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第11話:3人は出勤する
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『あで~じょ』での2度目の歓迎会から数日後、ついに僕の初出勤の日がやってきた。
津屋さんに見送られた僕は、ただただ緊張しながら大学へ向かうバスに揺られていた。
「今は授業が始まっていないからゆっくりでも良いけど、授業が始まったらバスは学生で溢れるから、もう少し早いバスにした方がいいわよ」
隣に座る静海さんがそう言うと、通路を挟んだ隣の席の吉良さんも、その通りとばかりにうなずいていた。
そう、僕の初出勤は、静海さん、吉良さんとご一緒。
なんだか同じバスに乗ってる一部の人達は、物珍しそうにこちらを見ていた。
なんでなんだろうね?
多少周りの目が気になりながらも、僕たちは大学へと到着した。
「それで幸太、どこへ集まることになっているの?初日だから、今日は研修なんでしょう?」
静海さんがそう言って見つめてきた。
やめて静海さん。そんなに見つめないで。
いくら少しは慣れたといっても、あなたみたいな美人に見られると、緊張しますから。
「え、えっと。人事部に来るようにって言われてます」
「あら、だったら詩乃と同じ階ね。詩乃、あとはお願いできるかしら?」
「わかった。って、智恵も途中まで一緒じゃないの」
吉良さん、僕以外には普通に話せるんですね。
そんな話をしながら僕たちは、1つの大きな建物へと入っていった。
「じゃぁ幸太、頑張って来なさい」
階段で2階に上がると、そんな言葉を残して静海さんは『財務部』のプレートがかかった部屋へと入っていった。
静海さんを見送った僕たちは、そのまま再び階段を上がり始めた。
「「・・・・・・・」」
あー、うん。なんだか気まずいな。
「あの、吉良さんは、人事部なんですか?」
僕は頑張って吉良さんに話しかけた。
「いえ、私は総務部なの」
蚊の鳴くような声で、吉良さんは答えてくれた。
「総務部って、なんだか大変そうですね」
「ま、まぁそれなりにね」
2度目の歓迎会依頼、一応のコミュニケーションは取れるようになった僕たち2人は、それでもまだ残る余所余所しさをお互いに感じながら4階へと到着する。
「こっちが人事部。こ、幸太くん、頑張ってね」
そう言って精いっぱいの笑顔を向けてくれた吉良さんが、『総務部』のプレートがかかった部屋の扉に差し掛かると、
「あっ、吉良係長、おはようございま~す」
「はぁーい、おはよー」
明るく挨拶をしてくる職員らしき女性に、吉良さんが先ほどまでと打って変わった明るい声で返しながら部屋へと入っていった。
ここまで露骨に態度が変わるのに、嫌われているわけじゃないっていうのも驚きだよね。
まぁ、男の人が苦手って言ってたから、話してくれるだけありがたいんだけどさ。
でも、仕事に支障はないのかな。
っていうか吉良さん、係長なんだ。
職場では僕も、『吉良係長』って呼んだほうがいいのかな、やっぱり。
ってことは静海さんは、『静海課長補佐』か。
呼びにくそうだなぁ。
っとそれよりも。
僕は思考を切り替えて、『人事部』のプレートが掛かる扉へと入って行く。
津屋さんに見送られた僕は、ただただ緊張しながら大学へ向かうバスに揺られていた。
「今は授業が始まっていないからゆっくりでも良いけど、授業が始まったらバスは学生で溢れるから、もう少し早いバスにした方がいいわよ」
隣に座る静海さんがそう言うと、通路を挟んだ隣の席の吉良さんも、その通りとばかりにうなずいていた。
そう、僕の初出勤は、静海さん、吉良さんとご一緒。
なんだか同じバスに乗ってる一部の人達は、物珍しそうにこちらを見ていた。
なんでなんだろうね?
多少周りの目が気になりながらも、僕たちは大学へと到着した。
「それで幸太、どこへ集まることになっているの?初日だから、今日は研修なんでしょう?」
静海さんがそう言って見つめてきた。
やめて静海さん。そんなに見つめないで。
いくら少しは慣れたといっても、あなたみたいな美人に見られると、緊張しますから。
「え、えっと。人事部に来るようにって言われてます」
「あら、だったら詩乃と同じ階ね。詩乃、あとはお願いできるかしら?」
「わかった。って、智恵も途中まで一緒じゃないの」
吉良さん、僕以外には普通に話せるんですね。
そんな話をしながら僕たちは、1つの大きな建物へと入っていった。
「じゃぁ幸太、頑張って来なさい」
階段で2階に上がると、そんな言葉を残して静海さんは『財務部』のプレートがかかった部屋へと入っていった。
静海さんを見送った僕たちは、そのまま再び階段を上がり始めた。
「「・・・・・・・」」
あー、うん。なんだか気まずいな。
「あの、吉良さんは、人事部なんですか?」
僕は頑張って吉良さんに話しかけた。
「いえ、私は総務部なの」
蚊の鳴くような声で、吉良さんは答えてくれた。
「総務部って、なんだか大変そうですね」
「ま、まぁそれなりにね」
2度目の歓迎会依頼、一応のコミュニケーションは取れるようになった僕たち2人は、それでもまだ残る余所余所しさをお互いに感じながら4階へと到着する。
「こっちが人事部。こ、幸太くん、頑張ってね」
そう言って精いっぱいの笑顔を向けてくれた吉良さんが、『総務部』のプレートがかかった部屋の扉に差し掛かると、
「あっ、吉良係長、おはようございま~す」
「はぁーい、おはよー」
明るく挨拶をしてくる職員らしき女性に、吉良さんが先ほどまでと打って変わった明るい声で返しながら部屋へと入っていった。
ここまで露骨に態度が変わるのに、嫌われているわけじゃないっていうのも驚きだよね。
まぁ、男の人が苦手って言ってたから、話してくれるだけありがたいんだけどさ。
でも、仕事に支障はないのかな。
っていうか吉良さん、係長なんだ。
職場では僕も、『吉良係長』って呼んだほうがいいのかな、やっぱり。
ってことは静海さんは、『静海課長補佐』か。
呼びにくそうだなぁ。
っとそれよりも。
僕は思考を切り替えて、『人事部』のプレートが掛かる扉へと入って行く。
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