610 / 638
松下康二の過去
時間の流れ
しおりを挟む
*康二視点
時の流れは早いもので俺は寛也さんと出会って1年が経とうとしていた。初めて見せて貰った海。あの時寛也さんにここにいていいと言われたけど返事はしていない。俺は借金を返すためにいるから。だから…帰らなきゃ行けない。だけど変わったこともある。あの時の俺じゃない。俺は変わった。強くなった。でも…出来ないこともあった。
「康二、もう一回やって見ろ。」
「…はい、寛也さん。」
今俺は寛也さんに銃の撃ち方を教えて貰ってる。だけどこれは俺が一番と言っていいほど苦手なものだった。だってこれは人を殺すためにあるものだから。だから俺はこれを上達したくなかった。ここで働く以上はそんなわがまま言えないけど…人を殺すのには抵抗があったんだ。
「やれ。」
バァン!!
俺の目の先には的があってそれを狙っていた。だけど…外してしまう。わざとじゃないんだ。大きな音に慣れないのもあるし手が震えてしまう…。
「話にならねぇな。」
「…ごめんなさい。」
寛也さんにまたため息をつかれた。けど寛也さんは俺の傍を離れない。俺が的に当てるまで終わらないのかな…?
「あの…寛也さん。」
「なんだ。」
「寛也さんはどうやって撃ってますか?」
「狙いを定める。それだけだ。」
「…そんなんじゃ分かりません。分かりやすく言ってくださいよ。」
「あ?お前最近生意気になったよな。甘やかしすぎたか?」
そう言いながらも寛也さんは怒ってはない。寛也さんは気に食わないことがあると他の部下さんたちを殴ったり蹴ったりするけど俺の事は殴ることも蹴ることもしない。ただ見てくれて褒めてくれる。まだ俺が子供だからかもしれないけど…。
「そうかもしれないですね。」
「康二…お前な。」
「一回寛也さんの撃つとこみたいです。」
「話を聞けよ。」
「ダメですか?」
「駄目じゃねぇけどさ。」
「ならみたいです。」
そしたら俺にもコツが掴めるかもしれない。これは俺の使命なんだ。今はまだ本当にこれを使う時が無いかもしれない。けど俺が大人になった時この調子じゃ寛也さんに迷惑をかける。それはだめだ。
「はぁ…仕方ねぇ。たく、生意気なガキに育っちまったな。」
「寛也さんが俺を育てたんですよ。」
「育てたって言っても一年だけどな。お前はまだ11歳のガキだから。」
「ガキじゃないです!」
ここに来てから…っていうか親元で暮らしてた時もそうだったけど俺以外の子供に会ったことがない。大人ばかりだ。しかもここは寛也さんや森廣さんみたいなかっこいい人たちばかりなんだ。だから俺は子供を早く辞めたい。そしたら出来ることもいっぱいできるから!
「うるせぇ喚くな。そこ座ってろ康二。」
「はい…!」
やっと見れる!嬉しい!俺は凄く嬉しかった!寛也さんはかっこよく撃つんだろうなぁ…なんてずっと想像してたから!だから俺はワクワクしながら待ってたんだけど…何故か寛也さんが俺の事をすごい見てきた。
「なんですか?」
「やけに嬉しそうだなと思ってよ。」
「寛也さん撃つとこ初めてみますから。」
「それが嬉しいのか?」
「はい…!寛也さんは俺の師匠ですから!」
「は?」
「え?」
俺なんか変なこと言ったっけ?言った覚えは…ないけどな…。うーん。どうしたんだろ。
「馬鹿を言うな。俺はお前の上司だ。」
「それは…そうですね。」
「そうだ。ごちゃごちゃ言わずに黙って見てろ。一回だけ撃ってやる。」
「はい…っ。」
緊張してきた…っ。すごい空気だ…。寛也さんの狙撃…っ!!!
「康二、これは練習だが練習だと思って撃つな。撃たなきゃ殺される…そう思って撃つんだ。」
「…え?」
バァン!!
寛也さんが言ったことに気を取られて俺は目が点になった。でもしっかりみた。寛也さんの狙撃を…。的の真ん中を撃って綺麗に的が飛び散った。
「す、すごい…。」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる。」
「…師匠。」
「違ぇ。上司だ。いい加減覚えろガキ。」
「す、すみません…。」
俺が寛也さんのことを師匠と呼ぶ度、寛也さんは怒るけど寛也さんはそれだけ凄いんだ。俺は人を尊敬するとかそんなのないと思ってた。どんな大人も汚い人ばかりって。特にヤクザは。なのに寛也さんは違う。俺が知らないものを沢山教えてくれた。俺の事を怒ってくれたし悲しい時はそばにいてくれた。本物の家族みたいだったんだ。だけど俺は未だに忘れてない。母親の存在を。
「康二、お前今日から俺の事『頭』って呼べよ。」
「かしら…?」
「そうだ。俺は部下にそう呼ばせねぇんだかな。森廣ですら俺の事を若って呼んでんだろ?まぁあいつはいいんだが俺は部下を信頼しねぇんだよ。どいつもこいつも俺の事を恨んでるからな。だがお前は違う。純粋だ。そんなやつをこんな世界に引きずりこんで申し訳ないとも思ってる。だが俺はお前を正式に俺の部下にするつもりだ。」
「それはつまり…?」
「盃を交わすってことだ。俺の右腕になれ、康二。」
時の流れは早いもので俺は寛也さんと出会って1年が経とうとしていた。初めて見せて貰った海。あの時寛也さんにここにいていいと言われたけど返事はしていない。俺は借金を返すためにいるから。だから…帰らなきゃ行けない。だけど変わったこともある。あの時の俺じゃない。俺は変わった。強くなった。でも…出来ないこともあった。
「康二、もう一回やって見ろ。」
「…はい、寛也さん。」
今俺は寛也さんに銃の撃ち方を教えて貰ってる。だけどこれは俺が一番と言っていいほど苦手なものだった。だってこれは人を殺すためにあるものだから。だから俺はこれを上達したくなかった。ここで働く以上はそんなわがまま言えないけど…人を殺すのには抵抗があったんだ。
「やれ。」
バァン!!
俺の目の先には的があってそれを狙っていた。だけど…外してしまう。わざとじゃないんだ。大きな音に慣れないのもあるし手が震えてしまう…。
「話にならねぇな。」
「…ごめんなさい。」
寛也さんにまたため息をつかれた。けど寛也さんは俺の傍を離れない。俺が的に当てるまで終わらないのかな…?
「あの…寛也さん。」
「なんだ。」
「寛也さんはどうやって撃ってますか?」
「狙いを定める。それだけだ。」
「…そんなんじゃ分かりません。分かりやすく言ってくださいよ。」
「あ?お前最近生意気になったよな。甘やかしすぎたか?」
そう言いながらも寛也さんは怒ってはない。寛也さんは気に食わないことがあると他の部下さんたちを殴ったり蹴ったりするけど俺の事は殴ることも蹴ることもしない。ただ見てくれて褒めてくれる。まだ俺が子供だからかもしれないけど…。
「そうかもしれないですね。」
「康二…お前な。」
「一回寛也さんの撃つとこみたいです。」
「話を聞けよ。」
「ダメですか?」
「駄目じゃねぇけどさ。」
「ならみたいです。」
そしたら俺にもコツが掴めるかもしれない。これは俺の使命なんだ。今はまだ本当にこれを使う時が無いかもしれない。けど俺が大人になった時この調子じゃ寛也さんに迷惑をかける。それはだめだ。
「はぁ…仕方ねぇ。たく、生意気なガキに育っちまったな。」
「寛也さんが俺を育てたんですよ。」
「育てたって言っても一年だけどな。お前はまだ11歳のガキだから。」
「ガキじゃないです!」
ここに来てから…っていうか親元で暮らしてた時もそうだったけど俺以外の子供に会ったことがない。大人ばかりだ。しかもここは寛也さんや森廣さんみたいなかっこいい人たちばかりなんだ。だから俺は子供を早く辞めたい。そしたら出来ることもいっぱいできるから!
「うるせぇ喚くな。そこ座ってろ康二。」
「はい…!」
やっと見れる!嬉しい!俺は凄く嬉しかった!寛也さんはかっこよく撃つんだろうなぁ…なんてずっと想像してたから!だから俺はワクワクしながら待ってたんだけど…何故か寛也さんが俺の事をすごい見てきた。
「なんですか?」
「やけに嬉しそうだなと思ってよ。」
「寛也さん撃つとこ初めてみますから。」
「それが嬉しいのか?」
「はい…!寛也さんは俺の師匠ですから!」
「は?」
「え?」
俺なんか変なこと言ったっけ?言った覚えは…ないけどな…。うーん。どうしたんだろ。
「馬鹿を言うな。俺はお前の上司だ。」
「それは…そうですね。」
「そうだ。ごちゃごちゃ言わずに黙って見てろ。一回だけ撃ってやる。」
「はい…っ。」
緊張してきた…っ。すごい空気だ…。寛也さんの狙撃…っ!!!
「康二、これは練習だが練習だと思って撃つな。撃たなきゃ殺される…そう思って撃つんだ。」
「…え?」
バァン!!
寛也さんが言ったことに気を取られて俺は目が点になった。でもしっかりみた。寛也さんの狙撃を…。的の真ん中を撃って綺麗に的が飛び散った。
「す、すごい…。」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってる。」
「…師匠。」
「違ぇ。上司だ。いい加減覚えろガキ。」
「す、すみません…。」
俺が寛也さんのことを師匠と呼ぶ度、寛也さんは怒るけど寛也さんはそれだけ凄いんだ。俺は人を尊敬するとかそんなのないと思ってた。どんな大人も汚い人ばかりって。特にヤクザは。なのに寛也さんは違う。俺が知らないものを沢山教えてくれた。俺の事を怒ってくれたし悲しい時はそばにいてくれた。本物の家族みたいだったんだ。だけど俺は未だに忘れてない。母親の存在を。
「康二、お前今日から俺の事『頭』って呼べよ。」
「かしら…?」
「そうだ。俺は部下にそう呼ばせねぇんだかな。森廣ですら俺の事を若って呼んでんだろ?まぁあいつはいいんだが俺は部下を信頼しねぇんだよ。どいつもこいつも俺の事を恨んでるからな。だがお前は違う。純粋だ。そんなやつをこんな世界に引きずりこんで申し訳ないとも思ってる。だが俺はお前を正式に俺の部下にするつもりだ。」
「それはつまり…?」
「盃を交わすってことだ。俺の右腕になれ、康二。」
52
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる