極道の密にされる健気少年

安達

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誘拐

図星

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*駿里視点



「な、何って言われても…っ、」



もう…!俺は捕まえられてキスされただけなのに!志方さんも康二さんも恨むからな…っ!



「駿里。言えねぇのか?それとも言いたくねぇのか?」



両方です…だなんてバカ正直に寛也に言えないよ…。康二さんをチラって見るけど助けてくれる感じはしない。それどころかちょっとこの状況を楽しんでる…っ。俺は今窮地に立たされてるのに。



「…………っ。」

「おい駿里。無視してんじゃねぇよ。」



そんなこと言われても言えないんだもん…!寛也もそんなに怒らないでよ…!それに言ったら怒るのは寛也じゃんか…!



「だ、だってっ、俺悪くないもん…っ!」

「だったら話してみろ。お前が話さねぇと先に進むに進めねぇだろ。」



うぅ…。もうなんでこうなっちゃうんだ…。寛也にこの後お仕置きされちゃうかな…。けどまぁいいか。お仕置きされるのは嫌だけどその間寛也と一緒にいれるってことだから。



「…康二さんと志方さんがっ、」



寛也の顔が怖い…。このままキスされただなんて言ったら寛也怒るよね…。どうしよう…。



「おい駿里。また黙り込むのか?ほら、怒らねぇから言ってみろ。」

「組長。駿里怖がってますよ。」



俺は別に怖がってなんかいなかったけど圷さんがそう言って寛也のことを止めてくれた。圷さんはいつも俺の味方だ。俺が怖がってないのも多分わかってた。けどそういうことで寛也は俺を責めるのをやめる。だからそう言ってくれたんだ。



「…悪い駿里。怖がらせるつもりはなかった。ただ何があったのかを知りたくてな。」



寛也はそう言って俺の事を抱きしめてくれた。何はともあれ圷さんのおかげで助かった。助かったどころか寛也に抱きしめて貰えた。だから俺は寛也に抱きしめられながら圷さんのことをチラッと見てニコッと笑った。ありがとうという意味を込めて。そしたら圷さんも俺に笑いかけてくれた。



「ううん、寛也は悪くないから謝らないで…。」

「そうだな駿里。お前の言う通りだ。組長、悪いのはそこにいる康二と志方ですよ。こいつらには制裁を下すべきかと。」

「お、おい圷!てめぇ、なんてこと言いやがる!」

「志方!馬鹿お前、口答えすんな!」



圷さんが半笑いで康二さんと志方さんを追い詰めていった。俺はなんだかその状況が面白かった。俺の前では強気で好き放題する2人が圷さんに負けているから。



「く、組長。すみません。ほんの出来心です。許してください。」

「康二。それは本心か?」

「はい。本心です。」

「ならお前らが駿里にしたことを言え。」



寛也もちょっと楽しんでる。まぁそれは当たり前か。寛也は幹部の中でも特に康二さんと志方さんを気にかけてるから。



「…キス、しました。」



って康二さんが言ったら寛也の周りの空気がピリついた。けど寛也は俺には怒るつもりはないのか寛也は康二さんと志方さんばかりを見ていた。



「それはお前だけか?志方もしたのか?」

「…すんません。俺もしました。」

「ほぅ…。そうかそうか。」



俺の頭を撫でながら寛也はそう言った。その時の寛也の顔が気になって俺は寛也の顔を覗き込んだ。そしたら意外にも寛也は怒ってなかった。どうしてだろ…。



「まぁいい。今回は特別に許してやる。」

「え?組長、それは本当ですか?そうやって甘やかしたらこいつら反省しませんよ。」



俺も圷さんと同じことを思った。ただでさえ俺を見つけた瞬間に志方さんはちょっかいをかけてくる。だから少しだけでも自制して欲しい。そのためには寛也の力が必要なんだ。だけど寛也は…。



「いい。今回だけだ。」



って言って2人を許したんだ。いつもだったら仕事量を増やしたりなんだりするのに。



「組長、どうしてか聞いてもいいですか?」



怒られると身構えていた康二さんは不思議そうな顔をして寛也にそう聞いた。俺もその答えを知りたかったから寛也の顔を見た。



「駿里も別に嫌がってないからだ。」

「…え!?」

「どうしたんだそんなに驚いて。事実だろ。」



寛也はなんてことを言うんだっ!嫌がってるに決まってるのに!



「嫌だよ…っ!」

「そうか?」

「そう…っ!」



嫌がってないなんてまるで俺が浮気者みたいじゃないか!俺は寛也一筋だ!



「まぁいい。この話はこれで終わりにしよう。」

「そうですね組長。」



寛也に怒られなかったからか嬉しそうに志方さんがそうやって言った。俺は不満が溜まったって言うのに…。まぁいいけどさ。



「あ、そういえば組長。お伝えしたいことがあるのですがいいですか?」



圷さんが俺の頭をポンポンしながらそう言った。多分圷さんは俺に怒るなって言いたいんだろうな。



「どうした圷。言ってみろ。」

「ありがとうございます。あのですね、実は馬酔木さんから連絡が来ておりまして。」

「親父か?」



馬酔木という名を聞いて俺は目を輝かせた。さっきまでの不満も全部飛んでいった。それぐらい俺は馬酔木さんが好きなんだ。俺の事本当の息子のように接してくれるから。



「はい。」

「どんな内容だ。」



寛也がそう聞いたけど俺は多分寛也よりも内容が気になっていたと思う。だから俺は待ちきれないというように圷さんを見た。そんな俺を見て圷さんは笑ってきたけどそんな事今はどうでもいいぐらい内容が気になった。



「そろそろ駿里を連れて家に来い、という内容です。暫く顔だしてませんからね。心配なんでしょうね。」

「…くそ親父め。駿里にどんだけ会いたいんだよ。一番気に食わねぇのはそれを圷に連絡した所だな。俺に連絡したら無視するってわかってるからよ。」



寛也は俺の事ちょっと強く抱き締めながらそう言った。だから俺は焦った。このままだと寛也はお義父さんのところに行くという決断をしてくれない。それは嫌だ。俺はお義父さんと槐さんたちに会いたい…!



「ち、寛也っ!」

「どうした?」



さっきまで不機嫌だった寛也なのに俺には優しくそう言ってくれる。嬉しい。嬉しいけど今はそれよりも…っ!



「俺、お義父さんの家行きたい!」


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