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一.大いなる勘違い
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アメリカ・バージニア州のとある郊外に店を構える州直営の酒販店「XYZストア」は木造平屋作りのこじんまりとした店舗だが、大型量販店にはない地元密着型のきめ細かな運営で多くの近隣住民から支持を得ている。
ある日の深夜、そんなXYZストアの裏にある雑木林の中から怪しげな光を放つ二つの眼があった。
(フフフ……。今日こそは、人間たちが歓談しながら呑む謎の液体“酒”とやらの正体を突き止めてやる)
彼の名は「ロッキー」、バージニア州アシュランド近郊の森に棲むオスのアライグマで怪しげな眼の持ち主である。
普段は趣味と実益を兼ねたゴミ箱漁りに勤しんでいるが、ここ最近は「人間社会の嗜み」を探究することにハマっている。
特に酒類に対して興味津々のロッキーは「あれはきっと、ここまで発展してきた人間社会の秘密のエネルギー源に違いない」と勝手に思い込み、その実態を解明すべく深夜のXYZストアへの潜入を決意したのである。
ハッキリ言って、迷惑である。店にしたら、迷惑以外の何物でもない。
だが、それを意に介さず、己の欲望の赴くままに突き進むのが、アライグマがアライグマたる所以だ。
ロッキーは忍者のように身を低くして店に近付き、トカゲのように壁をよじ登って屋根裏に設置された換気口から酒屋へ侵入を試みた。
その際、天井のタイル1枚が彼の重みに耐えきれずに抜け落ち、床へと落下してしまった。
ドスンと重い酒棚が揺れるほどの大きな音が店内に響き渡った。
「痛たた……っ。思いっ切りケツを打ってしまった……。んっ?」
突然の落下と臀部への痛打に驚いて逃げ出すかと思いきや、ひとしきり尻を撫でたロッキーは目の前の棚に気付くと、大胆な行動に出た。
「オオオォォォ……。なんと、人間はこんなにも豊富な種類の“酒”を持っているのか!」
防犯のために照明を点けたままの店内の棚に並ぶ多種多様な酒にロッキーは思わず驚嘆の声を上げた。
すると、まるでブレーキがぶっ壊れたダンプカーのように一直線でスコッチやウイスキーが並ぶ一番下の棚へと突進し、ボトルを手当たり次第になぎ倒しては、割れたボトルから溢れ出る酒を文字通り浴びるように吞みまくったのだ。
ある日の深夜、そんなXYZストアの裏にある雑木林の中から怪しげな光を放つ二つの眼があった。
(フフフ……。今日こそは、人間たちが歓談しながら呑む謎の液体“酒”とやらの正体を突き止めてやる)
彼の名は「ロッキー」、バージニア州アシュランド近郊の森に棲むオスのアライグマで怪しげな眼の持ち主である。
普段は趣味と実益を兼ねたゴミ箱漁りに勤しんでいるが、ここ最近は「人間社会の嗜み」を探究することにハマっている。
特に酒類に対して興味津々のロッキーは「あれはきっと、ここまで発展してきた人間社会の秘密のエネルギー源に違いない」と勝手に思い込み、その実態を解明すべく深夜のXYZストアへの潜入を決意したのである。
ハッキリ言って、迷惑である。店にしたら、迷惑以外の何物でもない。
だが、それを意に介さず、己の欲望の赴くままに突き進むのが、アライグマがアライグマたる所以だ。
ロッキーは忍者のように身を低くして店に近付き、トカゲのように壁をよじ登って屋根裏に設置された換気口から酒屋へ侵入を試みた。
その際、天井のタイル1枚が彼の重みに耐えきれずに抜け落ち、床へと落下してしまった。
ドスンと重い酒棚が揺れるほどの大きな音が店内に響き渡った。
「痛たた……っ。思いっ切りケツを打ってしまった……。んっ?」
突然の落下と臀部への痛打に驚いて逃げ出すかと思いきや、ひとしきり尻を撫でたロッキーは目の前の棚に気付くと、大胆な行動に出た。
「オオオォォォ……。なんと、人間はこんなにも豊富な種類の“酒”を持っているのか!」
防犯のために照明を点けたままの店内の棚に並ぶ多種多様な酒にロッキーは思わず驚嘆の声を上げた。
すると、まるでブレーキがぶっ壊れたダンプカーのように一直線でスコッチやウイスキーが並ぶ一番下の棚へと突進し、ボトルを手当たり次第になぎ倒しては、割れたボトルから溢れ出る酒を文字通り浴びるように吞みまくったのだ。
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