おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
111 / 519
いざ、中忍体!

第105話:開始の前に

しおりを挟む
「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。」
そんな、事務的な声が控室の中に響き渡る。

「本日の参加校は3校。忍が丘第1中学校、第2中学校、そして第3中学校です。」

「お、やったな。」
シンが、ノブにそう囁いているのを耳にしながら、重清は再び流れてくる声に集中する。

「中忍体はこれより20分後に開始いたします。顧問の先生方は、出場者の登録にお越しください。」
その声を最後に、控室に響いた声は途絶えてしまう。

「じゃ、おれはちょっと行ってくる。さっき言った6人は、それ来て待ってろ。」
そう言って控室の端に準備された中忍体用のスーツを指し、ノリは扉を開けてその先へと進んで行った。

「え?」
ノリが開けた扉の先を見ていた恒久が、そんな声を出す。

「おい、ソウ。今、扉の先に昨日のヤツいなかったか?」
「え?ごめん、これ着るのに集中しててみてなかった。」
そう言ってスーツを着ているソウに、

「そっか。悪ぃ、邪魔したな。」
そう返して、恒久は引き下がる。

(さっきの、昨日公園であったヤツに見えたんだけどな・・・)
恒久はそう思いながらも、
「でもまぁ、あんなチャラいヤツが忍者なわけない、か。」
そう呟いて自分を納得させていた。

「ん?何か言った?」
恒久と同じくスーツを着る必要のないアカが、恒久の独り言にそう返すも、
「あ、いや、なんでもねぇ。」
「ふぅん。」
恒久の言葉に、アカは再びショウの着替えシーンに集中するのであった。
とはいっても、ただ制服の上にスーツを着るだけのシーンなのだが。


スーツを制服の上に着た重清は、プレッソのチーノをその場に残してシンの方へと近づいた。
「シンさん。さっき参加校が発表されたとき、『やったな』って言ってたけど、あれって何なんですか??」
同じく既に準備を終えていたシンは、重清の言葉に振り返る。

「ん?あぁ、あれな。参加校に3中がいただろ?3中って、いっつも弱いって話なんだよ。実際、去年向こうから4対4で模擬戦の申し出があってな。そこでも、こっちの圧勝だったんだよ。」

「あー、そういうことですか。」
「こらシン。そんなこと言うもんじゃないよー。やる前から油断なんて、しちゃ駄目だよー。」
やっとスーツを着たショウが、そう言ってシンを窘めるのであった。


そうこうしていると、ノリが再び扉から入ってくる。
(ダメか。)
それを待って扉を見続けていた恒久は、扉の先に先程見えた男を探すも、見つける事ができず、そう思っていると。

「ちっ。」
控室に入ったノリは忌々しそうに、閉めた扉を睨んでて舌打ちしていた。

「ノリさん、何かあったんですか?」
ショウが尋ねると、

「ん?あぁ。気にすんな。それより、6人とも準備はできたか?」
そう言って、ノリがショウ達へと目を向けると、6人と2匹はやる気に満ちた目でノリを見返し、頷いていた。

「やる気は十分ってとこか。あの扉はもう、会場に繋がっている。お前ら!行ってこい!!」
「はいっ!!」

6人はそう言って、ショウの開け放った扉を通っていく。

「重清!」
「はい?」
最後尾の重清に声をかけるノリに、重清が振り向く。

「気合入れていけよ。」
「ん?はい!」
重清はそんな返事をして、扉の先へと消えていった。
「おれ、そんなに気合い抜けてるようにみえたかなー?」
と呟きながら。


「あれ?ここって。」
重清が扉を抜けた先で見たのは、忍が丘第2中学校の校門、今朝重清達が集合した場所であった。

その時、先程控室で聞こえた声が、辺りに響き渡る。

「今回の会場は、『街』に設定しております。皆様は現在、ご自身の中学校の校門にいるかと思います。その校門の先、中学校の敷地内が各中学の陣地となります。

なお、今回の会場が街であることから、校旗の隠し場所は屋外に限定させていただきます。
説明は以上となります。

開始まで残り5分。しばしお待ちください。」

「よし、この間に作戦を確認しておこうかー。」
ショウが、そう言って5人と2匹を見る。

「僕とソウは、まずこの校旗を隠してくる。隠し場所は、後でソウから伝えるねー。ソウ、みんなとは繋がってるかな?」
「はい、準備できています!」
「基本的な連絡は、模擬戦同様ソウからしてもらうからねー。
シンとケン、そしてノブは、3人で行動して。敵の数を減らして。」

「「「はい(うっす)!!」」」

「ところでチーノ、ここから、他のチームの気配は感じられる?」
「えぇ、問題ないわ。」
「じゃぁ、重清はチーノと校舎の屋上から敵を減らせるか試してみてー?プレッソは、その間2人の護衛。しばらく試して、難しそうだったら3人で動いてね。」

「はいっ!」
「えぇ。」
「おぅっ!」

その後、細かい作戦を話していると、再び事務的な声が辺りに鳴り響く。

「では、時間になりました。忍が丘市中忍体、開始。」

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...