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番外編16.オーフィザン様とデート!
164.デートの邪魔だ!
しおりを挟むどうしよう……せっかくのデートなのに、オーフィザン様が意地悪な顔になっちゃった!
「お、オーフィザン様……? まさか……」
「仕置きだ」
「ふええええ!? ここでですか!?」
「もちろんだ」
言って、オーフィザン様は、スプーンでアイスをすくって、僕の前に突き出してくる。
「両手をついて、できるだけいやらしい顔をして食べろ」
「ふえ!?」
「できないのなら、後ろに玩具を詰めるぞ」
「ふええええ?? そ、そんなの、ダメです!」
慌てる僕の前に、オーフィザン様が、真っ白なアイスをすくったスプーンを突き出してくる。
オーフィザン様、怒ってるみたいだし、ちゃんとしなかったら、もっと意地悪されちゃう!
慌てた僕は、スプーンのクリームを舐めとった。ビチャって音がして、すっごく恥ずかしい!!
だけどオーフィザン様は、すっごく楽しそうに僕を見つめて、アイスをもうひとすくい。そして、それを僕に向けてくる。
うううううー!! 一回じゃだめなの?? オーフィザン様が、意地悪になっちゃった!!
「お、オーフィザンさま……ま、まだダメですか??」
「ああ。もちろん、まだダメだ。もう一度やれ」
「う、うううー!! は、恥ずかしいですっ!!」
僕が真っ赤になっても、オーフィザン様はやめてくれない。軽くスプーンを振られて、僕は、すっかり溶けてしまっているアイスを舐めた。
恥ずかしかったけど、スプーンの柄についたアイスまで、丁寧に舐めとった。
「上手だぞ。クラジュ」
「本当ですか!? じゃあ、お仕置き終わりですか!?」
「まさか。あと一回だ」
「うええ!? まだするんですか!?」
……オーフィザン様が意地悪だ……
だけど、オーフィザン様、楽しそう。
が、頑張る!! ミルクのアイス、おいしいもん!
決意して、スプーンに舌を這わせてみた。
そしたら、横から突然、声がした。
「オーフィザン!!」
「うわあああああっ!!」
突然、横から人が出てきて、僕はびっくりして飛び退いちゃう。
うううううーー! すっごくびっくりしたよ!??
突然僕らの間に入ってきたのはブレシーだ。お城に行ってたんじゃなかったの!?
「オーフィザン!! こんなところにいたんですか! セリューさんからリストは」
言いかけたブレシーの胸ぐらを、オーフィザン様は掴んじゃう。オーフィザン様、めちゃくちゃ怒ってるみたいだ。
「一秒やるから言い訳をしろ。その間に貴様を殺す」
「お、おおおおお、オーフィザン!? い、一秒で殺すのに、何をどう言い訳しろと言うんですか!?」
「そうか。それが最後の言葉でいいんだな」
「や! やめてください! オーフィザン!! く、クラジュ!! 見てないで、オーフィザンを止めてください!!」
ブレシーが僕に振り向いて泣きそうになって言うけど、オーフィザン様、そんなことしないよ?
だけど、ブレシー、泣いてるし、ちょっと苦しそう。
「お、オーフィザン様!! 落ち着いてください……!」
「……」
オーフィザン様は、無言でブレシーを離してくれた。
何度か咳き込んで、ブレシーは乱れた服を直してる。
「あ、相変わらず乱暴な人だ……今はデートより大事なことがあるはずです! オーフィザン!! セリューさんからリストを受け取ったんですか!?」
「そんなことを聞きにきたのか? 悪いが、俺の執事は、貴様らの勝手な都合で俺の何より大事な時間を潰すような無粋な真似はしないように躾けてあるんだ」
「猫の散歩なんかより、城の晩餐会の方がよっぽど…………い、いえ、城の晩餐会の方がどうでもいいですけど……僕、晩餐会ではクラジュのそばにいるので……う、うう打ち合わせに来たんです!」
「なんだと?」
「……晩餐会では、僕とキュウテがクラジュとあなたのそばにいます。クラジュを貴族たちからガードするためです。だから、その……オーフィザン、あなたの方には、あまり構えないんです。だから、き、気に入らないことがあっても、無闇に魔法を振るったりしないでください」
「……そんなことはしない。お前たちは俺をなんだと思っているんだ?」
「もちろん、あなたが無闇に魔法を振るう乱暴者なんて、そんなに思ってません」
「そんなに?」
「お、落ち着いてください! そんなに怖い顔しないで!! だ、だからそのっ……!」
焦るブレシーの背後から、にゅっと、別の男の人が顔を出した。オーフィザン様よりずっと背が低くて、僕と同じくらい。童顔で、ふわふわの長い茶髪の間に、小さな二本の角が見えた。
オーフィザン様は、彼をキョテルと呼んで、また嫌そうな顔をした。
「お前まで……一体、何の用だ?」
「陛下に、ブレシーだけ抜け駆けしないように見張れって言われましたー」
「抜け駆け?」
「ブレシーだけがあの猫じゃらしを手に入れちゃうんじゃないかって、心配しているみたいですー」
「……そんなにあの猫じゃらしが欲しいのか?」
「陛下が言うには、オーフィザンだけ自分の猫にベタ惚れされててずるい、とのことですー」
「ふん。それは普段の私の努力の賜物だ」
そう言って、オーフィザン様は僕を抱き寄せる。なんだか、嬉しそう。
そして、少しの間なら話をしてやると言い出した。
「短く済ませろ。俺の猫が退屈しないように」
すれと、眠そうにキョテルさんが手をあげる。
「はーい。って言っても、僕はー、ブレシーがあの猫じゃらしを手に入れそうなら、かすめとれって言われただけなんです」
キョテルさんがニコニコしながらブレシーに振り向くと、ブレシーはめちゃくちゃ嫌そうな顔をしちゃう。
「僕は、あの猫じゃらしはいらないって言ってるのに……陛下も、他の貴族たちも、猫じゃらし一本で、騒ぎすぎです」
「そんな顔しないでください。陛下は、キュウテにそっぽ向かれちゃって、死にそうなんですから」
陛下が死にそうって話をしてるのに、キョテルさんは笑顔。
僕が「キュウテ、なんでそんなに怒ってるんですか?」って聞くと、キョテルさんは、僕に振り向いた。
「キュウテはー、最近陛下が忙しくて構ってくれないから拗ねてるんですよー。そんなわけなので、オーフィザン! あの猫じゃらし、僕にもください」
「……お前もか? もうないと言っただろう」
「なければ作ればいいんです。僕だって、可愛い恋人に振り向いて欲しいんですー。だめ?」
「ダメだ。あれはもう作らない。そう決めた」
オーフィザン様がキッパリと言うと、キョテルさんは、僕の方に向き直った。
「あなたですよね? オーフィザンの愛猫って」
「え!? えっと……」
「あなたからも、オーフィザンに言ってください。僕たちだって、可愛い猫に振り向いて欲しいのに、オーフィザンばっかりずるいです。僕たちにも、あの猫じゃらしを渡すように、オーフィザンに言ってください」
「ええっ!?」
びっくりする僕を、オーフィザン様はぎゅって抱きしめて、ブレシーから隠しちゃう。
「クラジュに無理難題を押し付けるな。ブレシー、晩餐会の件は分かった。二度とデートの邪魔をしなければ、王には手出ししないし、例の猫じゃらしの件も、俺が言って聞かせてやる」
「オーフィザン! や、約束ですよ!?」
「それで、城下町で人気の菓子屋というのは、どこだ?」
「あ、そ、それなら、向こうの通りです!」
ブレシーが大通りの方を指差すと、オーフィザン様は、僕を抱き上げ、びっくりするブレシーを置いて、羽を広げて地上まで降りていった。
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