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10.いい度胸だ
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鎖が僕の体を這い上がって、僕を縛り上げていく。
「ん…………ヴァソレリューズさまっ…………」
「可愛い。もう少し魔力を込めてもいい?」
「やめてください!!」
今でも絶対に逃げられないくらいに縛られてるのにっ……!! そんなことされたら、ヴァソレリューズ様の前でぐるぐる巻きにされる!!
一体、どうしちゃったんだ!? 僕、何かした!?
もしかして、さっき道具を抑えることができてなかったから、その罰!??
「あ、あのっ……ヴァソレリューズ様!! も、申し訳ございませんっ……僕、ちゃんと出来なくて…………」
「そんなこと、気にしなくていいって言っただろ? あれの処理は、元々一人でさせるつもりじゃなかったんだ。俺の落ち度だよ」
「……じ、じゃあ……なんで…………」
恐る恐るたずねる僕に、ヴァソレリューズ様は、どこか怪しげに笑う。
「…………フェイヴェレル……ここに来てから、何回領主様って言ったか、覚えてる?」
「そ、そんなのっ…………覚えてませんっ……!! いっ……!」
まずい……どんどん僕を縛る縄が増えてる。
もう、鎖を切るしかない。そうでもしないと、すぐに全身縛られちゃう!
僕は、魔法で鎖を切り始めた。だけど、そうするとますます魔法の道具から鎖が伸びてきて、僕を縛り上げていく。なんなんだよっっ!!
「ヴァソレリューズ様っっっっ…………これ、罰じゃないんですよね!? じゃあ、これは一体っ…………」
「魔力が暴走しちゃって」
「…………」
絶対に嘘だ!! だって、こんな都合いい暴走、あるもんか!! あの魔法の道具をヴァソレリューズ様の魔力が強化してるんだ。
どうしよう……早く魔力を抑えないと、このまま縛られちゃう!!
焦ってテーブルの魔法の道具に目をやる僕に、ヴァソレリューズ様は少し怖い顔をして言う。
「俺の前で何回も別の男を呼ぶなんて……いい度胸してるなあって思ってたんだ…………」
「ど、度胸って……そんな…………んっ……!」
鎖は性懲りもなく僕に巻き付いてくる。
なんで…………
とにかく早く、元凶になっている魔法の道具を抑えればいいんだ。そうすれば、この鎖だって、消すことができるはず!!
僕は、テーブルの上の魔法の道具を睨みつけて、それを抑える魔法をかける。だけど、魔法の道具の光は一向に弱くならない。
……明らかに妨害されている……ヴァソレリューズ様に。
僕が魔法の道具を抑えようとしているのに、彼が絶えず魔力を注いで道具をさらに強化しているから、いつまで経っても鎖が消えないんだ!
……………なんで!? なんでそんなことするんだ!?
だけど今はそれを考える余裕すらない。
体をよじ登ってくる鎖を千切っては、魔法の道具に集中。なんとかして、これを抑えないと……
そうしていたら、背中に何か、くすぐったいものが触れた。
「んっ…………! な、何っ……!?」
見下ろしたら、僕の背中のそばで小さな猫じゃらしの先みたいな形の光が飛んで、僕の背中をくすぐってる。
「ひっ…………や、やだっ……!! あっ……! ヴァソレリューズ様!! 悪ふざけ、やめてください!!」
「悪ふざけじゃないよ。そんなに集中されたら鎖が解けちゃうから、妨害してるだけ」
「解けていいんです!! 僕、このまま縛られたくなんか、ありません!!」
と、叫んでみても、ヴァソレリューズ様は聞いてるのか聞いてないのかすら分からない。
集中しようとするたびに、鎖が締め付けて来る。
たまに背中をくすぐられちゃうし……
「ひゃっ…………ぁっ……んっ…………やだっ……!」
「いやらしい声」
「なっ…………何言って……んっ!! や、やだっ……!」
「淫乱で可愛い」
「は!?? いっ……いんらん!??」
「可愛いって言ったんだよ?」
「淫乱って言いましたよね!? 今!!」
「気持ちいい?」
「そ、そんなわけっ……ないっ…………! です!! んっ……やだっ……!」
「それ、媚薬の効果もあるんだよ?」
「は!?」
「あと少しくらい、このまま楽しもうよ」
「い、嫌ですっ……なんで…………僕、そんなに腹を立てるようなこと、しましたか!?」
「そんなことないよ。可愛すぎてやめたくないだけ」
「なんですか!! それ!! んっ……!!」
やっぱり背中、くすぐったい。ヴァソレリューズ様の前で、あられもない声を出してしまって、泣き出しそうなくらい恥ずかしい……
「ん…………ヴァソレリューズさまっ…………」
「可愛い。もう少し魔力を込めてもいい?」
「やめてください!!」
今でも絶対に逃げられないくらいに縛られてるのにっ……!! そんなことされたら、ヴァソレリューズ様の前でぐるぐる巻きにされる!!
一体、どうしちゃったんだ!? 僕、何かした!?
もしかして、さっき道具を抑えることができてなかったから、その罰!??
「あ、あのっ……ヴァソレリューズ様!! も、申し訳ございませんっ……僕、ちゃんと出来なくて…………」
「そんなこと、気にしなくていいって言っただろ? あれの処理は、元々一人でさせるつもりじゃなかったんだ。俺の落ち度だよ」
「……じ、じゃあ……なんで…………」
恐る恐るたずねる僕に、ヴァソレリューズ様は、どこか怪しげに笑う。
「…………フェイヴェレル……ここに来てから、何回領主様って言ったか、覚えてる?」
「そ、そんなのっ…………覚えてませんっ……!! いっ……!」
まずい……どんどん僕を縛る縄が増えてる。
もう、鎖を切るしかない。そうでもしないと、すぐに全身縛られちゃう!
僕は、魔法で鎖を切り始めた。だけど、そうするとますます魔法の道具から鎖が伸びてきて、僕を縛り上げていく。なんなんだよっっ!!
「ヴァソレリューズ様っっっっ…………これ、罰じゃないんですよね!? じゃあ、これは一体っ…………」
「魔力が暴走しちゃって」
「…………」
絶対に嘘だ!! だって、こんな都合いい暴走、あるもんか!! あの魔法の道具をヴァソレリューズ様の魔力が強化してるんだ。
どうしよう……早く魔力を抑えないと、このまま縛られちゃう!!
焦ってテーブルの魔法の道具に目をやる僕に、ヴァソレリューズ様は少し怖い顔をして言う。
「俺の前で何回も別の男を呼ぶなんて……いい度胸してるなあって思ってたんだ…………」
「ど、度胸って……そんな…………んっ……!」
鎖は性懲りもなく僕に巻き付いてくる。
なんで…………
とにかく早く、元凶になっている魔法の道具を抑えればいいんだ。そうすれば、この鎖だって、消すことができるはず!!
僕は、テーブルの上の魔法の道具を睨みつけて、それを抑える魔法をかける。だけど、魔法の道具の光は一向に弱くならない。
……明らかに妨害されている……ヴァソレリューズ様に。
僕が魔法の道具を抑えようとしているのに、彼が絶えず魔力を注いで道具をさらに強化しているから、いつまで経っても鎖が消えないんだ!
……………なんで!? なんでそんなことするんだ!?
だけど今はそれを考える余裕すらない。
体をよじ登ってくる鎖を千切っては、魔法の道具に集中。なんとかして、これを抑えないと……
そうしていたら、背中に何か、くすぐったいものが触れた。
「んっ…………! な、何っ……!?」
見下ろしたら、僕の背中のそばで小さな猫じゃらしの先みたいな形の光が飛んで、僕の背中をくすぐってる。
「ひっ…………や、やだっ……!! あっ……! ヴァソレリューズ様!! 悪ふざけ、やめてください!!」
「悪ふざけじゃないよ。そんなに集中されたら鎖が解けちゃうから、妨害してるだけ」
「解けていいんです!! 僕、このまま縛られたくなんか、ありません!!」
と、叫んでみても、ヴァソレリューズ様は聞いてるのか聞いてないのかすら分からない。
集中しようとするたびに、鎖が締め付けて来る。
たまに背中をくすぐられちゃうし……
「ひゃっ…………ぁっ……んっ…………やだっ……!」
「いやらしい声」
「なっ…………何言って……んっ!! や、やだっ……!」
「淫乱で可愛い」
「は!?? いっ……いんらん!??」
「可愛いって言ったんだよ?」
「淫乱って言いましたよね!? 今!!」
「気持ちいい?」
「そ、そんなわけっ……ないっ…………! です!! んっ……やだっ……!」
「それ、媚薬の効果もあるんだよ?」
「は!?」
「あと少しくらい、このまま楽しもうよ」
「い、嫌ですっ……なんで…………僕、そんなに腹を立てるようなこと、しましたか!?」
「そんなことないよ。可愛すぎてやめたくないだけ」
「なんですか!! それ!! んっ……!!」
やっぱり背中、くすぐったい。ヴァソレリューズ様の前で、あられもない声を出してしまって、泣き出しそうなくらい恥ずかしい……
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