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悪夢
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――いやだ。もうたくさんだ。
そんなロアの悲鳴は、しかし、誰にも届くことなく夜に融ける。
今まさに天井を覆う巨大な影は、ロアに絶望と苦痛とを強いるためだけに存在していた。いっそ殺してほしい。父さんや弟、妹たちをそうしたように。母さんも……もう生きてはいないだろう。人間と見るや踏み躙り、命尽きた後でさえ辱めるのが奴らの習性だ。だから――
ああ。
こんな地獄は抜け出して、早くみんなのところへ逝ってしまいたい。奴らに穢された身体など捨て去って、早く、早くみんなのところへ――
なのに。
それでも。死を選び取ることのできない自分が確かにいる。
奴らがロアを幽閉した尖塔の小窓からは、身を投げ出せばいつでも天国に旅立つことができる。この、永遠に続く地獄の日々から解放されるには、そうするしか道はない。それは、わかっている。なのに――死ねない。死など怖くはない。そんなものはちっとも。ただ。
「おい、人間」
竜の唸りに似た声にロアは我に返る。
漆黒の影の中、ぎらつく双眸が舐めずるようにロアを見下ろしている。
「もっと中を緩めろ。締まりが良いのは結構だが、ここまで締め出されるとさすがに興醒めだ」
「……い、」
嫌だ。そう声に出したくて、しかし苦痛と恐怖がロアの喉から声を奪う。ただでさえ人間のものに比して巨大なそれは、まして幼い身体には拷問以外の何物でもない。それでも影は、なおロアの中を容赦なく蹂躙する。そのたびに内臓が押し上げられ、耐えがたい痛みと吐き気に、ロアは苦悶の呻きを漏らすことしかできない。
「……っ、う」
「そうだ。俺を受け入れろ、人間」
そして影は、ゆるりと引き抜いたそれを、今度は一気にロアの奥へと叩き込む。ぐぇ、と情けない悲鳴が漏れ、惨めさに涙するロアを、影は、痛快とばかりにさらに穿つ。
「残念だ。お前ほどの美貌なら、さぞや美しい仔を産んだろうに……もっとも、たとえお前が牝であっても、俺の種では孕ませられんのだがな」
そして影は、くくくと低く笑いながらふたたびロアを突き上げる。そうすることで自分の精を、受け皿のないロアの肚に無理やり孕ませるかのように。
そんな影の冷酷な双眸を、なけなしの気力でロアは睨み返す。
ああそうとも。俺は死ねない。こいつを、否、こいつらを、一匹残らず地獄に叩き落とすまでは――
そんなロアの抗う目が気に入らなかったのだろう。影は、それまでにも増して冷酷な色を双眸に宿す。……怖い。そうロアが背筋を凍らせた時にはもう、彼の棒切れのような太腿には影の巨大な手のひらがあてがわれていた。
手の甲どころか指先までびっしりと覆う剛毛。その剛毛まみれの指先には、鎌を思わせる巨大な鉤爪。
「あくまでも抗うつもりか。なら……誰がお前の主人か、改めて、その身に刻んでやろう」
そして影は、その巨大な鉤爪をロアの太腿にずぶりと埋めた――
※11月のBL大賞にもエントリーさせて頂いています。応援よろしくお願いします。
そんなロアの悲鳴は、しかし、誰にも届くことなく夜に融ける。
今まさに天井を覆う巨大な影は、ロアに絶望と苦痛とを強いるためだけに存在していた。いっそ殺してほしい。父さんや弟、妹たちをそうしたように。母さんも……もう生きてはいないだろう。人間と見るや踏み躙り、命尽きた後でさえ辱めるのが奴らの習性だ。だから――
ああ。
こんな地獄は抜け出して、早くみんなのところへ逝ってしまいたい。奴らに穢された身体など捨て去って、早く、早くみんなのところへ――
なのに。
それでも。死を選び取ることのできない自分が確かにいる。
奴らがロアを幽閉した尖塔の小窓からは、身を投げ出せばいつでも天国に旅立つことができる。この、永遠に続く地獄の日々から解放されるには、そうするしか道はない。それは、わかっている。なのに――死ねない。死など怖くはない。そんなものはちっとも。ただ。
「おい、人間」
竜の唸りに似た声にロアは我に返る。
漆黒の影の中、ぎらつく双眸が舐めずるようにロアを見下ろしている。
「もっと中を緩めろ。締まりが良いのは結構だが、ここまで締め出されるとさすがに興醒めだ」
「……い、」
嫌だ。そう声に出したくて、しかし苦痛と恐怖がロアの喉から声を奪う。ただでさえ人間のものに比して巨大なそれは、まして幼い身体には拷問以外の何物でもない。それでも影は、なおロアの中を容赦なく蹂躙する。そのたびに内臓が押し上げられ、耐えがたい痛みと吐き気に、ロアは苦悶の呻きを漏らすことしかできない。
「……っ、う」
「そうだ。俺を受け入れろ、人間」
そして影は、ゆるりと引き抜いたそれを、今度は一気にロアの奥へと叩き込む。ぐぇ、と情けない悲鳴が漏れ、惨めさに涙するロアを、影は、痛快とばかりにさらに穿つ。
「残念だ。お前ほどの美貌なら、さぞや美しい仔を産んだろうに……もっとも、たとえお前が牝であっても、俺の種では孕ませられんのだがな」
そして影は、くくくと低く笑いながらふたたびロアを突き上げる。そうすることで自分の精を、受け皿のないロアの肚に無理やり孕ませるかのように。
そんな影の冷酷な双眸を、なけなしの気力でロアは睨み返す。
ああそうとも。俺は死ねない。こいつを、否、こいつらを、一匹残らず地獄に叩き落とすまでは――
そんなロアの抗う目が気に入らなかったのだろう。影は、それまでにも増して冷酷な色を双眸に宿す。……怖い。そうロアが背筋を凍らせた時にはもう、彼の棒切れのような太腿には影の巨大な手のひらがあてがわれていた。
手の甲どころか指先までびっしりと覆う剛毛。その剛毛まみれの指先には、鎌を思わせる巨大な鉤爪。
「あくまでも抗うつもりか。なら……誰がお前の主人か、改めて、その身に刻んでやろう」
そして影は、その巨大な鉤爪をロアの太腿にずぶりと埋めた――
※11月のBL大賞にもエントリーさせて頂いています。応援よろしくお願いします。
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