おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
375 / 519
外伝〜始祖の物語〜

第5話:弟子

しおりを挟む
最も力の強い青年、炎空えんくの手には、篭手こてと、足元には一羽の鳥が、現れた。

「ふむ。力の強い炎空に、よく似合う武具ではないか。そして獣は鳥か。炎空の力は、どうやら火、のようだな」
「鳥っていうのはなんかいまいちだけど、この武具は気に入りました」


最も弓の扱いに長けた娘、索冥さくめいの手には弓が、そして足元には一頭の虎が現れた。

「弓とは、索冥らしいな。それは虎、か?初めて見るな。索冥の力は、金、か」
「はい。やはり私には、弓が1番合いますから。それにしても、虎、ですか。少し怖いですね」


最も人を欺くことに長けた青年、りんの手には、草達もよく使う手裏剣が、そして足元には、角の生えた馬のような生き物がいた。

「それは、麒麟、だな。伝説に聞く生き物をこの目でみることになるとはな。その手裏剣も、麟ならば上手く扱うだろう。そして麟の力は、土、のようだな」
「麒麟、か。なんだか変な生き物ですね。痛い!角で突っつくなよ!」


最も力の弱い青年、角端かくたんの手には、書が、そして足元には、大きな亀がいた。

「角端の武具は、書、か。どうやら私の物とは少し違うようだな。そして獣は亀。着実に努力を重ねる角端に、よく合っているな。ふむ。どうやら角端の力は水、のようだな」
「は、はい!ありがとうございます!」


最も優しい娘、丞篭しょうこの体には鎧が、そしてその首元には龍が巻き付いていた。

「ふむ。優しい丞篭には、武器ではなく防具が現れたか。それにそちらは龍、か。またしても伝説の生き物を見ることになるとはな。なるほど、丞篭の力は木、か」
「ひ、人を傷付けるものが出なくて、良かったです」


(この5人は、私が参考にした五行それぞれの力が宿ったか。しかし、一見すると力の違いが分かりにくいな。力に色でも付けるか)
5人の弟子を見た男はそう考えながら、残る最後の1人の前へと立った。

男の目の前にいる、最も男を敬愛し、男が最も信頼する青年、允行とうぎょうの手には何も握られておらず、足元にも何も居なかった。

ただ、青年からは黒い力が溢れているだけであった。

「これは、一体何なのですか!?」
允行は、男に縋るような視線を向けた。

「これは・・・」
男は允行から溢れ出る力を見つめながら、呟いた。

目の前の青年から溢れる黒い力は、男にとっても予想外のものであった。

今まさに、力に色を付けようかと考えていた男ではあったが、ただ考えていただけであり、他の者達の力は、ただ湯気のように微かに見えるに過ぎなかった。

にも関わらず、允行からは黒い力が溢れていたのだ。

「その力は、私の契約書には記されていない力だ」
そんな師の言葉に、允行は涙を流した。

「私は、お役には立てないのでしょうか」

涙を流してそう言う允行の頭に、男の大きな手がそっと添えられた。

「馬鹿者。そんなわけないであろう。允行、お前はきっと、私よりも才能があったのだ。私などとの契約に縛られるべきではない程の、才能がな。だからこそ、契約書に記していない力が発現したのであろうな」

「わ、私は、どうすれば・・・・」

戸惑う允行は、そう呟いた。

「契約を破棄することもできるぞ?允行であれば、私とは別の力を扱えるようになるやもしれんが・・・」
「そ、そんな!私は嫌です!私は、師から、父から頂いたこの力と共に生きたいのです!」

師の言葉に、允行は大声を上げた。

「そう、言うてくれるのか」
允行の言葉に、男は涙を浮かべながら言った。

「では允行よ、お前に言い渡す。この先、お前と同じような力を発現する者も出てくるであろう。お前は、その力と向き合い、その力の本質を見極めよ。
そして・・・・・・」

男はそこまで言うと、他の5人を見渡した。

5人は、じっと師を見つめ返していた。

「允行。お前には私の1番弟子として、残りの5人をまとめることを命じる。皆、異論は無いな?」
そう言う師に、5人は強く頷き返していた。

「わ、私が、彼らを・・・・しかし、良いのですか?皆と違う力を持った私などで・・・」
「お前以外に誰がおるか、馬鹿者が」
男がそう言って允行の肩に手を置き、5人に目を向けた。

允行も、師の視線を恐る恐る追っていくと。

炎空「允行、あんたしかいない!」
索冥「そうよ允行。炎空は力は強いけど、馬鹿だし」
麟「まぁ、この中じゃ、あんたしかいないよ、允行」
角端「うん。僕も允行がいいと思う」
丞篭「允行ならば、きっと皆を導いてくれます」

「み、皆・・・ありがとう、ありがとう・・・・」

兄弟の、そして友の言葉に、允行はただ、そう言って涙を流すのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...