スキル「ジョブチェンジ」で下剋上!

山椒

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24:パーティ追放系

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 三つ編みの女性に声をかければ彼女は恐る恐る俺の方を見上げてきた。

 俺は彼女に視線を合わせるようにしゃがんで俺の後ろにいるアニーを見る。

「アニー、ハンカチはあるか?」
「どうぞ」

 顔面に吐き捨てられた唾をハンカチで拭う。

「ここではなんだから離れよう。立てるか?」

 震えながらも小さくうなずいた女性の手をつかんで立たせる。まだ自力で立てる力はないようだから俺が支えてやる。

 周りでコソコソ話しているやつらを無視してダンジョンギルドから出ようとする。

「なによ、そいつを助けるの?」
「さすがに見過ごせないだろ。何か問題があるか?」
「偽善をして気持ちよくなっているのかしら? ここで助けてもそいつのためにはならないでしょうに」
「人によってためになることは違うだろ。自分がそうだからそれを押し付けるのは傲慢で怠惰というものだ。何も考えずその人のことをなんとも思っていない、ただの傍観者の言葉に過ぎない」

 依存がよくない、逃げはよくないとか言う人がいる。でもそれはその人が良ければなんでもいいだろう。

 他人に迷惑をかけずに依存している分には何も問題はないはずだ。

 それがダメだという人こそが偽善というものだ。

「フン、勝手にしなさい」

 俺の言葉に言い返さずそう言い放つブレアを背に出口に向かう。

 こんな言い方をしているからここでブレアとルナとはお別れだな。彼女ら二人は王都にでも帰るだろう。

 だけどルナは当然のごとく俺に続いていた。

「る、ルナ? ど、どうしてバンリと一緒に行っているのかしら……?」
「どうしてー? ルナはバンリと一緒にいたいからだよー?」
「わ、私たちとバンリはここで分かれる感じだったでしょう?」
「んー? 分かんなーい」

 そういうことをルナに分かってもらうのが無理だというものだろう。この短時間で俺もよく分かっている。

「だ、そうだ。ブレアはどうする?」

 別に煽る意図はない。でもブレアに問いかける必要はあったからそう言った。

「ッ! えぇ! 行くわよ!」

 俺に煽る意図がなくても受け手であるブレアがそう感じたら煽っているのだろう。

 ブレアはぶち切れた顔をしながらもドスドスとした感じで俺に続いた。

 俺たちは俺がここで借りた宿に向かって一部屋借りる。

 受付の人に三つ編みの女性を見て変な感じで見られたが気にしない気にしない。

 というか今の俺はどこかの貴族みたいに見えているのだろうか。

 メイドを引き連れ、美人な女性二人と一緒にいて、一人の女性を宿に連れ込んでいる。

 ヤバい奴の間違いだろうな。

 二つのベッドがある部屋に入って三つ編みの女性、エマをベッドに座らせる。

 俺が声をかけた時よりかは顔つきが幾分かマシになっているがまだ顔色は悪い。

「大丈夫か?」
「は、はい……」

 大丈夫ではないだろうな。

 ルナはもう片方のベッドに寝転んでこちらを見て、ブレアはそのベッドに腰掛けて本を読んでいた。

 その本はどこからか出てきたメイドによって出されたものだ。アニー以外にもそんなことができるメイドがいるとはメイド界隈では当たり前なのかもしれない。

 とりあえずエマに何が起こったのかを聞きたいところではあるがエマが十分に落ち着いてからだな。

「どうぞ、ハーブティーです」
「あ、ありがとう、ございます……」

 やっぱりアニーはできたメイドだな。

「何があったか話してくれないか? 話せば何か力になれるかもしれない」

 俺が優しく問いかければエマはポツポツと事情を話し始めた。

 竜の息吹というパーティメンバーは幼馴染メンツで結成されたBランクのパーティだそうだ。

 ちなみにパーティのランクはダンジョンギルドが制定しているらしく、冒険者ギルドでも通用するものだそうだ。

 ずっとそのパーティにいたわけだが、戦士のエマはステータス値が高いわけではなく、さらに運動神経もよくないことでパーティのお荷物として荷物持ちをやっていたそうだ。

 親同士が仲がいいことで無理やりエマをパーティに入れていたわけだがエマ以外のパーティメンバーはエマのことを邪魔だと思っていた節があるそうだ。

 それでもエマはずっと冒険者になりたいと思っていたからそう思われていても、蔑まれていても我慢してパーティに所属していた。

 だけど今日ザラルダンジョンに行った時にカバンに穴が開いていることに気が付かず魔石をすべて落としてきたそうだ。

 それでパーティを追放された、ということが一連の経緯らしい。

 魔石の分を補填するために有り金を全部奪われたとか。それは見ていたから分かる。

「わ、私……どうしたら……」

 すべてを話し終えてエマは絶望に打ちひしがれていた。

 どうしたらいいのか。この世界の住人であるエマなら何でも選択肢はあるだろう。

 例えば実家に帰る、冒険者ギルドでお金を貯める。

 エマが思いつかないだけでこの世界の住人であるから選択肢は色々とある。

 この世界に身一つで放り出された俺はこの世界のことをよく分かっていなかったから途方に暮れたがエマは違う。

 だがそんなことをド直球にエマには言わない。ブレアなら言うかもしれないけど。

 俺は悪い男だからな、このチャンスを逃さない。

「困っているのなら俺が助けよう」
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