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3.手っ取り早く、窓を割ろう
地下の牢を出た俺は、久しぶりの自由を謳歌しながら、階段を駆け上った。俺の牢の鍵はなかったくせに、階段の先にあった扉は簡単に開けることができた。
扉の向こうは豪華絢爛なシャンデリアと大理石っぽい床。廊下だの城だのを作る建材は魔力がこもったもので、魔物や魔獣に対する防衛能力が最強だって、見張りの男が自慢していたのを覚えている。
魔物からは守れても、俺からは守れなかったってことか。
さすが俺。
異世界でも問題なくやっていけるな。絶対。
地下牢で聞こえた悲鳴は、もう聞こえない。
俺がいた地下まで悲鳴が聞こえるって…………どんな悲鳴だよ。よほどのことがあったのか?
右か左か、どっちへ行こうかキョロキョロして、とりあえず歩き出すと、背後からひどい叫び声がした。その絶叫だけで城を落とせそうな悲鳴だ。途中で耳が痛くなって、俺はずっと両耳を押さえていた。
「なんだ……今の…………」
一体、何があったんだ?
だが、これで進む方向が決まった。俺は、今歩き出していた方と逆方向にくるりと振り向いて、声が聞こえた方に走り出した。
*
少し走ると、広い廊下に出た。そこは、俺の身長を遥かに凌駕する大きな窓が並ぶ廊下で、そこから庭が見えた。
すでに夜らしく、空は暗い。それなのに、庭は明るい。いくつも庭に浮いている光る丸い玉のおかげだろう。多分あれが、庭を照らすための照明なんだ。
それに照らされて、庭で大きな何かが丸くなっている。城の二階くらいまではあるだろう、大きな黒い獣だ。
なんだあれっ……! 見張りが魔獣がどうとか言ってたが、あれが魔獣か!? いや、魔物がどうとかも言ってたな……ってことは、もしかして魔物の方か!!??
……どっちなのか分かんねーな……そういえば俺は、この世界の常識がまったくない。
ここに来てからすぐに地下に押し込められて、たまに外に出されたかと思えば、どんな能力があるのか調べられる日々だ。
もううんざりしてたんだよなーー……
常識だの世界のことだの、これから知ればいいよな! うん!
だが、魔獣だの魔物だのっていうのは、ここに住んでる連中からしたら、敵なんじゃなかったか? そいつと戦う能力があるかとか、それと戦う魔法を生み出すために役に立つかとか、そんなことを調べられたし。
じゃあ庭のあれは、なんであんなところにいるんだ? ここ、王様が住む城だよな?
窓の外の獣は、空に向かって吠えている。だけどその声は、さっきよりずっと弱々しい。その首だの体だのには、鎖が巻かれているじゃないか。それを庭に立った兵士たちが引っ張っていた。あの鎖に締め付けられて苦しいんだ。何やってんだ、あいつらっ……!!
あの連中にとっては敵かもしれないが、俺には弱い者いじめにしか見えねーー!!
窓を開けようとしたが開かない。
なんでこの城のものは全部鍵がかかってるんだよ!!
もうめんどくせえ! 割る!!
さっき奪った球を窓に向かって投げつける。するとそれは爆発して、窓ガラスに大きな穴を開けた。
もう異世界生活にも慣れてきたな!
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