【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話

迷路を跳ぶ狐

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番外編16.オーフィザン様とデート!

174.愛してます!

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 びっくりする僕を、オーフィザン様は、ちょっと拗ねた顔で見下ろしている。

「しばらくその姿でいろ。そうでないと、手を出したくてたまらなくなる」
「ふえっ……!?」

 見上げたら、オーフィザン様と目があっちゃう。

 僕は、この目が好き。すっごくドキドキして、オーフィザン様に捕まえられているみたいなんだもん。

 オーフィザン様の指が、僕の頬を微かにくすぐる。その小さな刺激だけで、僕はますますオーフィザン様への思いが膨らんでいくみたい。

「お、オーフィザン……さま……」
「……まったく、ずるい猫だ……」
「え?」
「…………俺はこうしているだけで、早く襲いたくなるのに…………お前は友人のことばかりじゃないか」
「え……? え? えー……じゃあ、さっきから拗ねてるの、それですか?」
「拗ねてるとはなんだ!」
「ひゃっ!!」

 彼は、猫になった僕のほっぺをくすぐってくる。うううーーー!! くすぐったい!!

「お、オーフィザンさま!! こちょこちょやめてください!!」
「誰が止めるか。俺はお前のことばかり考えているのに、お前は友人に夢中で、俺の腕から逃げ出してばかりだ。挙句の果てには遊びにこいだと?」
「そ、そんなの知りません!! 離してください!」

 って言っても、怒ったオーフィザン様がやめてくれるはずがない。いっぱいこちょこちょされちゃって、くすぐったくて身を捩るのに、オーフィザン様はいつも意地悪。逃げる僕をいっぱいこちょこちょしてくる。

 見上げたら、オーフィザン様の肩から、小さなガラスの犬さんが顔を出した。多分、セリューたちが送った使い魔だ。

「オーフィザン様……? その使い魔……」
「さっき受け取ったセリューからの伝令だ。後で王がここに遊びに来るらしい」
「へ!? 陛下が? キュウテも来るんですか?」
「…………嬉しそうだな……」
「だって嬉しい……ひゃっ! あっ……く! くすぐったいです! やめてください!!」

 僕、やめてって言ってるのに、オーフィザン様は全然聞いてない!! いっぱい僕の頬とか頭とかをくすぐってくる。
 大好きなオーフィザン様に触れられるのは嬉しいけど、ちょっとひどいもん! 僕、オーフィザン様はすっごく好きだけど、キュウテも好きだもん!

「お、オーフィザンさまぁっ! もうだめっ……! ひゃっ……!」

 僕をいじっていた手が、だんだん顎とか背中、尻尾の近くにまで移動してきて、怒った僕はついに猫パンチ。僕、オーフィザン様もキュウテも大事だもん!

 僕に手を振り払われちゃって、オーフィザン様はちょっとびっくりしたみたいだけど、すぐに気を取り直して、僕をぎゅーって抱きしめてくる。

「くそっ……ずるいぞっ!! この姿でされても、可愛いだけじゃないかっ……」
「そ、そんなの知らないです!! は、離してくださいっ!!」

 喚いて暴れるけど、オーフィザン様の腕の中にいると、すっごく気持ちいい。ううう……このままでもいいかなって思えてきちゃう。

「オーフィザン様……」
「俺の気も知らないで…………」
「へ!?」
「俺は、お前とのデートを楽しみにしていたんだぞ」
「そ、そんなの、ぼ、僕だってしてました!」
「いいや。俺の方が楽しみにしてた。ついでに言えば、この夜のためにどれだけの仕置きを考えていたか……」
「お、お仕置きはダメっ……ひゃんっ!! く、くすぐったいいっ!!」

 うううー!! 僕、怒ってるのに、オーフィザン様はやっぱり拗ねてる。その目が少し切なそうに見えて、僕は焦り出してしまう。

「お、オーフィザンさま??」
「……その魔法は朝まで解けない。しばらく、そのままでいろ。そうでないと……今にも襲いそうだ」
「ふええっ!? え……えっと……ひゃっ!!」

 うううーー! 考える前に、オーフィザン様にこちょこちょされちゃって、何も言えないよう!!

「オーフィザン様ぁっ……! く、くすぐったいです!! やめてくださいぃっ……!!」
「ダメだ。俺を待たせる罰だ……もうじきここに、セリューとダンドが王を連れて来る。お前はその姿で大人しくしていろ」

 見上げたら、オーフィザン様は、手を止めてくれたけど、ちょっと寂しそう。だけど、やがていつものちょっと意地悪そうな顔になって笑った。

「……しばらくその姿で俺のそばにいろ。後でいっぱい仕置きしてやるからな」
「ふええ……オーフィザン様……ひゃ!」

 強くぎゅーって抱きしめられちゃって、僕は猫のままでも嬉しくなっちゃう。

 ……オーフィザン様、また焼きもちかな……?? 嬉しいけど、オーフィザン様に寂しい思いをさせちゃった。

「お、オーフィザン様……」
「……せっかくお前の友人を迎えるんだ。食事と酒でも用意するか」
「は、はいっ!! きっとキュウテたちも喜びます!!」

 そう言ってから、僕はオーフィザン様の腕をすり抜け、その鼻先にちゅってキスしようとした。だけどオーフィザン様は僕を抱っこして引き離しちゃう。

「キスは後だ。朝になればお前の魔法は解ける。そしたらいっぱいキスするぞ」
「う…………」

 オーフィザン様が意地悪な顔をしている……多分、キスだけでなんか終わらせてくれない。

 だけど、そんな顔のオーフィザン様も愛おしくなって、僕はオーフィザン様の腕の中から素早く抜け出し、隙をついてほっぺにキスしちゃった。

 猫だからか、なんだか体が軽い!! これなら、オーフィザン様にこっそりキスだってできちゃう。いつもはオーフィザン様からのキスばかりだけど、こうやって僕から先にキスできるって嬉しい!! 猫でいるのも嬉しいかもしれない!!

「ぼ、僕も……オーフィザン様とキスがしたいです!!」
「……ずるい猫だ……」

 そう言って、オーフィザン様は、僕をぎゅーって抱きしめる。

 そんなことをしていたら、頭上から、風が強く吹くような音がして、夜空からセリューとダンドが降りて来た。キュウテたちを連れて来たのかと思ったけど、セリューとダンドだけ。

 セリューがオーフィザン様に頭を下げる。

「オーフィザン様……ただいま戻りました」
「……キュウテと王はどうした?」

 オーフィザン様が聞くと、セリューはちょっと困ったような顔をして言った。

「……国王は、キュウテとずっと一緒にいたいから、今日の約束はなし、だそうです」
「は!?」
「デートをゆっくり続けてほしい、とのことです。それと、明日の早朝の会議には必ず出席しろと申しておりますが……いかが致しましょう?」
「……殺せ」
「御意」

 あっさり答えたセリューと、めちゃくちゃ怖い目をしているオーフィザン様を、ダンドが怒鳴りつける。

「二人とも!! 何言ってるの!! セリューまで一緒になってどうしたの!!」

 すると、セリューも負けじと言い返す。

「だが、あの王は勝手すぎる!! 夜の約束を取り付けておけと言っておきながら、キュウテに抱きつかれたら、やっぱり今日は行かないだなんて!」
「……気持ちはわかるけど……キュウテだって喜んでたし、これでオーフィザン様の夜の予定はなくなった。朝までクラジュとデートが楽しめるだろ? ね? オーフィザン様」

 ダンドに振り向いて言われて、オーフィザン様は肩を落とす。そして、無言で僕を見下ろした。

 ダンドは、猫になった僕を見下ろして不思議そうな顔をしている。

「オーフィザン様? どうしたんですか? その猫は……」
「……クラジュだ」
「クラジュ!? これがっ……!? なんで猫に……もしかして、オーフィザン様の魔法ですか?」

 びっくりしているダンドに、僕は猫の姿のまま、右手を上げて言った。

「そうだよ! ダンド!」
「うわっ……! 本当にクラジュ? か、可愛い……」

 ダンドはそう言って、僕の頭を撫でてくれる。なんだか気持ちいい。

 だけど見上げたオーフィザン様がひどく肩を落としているから、僕は心配になっちゃう。

「オーフィザン様??」
「こないなら、こないと言え……」

 そ、そんなに落ち込まなくても……僕、このままオーフィザン様になでなでされてるのも嬉しいよ??

 ダンドが、僕の頭とか顎とかをいっぱいなでなでしながら言った。

「クラジュ、元に戻せないんですか?」
「朝まで戻らない……」
「え!? 朝まで!? なんでそんな魔法かけたんですか!?」
「そうでもしないと我慢できないだろう!! 俺がどれだけ今日のデートを楽しみにしていたと思っているんだ!!」

 オーフィザン様は怒鳴るけど、僕はこのままでもいい。だってオーフィザン様にいっぱい抱っこしてもらえるもん。

 セリューまで、いつもよりちょっと態度が柔らかいような気がする。僕を見下ろして、頷いていた。

「しばらくそのままでいいでしょう。静かですし、その姿なら、いつものとんでもないドジも踏まないはずです」

 ダンドまで、なんだか嬉しそうに言う。

「朝までクラジュ、このままなんですよね? やった……可愛い……クラジューー!! 一緒に寝ようね!」
「え!? えっと……」

 ダンドのことは大好きだし、僕は今猫だけど、夜は絶対オーフィザン様と二人でいたい!! だって、いつも夜くらいしかオーフィザン様と二人でいられないもん。
 だから今日、二人でいーっぱいデートできたのは、すごく嬉しかった。猫でもいいもん! オーフィザン様と二人でいられるなら!!

 オーフィザン様は、僕をなでなでしてるダンドから僕を隠すように遠ざけて「これは俺の猫だ!!」って言ってる。そして僕を見下ろして、頭をなでてくれた。

「……朝まで我慢か」
「僕、オーフィザン様と二人でいられるなら嬉しいですよ?」
「……俺もだ」

 ちょっと残念そうだけど、オーフィザン様は僕を撫でてくれる。体に甘く触れてもらえないのはちょっと物足りないけど、この姿なら、オーフィザン様に甘え放題。オーフィザン様の体はあったかくて、僕が体を擦り付けるとすごく気持ちいい。たまにはこんなのもいいかも。

「オーフィザン様……」
「……くそ…………朝まで手を出せないのか…………」

 ますます肩を落とすオーフィザン様。その頬に、僕はそっとキスをして、愛してますって囁いた。


*番外編16.オーフィザン様とデート!*完
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