38 / 41
陽仁の独白ー陽仁sideー
38
「…よく寝てる。」
隣で無防備に眠る優月の頭をそっと撫で、陽仁がひとり呟く。
「んん…」
優月が頭を撫でる陽仁の手にすり寄る。優月はよく眠っており、起きる気配はないのでおそらく無意識なのだろう。
(もう朝か…)
不意に窓の外を見ると、すでに景色は白み始めていた。陽仁はこの夜一睡もしていない。優月がまたいなくなってしまわないか不安なのもあったが、一睡もできなかった理由はそれだけではない。昨晩優月と籍を入れ、ひと月ぶりに行為に及び、さらには番にまでなった。長年の念願がやっと達成されたのだ。その興奮あって寝ようなどという気分にはなれず、陽仁は一晩中優月を眺めていた。
「…。」
陽仁は腕の中の優月をじっと見つめる。
(…まさかゆづにあそこまでされるとはね…。)
流石の陽仁も、優月にここまでされるとは思っていなかった。昔から超がつくほどのネガティブな優月の行動は、陽仁にすら予測不能なところがあるのだ。
(まあそんな所も好きなんだけど…心配になる。発信機も盗聴器も全部ゆづに解除されたおかげで、人を送って探させるとかいうアナログなことする羽目になったし。…ほんとは籍入れる準備ができたらすぐ迎えに行くつもりだったんだけどね…)
陽仁は優月と結婚する準備を、ずっと前から行っていた。―――――それこそ優月が逃げ出す前から、ずっと、ずっと。陽仁はいつまでたっても自分のものにならない優月を囲い込む準備を、着々と進めていたのだ。優月のチョーカーにきつくマーキングを施して他のαを寄せ付けないようにして、その間に新居を探したり家族に話したりなんだりと準備を進めた。そして三月ほど前、ついに準備はおおむね整った。あとは優月にプロポーズして婚姻届を書くだけのところまでいったのだ。
しかしここが一番の問題だった。普通にプロポーズしてもあのネガティブな優月のことだ、断られるに違いなかった。なんせ陽仁は付き合う時ですら散々断られ、さらに番になろうという話は未だに通ってすらいない。先に番になれていたら結婚は簡単だったのかもしれないが、そもそもそれを優月が許してくれなかったのだ。
そこでこんな、先に手回ししきってからプロポーズをして、それから番になるなどという回りくどい手を取らざるを得なくなった。もう法的に囲い込んでしまった方が手っ取り早いのでは、と思ったのだ。結婚か番、どちらかが上手くいけばもう一方もそれを理由に丸め込めるだろうというわけだ。結婚してから番う。陽仁としては順番の問題でしかなかったので一向に構わなかった。しかし優月にどう結婚を承諾してもらうか。もう外側の手筈は整っているが、肝心のそれが。何か優月を認めさせるきっかけが必要だ。そう思った陽仁はある計画を思いつき、すぐさまそれを実行した。――――――――優月を、妊娠させる計画だ。
隣で無防備に眠る優月の頭をそっと撫で、陽仁がひとり呟く。
「んん…」
優月が頭を撫でる陽仁の手にすり寄る。優月はよく眠っており、起きる気配はないのでおそらく無意識なのだろう。
(もう朝か…)
不意に窓の外を見ると、すでに景色は白み始めていた。陽仁はこの夜一睡もしていない。優月がまたいなくなってしまわないか不安なのもあったが、一睡もできなかった理由はそれだけではない。昨晩優月と籍を入れ、ひと月ぶりに行為に及び、さらには番にまでなった。長年の念願がやっと達成されたのだ。その興奮あって寝ようなどという気分にはなれず、陽仁は一晩中優月を眺めていた。
「…。」
陽仁は腕の中の優月をじっと見つめる。
(…まさかゆづにあそこまでされるとはね…。)
流石の陽仁も、優月にここまでされるとは思っていなかった。昔から超がつくほどのネガティブな優月の行動は、陽仁にすら予測不能なところがあるのだ。
(まあそんな所も好きなんだけど…心配になる。発信機も盗聴器も全部ゆづに解除されたおかげで、人を送って探させるとかいうアナログなことする羽目になったし。…ほんとは籍入れる準備ができたらすぐ迎えに行くつもりだったんだけどね…)
陽仁は優月と結婚する準備を、ずっと前から行っていた。―――――それこそ優月が逃げ出す前から、ずっと、ずっと。陽仁はいつまでたっても自分のものにならない優月を囲い込む準備を、着々と進めていたのだ。優月のチョーカーにきつくマーキングを施して他のαを寄せ付けないようにして、その間に新居を探したり家族に話したりなんだりと準備を進めた。そして三月ほど前、ついに準備はおおむね整った。あとは優月にプロポーズして婚姻届を書くだけのところまでいったのだ。
しかしここが一番の問題だった。普通にプロポーズしてもあのネガティブな優月のことだ、断られるに違いなかった。なんせ陽仁は付き合う時ですら散々断られ、さらに番になろうという話は未だに通ってすらいない。先に番になれていたら結婚は簡単だったのかもしれないが、そもそもそれを優月が許してくれなかったのだ。
そこでこんな、先に手回ししきってからプロポーズをして、それから番になるなどという回りくどい手を取らざるを得なくなった。もう法的に囲い込んでしまった方が手っ取り早いのでは、と思ったのだ。結婚か番、どちらかが上手くいけばもう一方もそれを理由に丸め込めるだろうというわけだ。結婚してから番う。陽仁としては順番の問題でしかなかったので一向に構わなかった。しかし優月にどう結婚を承諾してもらうか。もう外側の手筈は整っているが、肝心のそれが。何か優月を認めさせるきっかけが必要だ。そう思った陽仁はある計画を思いつき、すぐさまそれを実行した。――――――――優月を、妊娠させる計画だ。
あなたにおすすめの小説
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話
雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。
一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。
前世が悪女の男は誰にも会いたくない
イケのタコ
BL
※注意 BLであり前世が女性です
ーーーやってしまった。
『もういい。お前の顔は見たくない』
旦那様から罵声は一度も吐かれる事はなく、静かに拒絶された。
前世は椿という名の悪女だったが普通の男子高校生として生活を送る赤橋 新(あかはし あらた)は、二度とそんのような事ないように、心を改めて清く生きようとしていた
しかし、前世からの因縁か、運命か。前世の時に結婚していた男、雪久(ゆきひさ)とどうしても会ってしまう
その運命を受け入れれば、待っているの惨めな人生だと確信した赤橋は雪久からどうにか逃げる事に決める
頑張って運命を回避しようとする話です