極道の密にされる健気少年

安達

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松下康二の過去

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*康二視点










「え…っ、盃?」

「そうだ。」

「俺まだ…子供です。」



まだ俺は11歳だ。お酒なんて呑めない。てか飲んだことがない。当たり前だけど…。だからちょっと怖いんだよね。お酒って大人しか飲めないってことでしょ?体に悪いってことじゃん。



「はは、そういうとこは律儀なんだな。」

「お酒は大人になってからです…。」

「俺らに義務も法律もねぇよ。飲もうぜ。」



確かに…そうだけどさ。ヤクザに法律なんて言ってたらキリがない。ヤクザ本人が捕まることなんて有り得ないんだから。普通はね。それは寛也さんに教えてもらった。捕まるのは指示を受けた一般人だけだって。



「嫌です。あと9年経ってから飲みます。」

「はぁ?そりゃお前が20になった時ってことか?」

「そうです!」



それなら問題は無い。俺はここで働いてるけどヤクザになった訳じゃないんだから。ここで働いて借金を返して…それで戻るんだ!家族のとこに!



「生意気な…。それなら借金減らしてやんねぇ。」

「なっ…!!最低ですね!」



借金が減らないんなら俺がここで働く意味が無くなるじゃないか!それは絶対ダメだ!



「お前上司に向かって何だその態度は。」

「寛也さんこそ!」

「だから頭って呼べって言ったろ!」

「もう喧嘩するの嫌です!」

「お前のせいじゃねぇか。まぁいいけど。」



そう言って寛也さんはまたタバコを吸い始めた。そんな臭いものよく吸えるよな…なんて思いながら俺も寛也さんから離れないけど…。



「んで、どうすんだよ康二。俺の家族関係になりたくねぇの?」

「え?俺達はもう家族じゃないんですか?」

「そうだけどよ。正式にってこと。」

「…でもお酒…っ。」

「はは、たくお前は困ったやつだな。全く。」



俺の頭を乱暴に撫でて寛也さんは笑った。この笑顔を一番見れてるのは俺だと思う。寛也さんは仕事の時いつも真顔だから。部下の人がビビって怖がってるのに笑うことすらしないんだもん寛也さん。



「なら酒じゃねぇオレンジジュースとかで交わすか?」

「…それならっ、」

「馬鹿か。冗談だ。いいからやれ。ちょっと舐めるだけでいいから。」

「それって盃交わすことになるんですか?」

「お前が子供だからな。ガキだから。」

「ガキじゃないですって!」



なんで寛也さんはそこまで俺と盃を交わしたいんだろう。俺を煽って酒を飲まそうとしてくる。そんなに未成年に酒を飲ましたいのかよ…っ!俺は学校行ってないけど今普通に行ってたら小学生の分類だからな!



「なら飲めるだろ。な?康二。」

「それは…俺まだ成人してないですもん…。」

「ああ。知ってる。」

「じゃ、じゃあ寛也さんはいつ飲んだんですか?」



あれ…。俺変なこと言っちゃったんかな…。寛也さんが黙り込んじゃった。けど怒ってるわけじゃない。



「康二。俺さ、さっきなんて言ったっけ?頭って呼べって言ったよな?なのに…寛也さん?」

「あ…か、頭は!」



え?それで黙り込んだの…?違うよ。俺にはわかる。寛也さんは聞かれたくないことを聞かれたからそう言ったんだ…。



「頭はいつ飲んだんですか…?」

「そんな知りたいのか?」

「知れるなら知りたいです。寛也さんは俺の事なんでも知ってるから。」

「そりゃ調べたからな。」

「なら俺も知りたいです!」

「…まぁいいか。教えてやる。」



頭は俺には甘い。とっても甘い。部下の人に怒ってても俺には優しくしてくる。だから部下の人から睨まれたりもするけどそれを寛也さんはすぐに見つけるんだ。だから俺は頭に守られまくって生活をしてる。



「康二、あのな…俺は生まれながらヤクザだからんなもん飲まねぇよ。俺の親父が今の組長だ。」

「…なら頭が長男ってことですか?」

「それは違う。」

「そうなんですか…?」

「この話はもういいだろ。」



寛也さんも…そんな顔するんだ。あ…頭って呼ばなきゃ。一瞬だけどさっき頭が寂しそうな顔をしてた。どうして…。俺は…すごく気になった。



「あの…頭。」

「ん?」

「頭のこと教えてください。」

「はぁ?」

「そしたら俺も頑張って酒飲みます。」

「…はぁ。」



頭を困らせてしまった…。けど知りたいよ俺は。頭とこれから俺は暮らしていくかもしれない。親元に戻って頭と離れるかもしれないけどまた会いに行きたい。そんな考え甘いかもしれないけど…。



「ダメですか?」

「あーあ。生意気に育っちまって。森廣のせいだな。」

「教えてください!」

「仕方ねぇな。教えたらちゃんと盃を交わすからな。」

「はい…!」

「たく、生意気な息子だ…。」
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