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2.ついに始まる異世界生活
だがそこで、轟音を聞きつけたのか、見張りの男が走ってきた。
「やめろっ……! またお前か!! リューオ! 何やってるんだ!!」
「ここから出せっ!! 今悲鳴が聞こえただろーがっっ!!」
「そんなもんお前は気にしなくていいの!! ここで大人しくしてろ!」
「なんでだよ!! 俺は困ってるお前ら助けるために召喚されたんじゃないのか!??」
「それはもっと優秀な奴召喚してやってもらうから。お前みたいなハズレはここで大人しくしてろ」
「ハズレで悪かったな! 俺は俺をハズレだなんて思ったことねーんだ! 俺的にはハズレじゃない!」
「そんなことどうでもいいよ!! とにかくここで大人しくしていてくれ!! 今重要な会議中なんだよ」
「会議ぃ……? なんでそんなもん俺が待たなきゃならねーんだよ……だったら俺が出てやるよ!」
「お前に何ができるんだよ! とにかくお前はここで大人しくしてろ!! 今日の餌は少し多めにしてやるから」
「餌ってなんだ餌って!!!!」
「あーー……うるさい。黙れよ。頼むから!」
「だったら静かにしてやるから、ちょっとだけこっちこい!! 鍵、返してやるよ……」
俺がそいつから掠め取った鍵を見せつけると、そいつはびっくりして、いつも鍵を下げていた腰を見下ろす。そこにはいくつもの鍵を束にしたものがいつものように下がっているけれど、俺がいただいた鍵だけは当然ない。
見張りの男は、自分の持っている鍵の束を確認して、俺を睨みつけた。
「ふ、ふざけるな!! お前っ……それは俺の部屋の鍵だ!!」
「うっわ……いらねー……だったら名前でも書いとけよ!」
「うるさい!! 返せ!!」
腹を立てて近づいてくる男。油断しすぎだ。
俺は、背後に隠し持っていたテーブルの残骸を振り上げ、鉄格子の間から男を殴りつけた。
あっさり倒れる男。目を瞑って動かないが、息はしている。失神したらしい。
ちょっとやりすぎたか……? だけどこいつ、俺がここに召喚されたばかりの頃、俺を後ろから殴ってここに押し込んだんだ。お互い様じゃないか。
「借りるぞ」
鉄格子の間から手を出して、見張りの男が落とした鍵の束を取り上げる。そして一本一本鍵穴に入れてみるが、どれを試しても扉が開かない!!
なんだこれ!!!? どうなってるんだよ!!
「くっそ……なんで開かねえんだっ……!!」
もしかして、この束じゃないのか!? あーー!! もうめんどくせえ!!
鍵は諦めた。
代わりに鉄格子のそばに倒れた男の服を漁る。確かこいつ、いくつも魔法の道具を持っているんだ。それがあれば、ここから逃げられるかもしれない。
鉄格子越しではやりにくいが、そいつが落としたものを確認する。すると、丸い球のようなものが床にコロコロ転がった。
「なんだ……? これ……」
軽く握れるくらいの大きさだが、ツルツルしていて、投げるには向かないようだ。握っていると、それはだんだん赤くなって、熱くなってくる。
まずい……っ!!
本能的にそう思った。咄嗟にそれを扉に投げつけると、それは扉にカンっと音を立ててぶつかって爆発する。
爆風が飛んできて、両手で首から上だけ守った。
目を開ければ、扉は爆発で吹っ飛んでいる。
しかも、爆発にはそれ以上を破壊する力はなかったみたいで、俺はちょっと爆風で腕が熱いのと、飛んできた石だか鉄格子の破片だかで擦り傷を作ったくらいですんだ。
俺はついている。これで逃げられる!!
逃げる途中で、倒れた男を見下ろす。すると、さっきの爆破の球より一回り大きいやつと、羽の形をした宝石みたいなもの、他にも魔法の道具らしきものが落ちていた。
球の方は多分、さっきの爆破の球を強化したようなものだろう。多分! だってさっきのに似てて大きいし!
羽の形をしたやつは、見たことがある。ここにいる奴らが空を飛ぶ時に使っていた。
……ってことは、これを使えば俺も飛べるのか!? 一回空を飛んでみたかったんだよ! 俺は!!
ベッドの枕カバーを剥ぎ取って、拾ったものをいくつか入れる。これで装備は完璧だ。
俺ってかなり幸運じゃないか!? いきなり色々揃ったんだから!!
ここから俺の異世界生活が始まるんだ。
とりあえず、さっき悲鳴が聞こえた方に行ってみよう。俺を召喚した奴には一度仕返ししたかったんだ。
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