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協力
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「……私の言うことを聞くなんて言ってたくせに、全然言うこと聞いてくれないじゃない。やっぱり嘘だったのね」
「……ごめん」
失敗だったか。こうなったら仕方がない。これからも一人で――
「……外の様子を教えて」
「え?」
「何度も言わせないでよ」
視線を逸らしながら、深谷さんが不満そうに言う。これは、つまりそういうことなのか?
「でも、僕は」
「ええ。貴方は嘘つきよ。けど悪い嘘つきじゃないみたいだから、少しは信じられると思ったの」
「じゃあ」
「……これ以上は言わないわ。ほら、早く言いなさい」
「……うん。ありがとう」
やった。深谷さんからの信頼を得られた。これでここから出られる可能性も一気に高まったはずだ。
僕は歓声を上げそうになるのを何とか抑えて、まだ話していない情報や詳しい景色なんかを深谷さんと共有する。
僕の話を聞き終えると、深谷さんは小さく頷いた。
「どうしようもなさそうね」
諦めが早すぎる!
「いやいや、折角二人になれたんだし、もう少し考えてみようよ」
「でも大抵のことは無理だって、貴方の行動が証明してくれたじゃない。外に出たところでどこに行けばいいのかも分からないし、邪魔者までいるんでしょ? 貴方が言ってたことだけど、寒さが収まるまで待つしかないんじゃない?」
「いや、まだできることはある。雪像は確かに僕を追ってきたけれど、ある程度距離をとったら追うのを止めたんだ。追いつけないと諦めたのか、それともここには近づけないのか。どちらにせよ、この辺りは外も安全なんだと思う」
「……それで? この辺りに出てどうしようって言うの?」
「このかまくらを大きくする」
「ここを?」
深谷さんが広くない内部を手で示す。
「中は広くなるかどうか分からないけど、このかまくらを元に寒さを凌げる場所を増やしていけると思うんだ。例えば、今は出口をくぐるとすぐに外だけど、その辺りに雪で壁と屋根をつければ、その分遠くまで行けるでしょ?」
「また悠長な話ね」
「何もしないよりかはマシだろ?」
「いいわ。ならまず貴方が試してみて頂戴」
「え、僕一人?」
「当然でしょ、貴方の提案なんだから。それで上手くいく目処が立てば協力してあげるわ」
「……分かった」
どうやら僕は従者的な存在として認識されているようだった。まあそれでもいいんだけど。
「ただし、ある程度完成したら深谷さんにも一度通ってもらうよ。じゃないと目処が立ったかどうかも分からないから」
「……仕方ないわね。そのくらいなら引き受けてあげるわ」
「約束だからね」
素直じゃない女王様を置いて、僕は外に出て作業を始めた。
「……ごめん」
失敗だったか。こうなったら仕方がない。これからも一人で――
「……外の様子を教えて」
「え?」
「何度も言わせないでよ」
視線を逸らしながら、深谷さんが不満そうに言う。これは、つまりそういうことなのか?
「でも、僕は」
「ええ。貴方は嘘つきよ。けど悪い嘘つきじゃないみたいだから、少しは信じられると思ったの」
「じゃあ」
「……これ以上は言わないわ。ほら、早く言いなさい」
「……うん。ありがとう」
やった。深谷さんからの信頼を得られた。これでここから出られる可能性も一気に高まったはずだ。
僕は歓声を上げそうになるのを何とか抑えて、まだ話していない情報や詳しい景色なんかを深谷さんと共有する。
僕の話を聞き終えると、深谷さんは小さく頷いた。
「どうしようもなさそうね」
諦めが早すぎる!
「いやいや、折角二人になれたんだし、もう少し考えてみようよ」
「でも大抵のことは無理だって、貴方の行動が証明してくれたじゃない。外に出たところでどこに行けばいいのかも分からないし、邪魔者までいるんでしょ? 貴方が言ってたことだけど、寒さが収まるまで待つしかないんじゃない?」
「いや、まだできることはある。雪像は確かに僕を追ってきたけれど、ある程度距離をとったら追うのを止めたんだ。追いつけないと諦めたのか、それともここには近づけないのか。どちらにせよ、この辺りは外も安全なんだと思う」
「……それで? この辺りに出てどうしようって言うの?」
「このかまくらを大きくする」
「ここを?」
深谷さんが広くない内部を手で示す。
「中は広くなるかどうか分からないけど、このかまくらを元に寒さを凌げる場所を増やしていけると思うんだ。例えば、今は出口をくぐるとすぐに外だけど、その辺りに雪で壁と屋根をつければ、その分遠くまで行けるでしょ?」
「また悠長な話ね」
「何もしないよりかはマシだろ?」
「いいわ。ならまず貴方が試してみて頂戴」
「え、僕一人?」
「当然でしょ、貴方の提案なんだから。それで上手くいく目処が立てば協力してあげるわ」
「……分かった」
どうやら僕は従者的な存在として認識されているようだった。まあそれでもいいんだけど。
「ただし、ある程度完成したら深谷さんにも一度通ってもらうよ。じゃないと目処が立ったかどうかも分からないから」
「……仕方ないわね。そのくらいなら引き受けてあげるわ」
「約束だからね」
素直じゃない女王様を置いて、僕は外に出て作業を始めた。
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