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42 からだのおく ☆若干すけべ描写あり
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身体の奥がもうずっと痺れている。
何なんだろうな、これ。とっくの昔にあいつは別棟に出勤して、太陽だってこんなに高く昇っていて、なのに俺の意識は未だに夜の中にいる。
昨晩。図書室から俺の部屋に移ったあと、ウェリナは待ちわびたように俺をベッドに押し倒し、行儀の悪い子供がクリスマスプレゼントにするみたいに俺を裸に剥いた。そうして俺の全身を余すところなく嘗め回したあとで、ベッド脇のサイドボードから奇妙な小瓶を取り出した。
それは、ハーブを漬け込んだオリーブオイルで、チャンスに備えてあらかじめ俺の部屋に用意しておいたのだという。いや置くなよ。でも実際、それはたいへん役に立ってしまった。というのも……
「あー、くそっ!」
思い出すとまたケツの異物感が強くなる。正しくはその余韻。いや誤解しないで欲しいんだが、別にヤッたわけじゃない。ただ……指だけ。そう指だけだ。オイルを纏わせた指を一本だけ挿れさせてやった。めちゃくちゃ痛かったし怖かったが、奴がどーしてもと言うから我慢して受け入れてやったのだチクショウ。
いや、痛いだけならまだ良かったんだがな。
さいわいオイルのおかげか、痛みはすぐに収まった。が……問題はその後だ。疼くようなむず痒いような刺激が中を襲い、俺は、それを鎮めるためにも奴の指を求めざるをえなくなった。多分……オイルに漬け込んだハーブに、その手の効果が備わっていたんだろう。ったく、あいつマジで最悪だな!
で、その感触が今もうっすらと奥に残っていて、日が高くなった今も俺の身体を疼かせている。
――アル、どう? 気持ちいい?
「っ……い、いわけねぇだろ、くそ……っ!」
「どうかなさいましたか」
テーブルのそばに侍るサビーナが、心配顔で俺に問うてくる。あ、いやと慌てて場を繕いながら、俺は手元のカップに目を落とす。いつもと変わらぬ朝食後の一杯。その、繊細なカップで揺れる澄んだ琥珀色の液体を見つめながら、やっぱコーヒーが飲みてぇなと俺は思う。
とりあえず紅茶を流し込むと、俺は図書室に向かう。別に昨日の出来事を反芻したかったわけじゃない。つーかむしろ出来ることならさっさと忘れたい。そうではなくて、昨晩ウェリナが読んでいた本が何となく気になったのだ。実際、本を見つめる奴の目は真剣そのものだった。
朝の図書室は、夜とは打って変わって新鮮な光に満たされていた。といっても、本の劣化を防ぐためか窓は数も大きさも控えめで、全体としては夜と同程度に薄暗い。ただ、その控え目な窓から差し込む光は怖いぐらいに澄んでいて、うっすらと舞う埃がきらめく様さえ何だか高貴な気分にさせる。
そんな薄暗い図書室のフロアを突っ切り、奥の書架へと向かう。
そこはまさに昨晩、俺とウェリナが人知れず痴態を晒しまくった場所で、今は乾いているもののよく見たら床とか壁にその跡が残っているんだろうなとは思うが、わざわざ確認するのも鬱陶しくて俺はそのまま書架に向き合う。奴が本を挿したのは、確かこの辺り……おっ、さっそく発見。背表紙のデザインと劣化具合には確かに見覚えがあるぞ。さっそく書架から引っ張り出し、革張りの表紙に箔押しされた表題を読み取る。文字は転生後、なぜか勝手に読めるようになったので解読に支障はない。ただ、表紙の文字が劣化で掠れているのと、部屋が薄暗いせいで若干読みにくい。ええとこれは、何と書かれて……
「――えっ」
その意外なタイトルに覚えず声が漏れたとき、図書室の外からメイドと思しき女性の慌てた声がする。
「お、お待ちくださいカサンドラ様!」
はい? えっ、どういうこと? 今、確かにカサンドラって……まさか。
と、思う間に、今度は別のメイドの声がする。
「妃殿下! 王太子殿下は現在、面会謝絶の危険な状態です!」
妃殿下。ってことはやっぱりあのカサンドラかぁ。リチャード王子のご母堂で、王太子の俺を密かに抹殺しようと目論む悪女(仮)。そんな彼女がいきなりご登場? ……って、まじかよ。
何なんだろうな、これ。とっくの昔にあいつは別棟に出勤して、太陽だってこんなに高く昇っていて、なのに俺の意識は未だに夜の中にいる。
昨晩。図書室から俺の部屋に移ったあと、ウェリナは待ちわびたように俺をベッドに押し倒し、行儀の悪い子供がクリスマスプレゼントにするみたいに俺を裸に剥いた。そうして俺の全身を余すところなく嘗め回したあとで、ベッド脇のサイドボードから奇妙な小瓶を取り出した。
それは、ハーブを漬け込んだオリーブオイルで、チャンスに備えてあらかじめ俺の部屋に用意しておいたのだという。いや置くなよ。でも実際、それはたいへん役に立ってしまった。というのも……
「あー、くそっ!」
思い出すとまたケツの異物感が強くなる。正しくはその余韻。いや誤解しないで欲しいんだが、別にヤッたわけじゃない。ただ……指だけ。そう指だけだ。オイルを纏わせた指を一本だけ挿れさせてやった。めちゃくちゃ痛かったし怖かったが、奴がどーしてもと言うから我慢して受け入れてやったのだチクショウ。
いや、痛いだけならまだ良かったんだがな。
さいわいオイルのおかげか、痛みはすぐに収まった。が……問題はその後だ。疼くようなむず痒いような刺激が中を襲い、俺は、それを鎮めるためにも奴の指を求めざるをえなくなった。多分……オイルに漬け込んだハーブに、その手の効果が備わっていたんだろう。ったく、あいつマジで最悪だな!
で、その感触が今もうっすらと奥に残っていて、日が高くなった今も俺の身体を疼かせている。
――アル、どう? 気持ちいい?
「っ……い、いわけねぇだろ、くそ……っ!」
「どうかなさいましたか」
テーブルのそばに侍るサビーナが、心配顔で俺に問うてくる。あ、いやと慌てて場を繕いながら、俺は手元のカップに目を落とす。いつもと変わらぬ朝食後の一杯。その、繊細なカップで揺れる澄んだ琥珀色の液体を見つめながら、やっぱコーヒーが飲みてぇなと俺は思う。
とりあえず紅茶を流し込むと、俺は図書室に向かう。別に昨日の出来事を反芻したかったわけじゃない。つーかむしろ出来ることならさっさと忘れたい。そうではなくて、昨晩ウェリナが読んでいた本が何となく気になったのだ。実際、本を見つめる奴の目は真剣そのものだった。
朝の図書室は、夜とは打って変わって新鮮な光に満たされていた。といっても、本の劣化を防ぐためか窓は数も大きさも控えめで、全体としては夜と同程度に薄暗い。ただ、その控え目な窓から差し込む光は怖いぐらいに澄んでいて、うっすらと舞う埃がきらめく様さえ何だか高貴な気分にさせる。
そんな薄暗い図書室のフロアを突っ切り、奥の書架へと向かう。
そこはまさに昨晩、俺とウェリナが人知れず痴態を晒しまくった場所で、今は乾いているもののよく見たら床とか壁にその跡が残っているんだろうなとは思うが、わざわざ確認するのも鬱陶しくて俺はそのまま書架に向き合う。奴が本を挿したのは、確かこの辺り……おっ、さっそく発見。背表紙のデザインと劣化具合には確かに見覚えがあるぞ。さっそく書架から引っ張り出し、革張りの表紙に箔押しされた表題を読み取る。文字は転生後、なぜか勝手に読めるようになったので解読に支障はない。ただ、表紙の文字が劣化で掠れているのと、部屋が薄暗いせいで若干読みにくい。ええとこれは、何と書かれて……
「――えっ」
その意外なタイトルに覚えず声が漏れたとき、図書室の外からメイドと思しき女性の慌てた声がする。
「お、お待ちくださいカサンドラ様!」
はい? えっ、どういうこと? 今、確かにカサンドラって……まさか。
と、思う間に、今度は別のメイドの声がする。
「妃殿下! 王太子殿下は現在、面会謝絶の危険な状態です!」
妃殿下。ってことはやっぱりあのカサンドラかぁ。リチャード王子のご母堂で、王太子の俺を密かに抹殺しようと目論む悪女(仮)。そんな彼女がいきなりご登場? ……って、まじかよ。
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