100 / 174
番外編5.花嫁修業してドジを直します!
100.お客さんのために頑張る!
しおりを挟む僕らは客間についたけど、オーフィザン様がいない……どうしたんだろう?
「しばらく待っていてください。クラジュ、決して周りにあるものに勝手に触れないように」
セリューは、僕に念を押して部屋を出て行く。
三人だけになって、僕らはみんなでソファに座った。僕が真ん中でフィッイルが僕の左隣、キュウテが反対側。早くオーフィザン様、戻ってこないかなあ。寂しいよ。
ドアが早く開かないかなって思いながらそっちを見ていると、隣のフィッイルが僕のことをツンツンってつついた。
「ねえねえ、クラジュ」
「なに?」
「オーフィザンのこと、もっと教えてあげようか? お前まだ、オーフィザンについて知らないこと、多いだろ?」
「フィッイルは知ってるの?」
「もちろん。僕、魔法使いなんだよ」
「え?」
フィッイルも? オーフィザン様と同じことができるの?
彼はソファから起き上がる。キュウテも興味深そうに言ってきた。
「えー、なんの話ー?」
「フィッイル、魔法使いなんだって!!」
「え? ま、魔法が使えるの? すごーい!! ねえ! やって見せてよ!!」
「仕方ないなあ……」
そんなことを言いながらも、フィッイルはちょっと嬉しそう。
彼が一度手を握り、それをゆっくり開くと、てのひらから光が溢れてくる。だけどそれはすぐに消えてしまう。他には何も起こらない。
「フィッイル……? 何にも起こらないよ……?」
僕が聞くと、フィッイルは決まり悪そうに顔をそらす。
「僕……あんまりうまく魔法が使えないんだ……」
「……え?」
「……昔、オーフィザンに襲われたことがあって、その時魔力を使いすぎて……それからずっと……」
「お、襲われた!?」
「うん……あいつ、ひどいんだ……」
……そんな……オーフィザン様、なんでそんなことしたの? フィッイル、すごく悲しそう。このままじゃかわいそう!!
「だ、大丈夫だよ! フィッイル! 僕がフィッイルに魔法が使えるようにしてあげる!!」
「え? ちょ……クラジュ!? どこ行くの!?」
僕は部屋を飛び出した。オーフィザン様の寝所には、オーフィザン様の杖がある! オーフィザン様は、いつもはあれを使わないけど、広範囲の魔法を使う時は、これがあれば集中できるって言ってた。それなら、フィッイルも、あれがあればうまく魔法がつかえるかも!!
寝所の鍵はオーフィザン様に渡されている。そこの鍵を開けて中に入るけど、いつもある場所に杖がない。
なんでだろう……朝はあったのに!
どうしよう……何か、代わりの杖があればいいのに。あ、そうだ! 確か、だいぶ前に魔法の道具の研究室から持ち出したものを、隠したことがあるんだ! あれも杖っぽかった。おととい持ち出したものは全部回収されちゃったけど、あれなら別の部屋のベッドの下に隠していたから、きっとまだある!
急いでその部屋に行くと、確かにベッドの下にあった! いつもオーフィザン様が使うものとは少し違う気がしたけど、これでもなんとかなるはず!
僕は杖を持ってフィッイルたちがいる部屋に戻るけど、せっかく魔法が使えるかもしれないのに、フィッイルは受け取ってくれない。
「やめとく。その犬が僕を見張ってるから」
彼は、彼の後ろにぴったりくっついている犬さんを指差す。
「でも、これがあるとうまく魔法を使えるんだよ! 僕、オーフィザン様が使うの見たことがある! 見ててね!」
えーと、どうやって使うんだっけ?
オーフィザン様がこれを使ってた時を思い出してみるけど、なかなか思い出せない。やり方を教えてあげたら、フィッイルもやる気になってくれるはず!
必死に振り回していると、フィッイルに後ろから肩をポンって叩かれた。
「クラジュ、もういいから。何か起こったら僕がオーフィザンに責められる。それに、それ本当にオーフィザンの杖?」
「あ、諦めちゃダメだよ!」
彼に振り返ると、杖の先がテーブルに置いてあったものに当たっちゃった。
ぶつかったものは小さな竜の置物で、それは床に落ちて割れてしまう。
わわわ! どうしよう! また壊しちゃった!!
焦って破片を片付けようとしたけど、近づくと壊れた置物は急に光りだした。え……なに?
10
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
双子のスパダリ旦那が今日も甘い
ユーリ
BL
「いつになったらお前は学校を辞めるんだ?」「いつになったら俺らの仕事の邪魔をする仕事をするんだ?」ーー高校二年生の柚月は幼馴染の双子と一緒に暮らしているが、毎日のように甘やかされるも意味のわからないことを言ってきて…「仕事の邪魔をする仕事って何!?」ーー双子のスパダリ旦那は今日も甘いのです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる