聖女として召喚されたものの、デブなので嫌われて処刑されそうになったので

千代乃

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「ユラノ!貴様との婚約は破棄する!」

そう高らかに宣言したのはこの国の第一王子、レイモンドだ。
金髪、碧眼。高身長で顔が良く、自信と傲慢さが溢れている17歳だ。
対する私は太って醜い、黒髪黒目をした同じく17歳。しかし、肥えているため外見は実際より老けた印象を与えている。

学園で行われた、婚約発表パーティーでのことだ。婚約発表の予定なのに破棄されて私はどんな顔をすればいいのか分からない。

私は一年前に召喚の儀でこちらの世界にやってきた。
召喚の義で呼ばれた乙女がこの国の聖母となり国母となる、という伝承に則り私は皇位継承権一位のレイモンドと婚約することになっていた。ちなみに、召喚の儀で呼ばれた乙女とは聖婚とし、第一王子はもう一人王妃を迎えることができるらしい。そもそも、前回召喚が成功したのが三百年前なので、儀式自体かなり形骸化していたと聞く。

三百年ぶりに成功してやってきたのが、前述のとおり肥えた私なので関係者一同大変落胆していた。
気持ちは分からなくもないが、一連の出来事で最も大きな被害を被ったのは私なのだ。若く美しい乙女を呼べなかったのは、私のせいではない。

しかし、不本意とはいえこの世界にやってきた以上、この世界の権力者に従っておくのが無難だろう。不満はあるが、言ったところで無意味だし、なんの得にもならない。衣食住は保障されているのだし、聖婚というのは形だけのものだという。もとの世界に戻りたいと言っても、この私を呼び寄せてしまうような人たちには無理な仕事だろう…一応聖職者に聞いてみたが、無理だと言われた。だろうね。

郷に入っては郷に従え、という先人の教えに従い私はこの世界に順応しようと努力した。
マナーを身に着け、学園に入学し、家庭教師にも学んだ。ついでに元の世界に戻る方法へのアンテナは常に張っていた。
しかし、傲岸不遜なる第一王子レイモンドは異物である私を嫌った。
生まれてこの方、美しいものにしか囲まれていなかった彼には私のような醜いものと形だけとはいえ一緒になるというのが耐えられない、これ以上なく自尊心を損なうことであったようだ。
彼は私を蛇蝎のように嫌い、それを隠そうともしなかった。

それが冒頭の婚約破棄宣言に繋がった。
しかし、レイモンドの私への嫌悪は婚約破棄程度では収まるものではなかったようだ。
彼はもっと徹底的に、決定的に私をこの世界から排除してしまう気でいたのだ。
それをすぐに私は知ることになる。
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