」

「それはそうですね。…それと感情に任せるのではなく話し合いをしてくださいね」

「駿里次第だ」




森廣は寛也が人を殺さないことだけを祈っていた。駿里のことはそれからだ。






「着きました」



松下が直ぐに車から降り、寛也側のドアを開けた。




「久しぶりの再会だな」





寛也は3人が今家にいることを事前に調べていた。普通に平穏に過ごしているだろう、と思っている寛也はまさかあんな光景を見るなんて思ってもいなかったので足をゆっくりと進めて行った。




「組長この家の鍵です」




島袋が寛也に渡し、土足で入り込んだ。今家にいるはずだが、1階にあるどの部屋にもいなかった。幹部たちは最悪の事態を頭に浮べる。





「俺が先に2階を見に行ってきます」

「結構だ。俺が行く」





寛也も感ずいた。この時間に1階に居ないという事は寝室にいる。さっきまで楽しそうな顔を浮かべていた寛也が一瞬で変わった。階段を上がり、3人の声が聞こえる部屋の前に寛也達は立った。


そして、勢いよく扉を蹴り開けた。





「何してんだお前」




寛也が鋭い声で言う。寛也の目に入ったのはベッドの上に3人が上がり、直樹達が駿里の服を脱がし始めようと手をかけている光景だった。駿里は寛也の姿を捉えた途端動揺し、震え始める。それを見て寛也の怒りがピークを迎える。






「駿里、下がってて」




直樹と海斗がビクビクと震える駿里を守るように前に出る。




「松下、島袋」




寛也がドスの利いた声で2人指示をし、それを受けた松下と島袋は3人がいるベッドに足を進める。駿里を守るように威嚇している直樹達など2人にとってはネズミ同然だった。





「邪魔だ。今すぐそこから退け、言うことを聞かなければ痛い目に遭わせる」




松下は猶予を与えた。慈悲をかけたつもりだった。直樹たちはただ駿里と出会い何も知らず一緒に暮らしていただけだから。


 


「そんな脅しに乗ると思うなよ犯罪者共め!!お前らこそ警察に通報されたくなかったら今すぐ出ていけ!」





明らかに一般人ではない寛也達の雰囲気に怯えながらも直樹は叫んだ。





「そうだ!さっさと出ていけ!」







松下の慈悲に気が付かなかったようだ。2人はその場を退こうとしなかった。それどころか海斗が島袋に殴りかかろうとした。







「ぐぁ"ぁ"、ゲホッ、ゴホッ、」







一般人が鍛えられているヤクザなんかに勝てるはずもなく返り討ちに遭い、その場に倒れ込んでしまう。島袋は思いっきり海斗の鳩尾を殴ったのだ。




「馬鹿だな。お前みたいな糞へなちょこに俺が殴れるわけねぇだろ。せっかく無傷にしてやろうとしたのによ」




島袋はもう1発海斗に殴りかかろうとした。




「待って!!」




駿里の叫んだ声を聞いて島袋ギリギリで手を止めた。



「もうやめてお願いだからっ、かえりますっ、かえるから」



震えた声で島袋に向かって言った。何言ってんだ、と直樹が駿里の方を振り返り服を掴んだ瞬間




バァンッ!




「アガッ、グァッ、…っはぁ、」






松下が思いっきりそこに置いてあった棒のようなもので直樹の背中を殴った。






「邪魔って言ってんだろ。お前の頭に脳みそは入ってねぇのかよ」





松下が駿里に手を伸ばす。それをみた直樹は気を失いそうなのを必死に耐えながら「逃げろっ、はやく」と言う。だが、駿里は恐怖は動かない。首を振り置いていけない、と涙ながらに言う。それに今松下から逃げた所でドアを塞ぐように北風が立っているので逃げられない。




「駿里っ、早く逃げろ!」

「あ~、まだ意識あんのかよ。めんどくせぇー、足りなかったのか?」






ベッドに乗り上げた松下が倒れ込む直樹を何度も蹴る。駿里が必死にそれを止めようとするが簡単に押さえつけられる。





「かはっ、くはっ、…」





限界だった直樹はその場で気を失った。その様子を満足そうに見ていた松下は視線を駿里に戻した。駿里はビクビクと震え顔が青ざめている。






「よくやった」





椅子に座り込んで一部始終を見ていた寛也が立ち上がった。






「駿里、俺はお前を許そうとしていた。だが、俺がいながらこんな奴らと何をしようとしていた。」








寛也が駿里に近づきながら言う。寛也が近づくにつれて駿里の震えが大きくなり後退りをする。後ろへ下がった駿里の腕を松下が掴み、前へ行くように引っ張った。そしてベッドの寛也側の端まで連れていき駿里を後ろから腕で拘束した。







「…っちが、」

「何が違う?俺にはこいつらがお前の服を脱がそうとしていたように見えたんだが、まさか俺に嘘ついてんのか」






寛也がベッドに座り込み後ろから松下に拘束されている駿里の前に来て頬に手を置いた。





「これじゃまるで俺が悪いみたいじゃねぇかよ。悪いのはお前だろ?駿里。俺はお前を許してやろうと思ってたのによ、少しばかり酷いことをしたのは事実だしな。でもまさかこんなことになってるとは思ってもみなかった。…覚悟しろよ」




寛也は駿里の止まらない涙を拭いながら言った。




「帰ろうな、俺たちの家に」




そう言って寛也は過呼吸になりながら震える駿里を抱きかかえて車に戻ろうとした。



「組長、こいつらどうします?」

「ほっとけ。」



そうは言われたものの松下に思いっきり背中を殴られた直樹の方は重症だろうと思い、寛也がこの寝室を出た後、森廣は救急車を呼び自分も車へと向かった。
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