艶女ぃLIFEは眠れない

メバ

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第7話:静海さんはAV機器の接続が苦手

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「もしもし」
「あっ、幸太?静海だけど。ちょっと私の部屋まで来てもらえるかしら?」
そう言って静海さんは、電話を切った。

えっと、有無を言わさず?
是非とも旦那さんにでも頼んで欲しい。

津屋さんからもらったおにぎりを名残惜しそうに見つめてから、僕は静海さんの部屋へと向かった。

共有のリビングから、静海さんの部屋への扉に続く廊下へと進んだ。

共有のリビング・ダイニングには4つの扉が四方にある。
1つは玄関へと続く扉。
その向かいにある形で、僕の部屋への扉がある。

残りの2つはそれぞれ、静海さんと愛島さんの部屋への扉と廊下を挟んで存在している。

わかる?
2人の部屋は、共有のリビング・ダイニングから廊下を挟んでるのに、僕の部屋だけ直接なんだよ?

2人は廊下を通れば自分の部屋に行けるのに、僕は絶対に共有のリビングを通らなきゃいけないんだよ。

だって思い返したらさ、さっきも僕、部屋に入ることなくみんなに捕まって、飲んで潰れたからね?
引っ越し早々、自分の部屋に入ったときには記憶無くしてたからね?

もしかして、こんな日々がこれから続くわけじゃないよね?
今日だけだよね??
だよね、神様!?

僕は信じてもいない神様に話しかけながら、静海さんの部屋をノックする。

するとすぐに、ラフな格好の静海さんが僕を迎え入れてくれる。

あ、お風呂上がりかな?
お風呂上がりの女性って、なんでこうちょっと、色っぽいんだろう?

いやまぁ、修学旅行くらいでしか見たことなかったけど。
そして目の前にいるのは、母さんより年上の人だけど。

「なによ、人のことジロジロ見て。イヤらしい」
「えっ、いやっ、その・・・」

「冗談よ。それよりも幸太、ちょっとお願いがあるの。付いてきてくれる?」
そう言って静海さんが歩き出し、僕はそれに少し顔を赤くしてついて行った。

そして通されたのはリビング。

このアパート、それぞれの部屋はちゃんと2LDKなんだよ?
共有のリビング・ダイニングがあるから僕は最初、自分の部屋には無いのかと思っちゃったよね。

でも、ちゃんとそれぞれの部屋リビングもダイニングもある。
お風呂やトイレもね。
つまり、部屋自体は他のアパートと何にも変わらないんだよ。

むしろ、別に共有のリビングとダイニング・・・いい加減、長いよね。
よし、今度からは『共有スペース』と名付けよう。

そうそう。2LDKのほかに共有スペースがあるんだから、他のアパートよりもお得だよね。
しかも僕に至っては、家賃2万円だからね。
まぁ、そこについては現在、若干の後悔を感じてはいますけど。

っと、そんなことより。

僕は、静海さんのリビングを見渡した。
綺麗に片付いた、というよりも、余り物がないというのが第一印象だった。

「殺風景な部屋でしょう?この年で一人暮らししていると、余計なものを置くのが邪魔に感じてしまうのよ」
静海さんがそう言って笑っていた。

静海さん、一人暮らしなの?
っていうことはもしかして、独身??
こんなにきれいなのに???

僕の頭の上に浮かんでいるハテナマークに気づいていない静海さんは、そのまま視線をリビングのテレビへと向ける。

「新しくブルーレイレコーダーを買ったんだけど、こういうAV機器の接続が苦手でね。幸太、こういうの得意?」
「えっと、得意ってわけではないですけど、説明書見れば多分・・・」

「良かった。じゃぁ、お願いできるかしら?」
そう言われて、僕は作業に取り掛かった。

それにしても静海さん、出来る女風なのにこういうの苦手なんだ。結構意外。

「ごめんねぇ。仕事だとこんなことないんだけどね」
静海さんがソファーでワインを片手にそう呟いた。

「お、お仕事って、何をされてるんですか?」
僕は作業の片手間に、そう聞いてみた。

だって、じっと作業を見られてるんだよ?やりずらくてしょうがない。
少しでも静海さんの意識が逸れるように、頑張ってひねり出した質問なんだよ。

「幸太と同じよ」
「はい??」
静海さんの言葉に、僕はつい作業を止めて静海さんに目を向ける。

「さっき聞いたけど、幸太、4月から騎士が丘大学の事務職員なんでしょ?私も、そこで働いているのよ。同じ事務職員としてね」
「そ、そうなんですか?」

「えぇ。ついでに言うと、詩乃もそうよ」
「そ、そうなんですか・・・」

えっと、どうしよう。何て言えばいいんだろう。
そもそも、静海さんと吉良さんが同じ職場の先輩だと分かったことで少なからず動揺してしまった僕は、そんな先輩たちに暴言を吐いた(らしい)ことを思い出してさらに混乱していた。

「ふふふ」
諦めて作業に集中している僕を見て、静海さんが笑いだした。

「あなた、素面の時は大人しいのね。少し飲む?」
そう言って静海さんは、手に持ったワイングラスを僕に向けてきた。

「い、いえ、大丈夫です。あと、作業終わりました。多分映ると思います。それから・・・」
僕は立ち上がって、静海さんに頭を下げた。

「先ほどは、色々とご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございませんでした」
「あら、気にしなくてもいいのに。誰も気になんかしてなかったわよ」

「そ、そうだとしても、ご迷惑をおかけしたことには変わりないので」
「真面目なのね。ま、そう言うことだったらその謝罪は受け取っておきましょう」

そう言って立ち上がった静海さんは、冷蔵庫の方へ歩き出し、そこから取り出した缶ビールを僕へと渡してきた。

「レコーダー、ありがとうね。また困ったことがあったら、お願いするわね」
「は、はい。あ、あの、今度仕事の話、色々と伺ってもいいですか?」

「えぇ。一応これでもそれなりに経験は積んでいるから、任せなさい」
「ありがとうございます」

僕はそう言って、ビールを片手に静根さんの部屋をあとにして共有スペースから自分の部屋へと入ろうとした。

「あ~、幸太!いいところにいた!ちょっとお願いがあんのよ!付き合ってくれる!?」
酒やけ気味の酒谷さんの声が、共有スペースに響いた。

マジですか。
僕お腹減ったんですけど。

半ばやけくそになった僕は、持っていた缶ビールを開けてそれを二口ほど飲み、

「わかりました。」
そう答えて、ビールを片手に酒谷さんについて2階へと上がっていった。
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