嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
30 / 33

30.今そんなことどうでもよくない!?

しおりを挟む
 もうすでに僕は話どころじゃない。だって話している間、殿下は全然手を止めてくれない。いいようにされて、動けなくなりそう。

「コレリイジャインのあの部屋、鍵の魔法だけがかかっていると思っていたけど、結界の魔法もかかっていたんだ。君が渡してくれた鍵には、それを同時に打ち破る魔法がかかっている。結界を打ち破る魔法も得意なんだね…………その魔法の弱点を熟知しているからかな?」
「そんなこ……と……たまたま開いただけです」
「そんなわけないだろ?」
「ひっっ!!!!」

 今度は、首元にキスされた。ほんの少し、服から出たところを、チュッて吸われて、刺激で腰が動く。驚いたはずなのに、たった一瞬のその刺激が、恐ろしいくらいに気持ちいい。

「ひっ…………! あっ…………」

 僕が怖がることをしないっていう約束を覚えていてくれたのか、殿下は少し、唇で触れるだけ。ちょっとだけ触れたキスは、すぐ離れていくのに、ほんの少しのキスが、気持ちよくてたまらない。声を上げてよがってるみたいじゃないか。こんなの、恥ずかしすぎるのに、今度は、腹の辺りがくすぐったい。

「やあああっっ…………!!」

 服の中に手を入れられてる!! 腹の辺りに触れたくすぐったいもの、殿下の手だっっ!!

「やっ……やだっっ……やめてっ!!」

 僕が叫ぶと、殿下の手は、すぐに止まった。だけど、服の下から手を引き抜いてはくれない。されたことのない触れ方をされて、ひどくドキドキしてきた。緊張したせいか、息が荒い。体が震えている。

「うっ…………」
「怖い? じゃあ、ここでとめておくね?」

 言って、殿下は僕の脇腹のあたりにおいた手を止めてくれた。その手から体温が伝わって、ますます気持ちいい。

「う…………ぁっ……」

 触れられて、だんだん体がその感触に慣れてきた。だけどそれでも、その快感には慣れない。触られただけなのに、こんなに気持ちいいなんて……

「…………気持ちいい?」
「は?!!!」
「だって、俺が触れただけで、そんなふうになってる」
「…………ちがっ…………そんなことっ……」
「気持ち悪かったら、触るのやめるけど……」
「違うっっ……!! き、気持ちいい…………」
「……じゃあ、もっと触れていていい?」
「え………………」

 つい、僕は頷いてしまったけど、少し殿下の手が動いただけで、背中が反る。
 殿下の手が僕の腹の辺りを撫でて、全身がゾクゾクする。触れられているだけで気持ちよくてたまらない。

「あっ……んっ…………んんっっ……!! はぁっ……! あっ…………ぁっ……」
「あの扉……」
「え?」
「あのコレリイジャインの扉、俺や兄上たちや、従者の優秀な魔法使いたちが開けようとしても、あの扉はびくともしなかったんだ」
「ふぇ? あっ……!! あぁっ……!!」

 びくんと体を跳ねさせる僕。だって、殿下の手が、だんだん上がってきてるから……

 腹から胸の辺りを撫でられて、優しいのに快感を煽られていくみたいだ。

「あっ……ん!!」
「すごいよね。あの扉が開いた時、俺、本当に驚いていたんだけど……伝わってた?」

 今、扉のことなんかどうでもよくない!?

 だって今は、ヴェイロクッド殿下が僕に触れるその感触に夢中になっているのに!!

 それなのに、扉のことなんかもう頭に入らない。
 僕は殿下の手がほんの少し動いただけで、こんなに殿下に夢中なのに、殿下の口からは、ムカつく貴族の名前が出てくるなんて……嫌だ。

 僕のことばかりに夢中になればいい。そうじゃないと、フェアじゃないじゃないか!

「……殿下……あ、あのっ……!」
「……どうしたの?」
「もう少しくらいなら…………触れてもいい」
「……本当?」
「う、うん…………んっ!!」

 触れたまま、今度はキスされて、唇を包むように甘噛みされて、手だけの時とは比べ物にならないくらいの快感に襲われた。

 胸を撫で回していた手の先が、乳首の辺りに近づいて、ピクっと身体が震えた。せっかく和らいでいた緊張が、また蘇ってくるかのようだ。

「うっ…………」
「……大丈夫。怖いことは、しないから……」

 言って殿下は、そこから手を遠ざけてくれた。あくまで、僕が少しでも怯えるところには、触れないつもりなんだろう。

 触れられて、キスされて、すっかり快楽に夢中になって喘ぐ僕を、殿下が見下ろしている。恥ずかしくてたまらないのに、殿下はじっと僕を見つめていて、目を離してくれない。

「…………ぁ……あぁっ…………」
「可愛い…………昨日、魔法で俺を導いてくれた時は、あんなに凛々しかったのに」
「……ぅっ…………!」
「王城にある部屋の扉なのに、俺たちは束になってかかっても、あの扉を開くことができなかった。それを、君はいとも簡単にやってのけたんだよ?」
「……だ、だってそれは、殿下のためにっ……!」

 殿下のためだから、あの扉を開こうとした。殿下が俺を頼りにしてくれたんだと舞い上がっていたから。
 あの屋敷に殿下が来てくれた時みたいに、僕はずっと、殿下の力になりたかったんだ。

「俺のために用意してくれたんだ…………」
「…………」

 こんなこと、言うはずなかったのに。くそ……快楽に負けた。こんな時にそんな話をするなんて、ずるい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!

或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」 *** 日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。 疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。 彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界! リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。 しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?! さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……? 執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人 ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー ※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇‍♀️ ※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです ※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます 隔日更新予定に変更させていただきます。 ♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております! 感想も頂けると泣いて喜びます! 第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!

妹の身代りに生け贄にされたんだけどガチでマジ恋しちゃいました~世界にただ1人の男Ωは、邪神の激愛に絆される~

トモモト ヨシユキ
BL
邪神の生け贄になることが決まった妹王女の身代わりになるように命じられた不遇な王子は、Ωになるという秘薬を飲まされて邪神の洞に落とされる。 エブリスタにも掲載しています。

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

処理中です...