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7.俺はどうすれば
しおりを挟む恥ずかしいのと焦るのとで、俺はもう泣きそう。
後ろから殿下をつけていたことがバレていたなんて。死にたい……
そんな情けない俺に、殿下は凄んできた。
「てめえ……表出て待ってろ」
「え……」
「逃げんなよ……」
「は、はい……」
どうしよう……
つけてたことを怒っているんだ。
俺はずっと殿下の後をつけ回してしまったんだから、それも当然だろう。
本当は声をかけて、婚約者への贈り物を台無しにしてしまったことを謝りたかったのに、なんでこうなるんだ。
「あ、あのっ…………ご、ごめんなさいっ……!」
精一杯謝ってから、俺はその店を飛び出した。
そして早速、自己嫌悪に襲われる。
俺はなんてだめな奴なんだ。また殿下に嫌われるようなことをしてしまった……殿下に不快な思いをさせるつもりじゃなかったのに。
殿下が帰ってきたら、全部ちゃんと返して、ごめんなさいって言おう。
許してくれるかな……これを機に、もう二度近寄るなって言われるかもしれない。
顔も見たくないって言われたら、俺は学園を出て行った方がいいのか?
殿下がそれを望むならそうした方がいいか……殿下が勉学に集中できなくなったら俺のせいだ。
そのせいで殿下が学園にいるのは嫌だって思うようになったらどうしよう。俺はどう言って詫びたらいいんだ。ごめんなさいじゃすまないだろう。
とにかく、まずは、返さなくてはならないものを返す。それから、殿下の気のすむようにしてもらう。
その後は……婚約者が殿下を支えてくださるのかな……
……本当は、俺がそばにいたかったが…………
だけど、拾われた蝙蝠が婚約者なんかになれるはずない。親友はいい奴だ。頭もきれて、その上優しい。きっと、殿下にとって、素晴らしい伴侶になるはずだ。
俺は……
買ったばかりのものを見下ろす。
半分は、殿下の好きな肉。もう半分は、親友が好きな野菜。
二人がうまく行くといい。そうなったら、俺は殿下のそばには近づかない方がいい。こうして迷惑かけてばかりだし。
俯いて、じーっと買ったものを見下ろしていたら、背後から殿下の声がした。殿下が店から出てきたんだ。
「おい……」
「は、はいっっ……!!」
びっくりして、振り返る。そこには、小さな紙袋を持った殿下が立っていて、焼きたてのパンの匂いがした。
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