異世界召喚はもう勘弁してください。~五度目の異世界召喚は国の再興からスタートです~

山椒

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02:三度目と四度目

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 三度目の召喚は少し毛色が違っていた。

 国に召喚されたのは違いないが一回目と同じで俺一人だった。だが、勇者ではなく聖女ならぬ聖者として召喚された。聖者の武器として腕輪を支給されて。

 今回は魔王討伐ではなく別次元から現れる異形たちを倒すのに協力してほしいとのことだった。

 どうして勇者ではないのかと問いかければ伝説の武器が聖者の武器しか残されておらず聖者しか召喚が不可能だからという理由だった。

 色々と世界が危機に瀕していたがとりあえず協力しない限りは帰れないから協力することにした。

 おそらくこの世界が一回目なら、俺はすぐに死んでいただろうと思うくらいにこの世界は厳しかった。

 俺は聖者として騎士たちをサポートして回復する役割を担っていた。だが思って以上に次元の狭間来る異形たちの勢いは強かった。

 俺が敵の大部分を魔法で蹴散らし、騎士たちを支援。さらに前衛が押され始めれば前衛に出て戦うというパーティではなく軍隊を丸ごと支えなければいけないというものだったからな。

 一回目の器用貧乏、二回目の魔法特化、今回の支援魔法のすべてがなければ厳しかった。

 初期に持っている『聖者』を『大聖者』に。

 初期に持っている『治癒』を『神癒』に。

 初期に持っている『浄化』を『復元』に。

 初期に持っている『光』を『光輝』に。

 超強化を使っていれば手に入れた『パワー』を『超パワー』に。『ディフェンス』を『超防御』に。『スピード』を『神速』に。

 もう色々と大変だったが何とか異形たちの侵攻を阻止した。

 しかも異形たちの侵攻の間隔が回を重ねるごとに短くなっていくのもしんどかったが何とか乗り切った。

 そうして俺は報酬として金銀財宝を手に入れて帰還した。

 どうやらあちらの世界では金銀財宝が価値のないものになっているようだからがっぽりもらえた。

 四か月に及ぶ激戦。激戦であったからあっという間に四か月が経過した。

 元の世界ではそれほど時間は経っていないだろうと思ったが、違った。

 二回目と同じく一日が経過していた。

 三回目の出来事で俺はこの世界と異世界との時間の差がなくなってきているのではないか? という仮説を立てた。

 だがそれは異世界の時間の流れがそれぞれ違うのだと思い込んだ。

 二回目と三回目で俺には大量の金銀財宝をゲットでき家に隠すのが無理になってきた。

 どれか一つ売って銀行にでも預けたいなと思ったが高校生がそんなことをすれば怪しまれると思っていたところで、四回目の異世界召喚が起こった。

 だがその時の俺は魔法をかなり知り尽くしている状態だから跳ね返そうかと思った。

 無理だった。すぐに召喚された。

 でも異世界召喚の魔法陣は見れたから違う術式に使えそうだなと思いながらも四つ目の異世界に召喚された。

 四度目の召喚は二回目と同じ形式だった。

 交互に一人とパーティが来ているのかと思いながらも俺は勇者として召喚された。

 ただ今度は剣ではなく槍を持つランサーとして顕現している。

 仲間には聖女、騎士、侍と前衛が多いパーティとなっていた。

 だが、世界は三回目よりも非常にまずい状況になっていた。

 世界は魔王よりもおぞましい存在が土地を、海を食らいつくしている。それを対抗するために俺たちが召喚された。

 一回目と二回目では順序良くレベル上げをすることができた。だけどこの四回目は最初からそのおぞましい存在の分身が人間を殺しているからレベル上げの難易度が跳ね上がっていた。

 まあそこは今回四回目の異世界召喚である俺がいるため難易度が跳ね上がっているだけで不可能ではなかった。

 それに今回は侍が二回目の召喚ということでかなり楽だった。

 聖女の回復が間に合わなければ俺がそれを補い、騎士が危なそうだったら俺もタンクとして回るという二回目とは違い負担が多かったが三回目よりはましだ。

 おぞまし存在、魔神を倒すために俺たち勇者を筆頭に人間、亜人、獣人、魔族の連合軍が対処にあたった。

 初期に持っている『勇者』を『大勇者』に。

 初期に持っている『槍術』を『槍神』に。

 疾く駆けつけるために走っていたら手に入った『走破』を『瞬走』に。

 槍術を使っていれば手に入った『投擲』を『一投必殺』に。

 敵を足場にしていれば手に入った『空中ジャンプ』を『極大ジャンプ』に。

 とにかく敵を速く、多く倒すためにスキルを獲得していった。

 じゃなければ他の仲間が囲まれてしまうし、さらに多くの敵を倒さなければいけない状況になってしまう。

 それに連合軍の人々もある程度残っていなければ世界の復興ができなくなるからとにかく大変だった。

 三回目と四回目、どちらが大変かと言えば四回目だ。

 三回目の方が数は多いが四回目の方が強さが桁違いだった。

 そして魔王よりも忌々しい魔神を槍にて貫き殺せば分身たちも消えた。

 魔神を殺したことで俺たちは元の世界へと帰還した。一回目と同じだ。

 本当は槍くらいは持ち帰りたかったがこれまでの経験上、その武器は召喚するためのものだから要求しても無理そうだ。二回目の聖女がかなりラッキーな気がする。

 金銀財宝も特になさそうだし、要求するものがなかったからこうして帰ってよかったのかもしれない。

 四回目にかかった日数は三か月という過去最短であったが、帰った時は一週間もの時間が経過していたことでかなり大事になっていた。

 それはもう誘拐されて命からがら逃げてきたと言うしかなかった。

 目隠しをされて、ボロボロの体を演出した。自分で自分の体をボロボロにしてそう演出した。

 異世界で戦っていれば痛みなんて慣れるから自分を痛めつけるのは簡単だった。

 だから色々と聞かれても痛みで意識が朦朧としていて分からなかった答えることができた。

 ハァ、異世界召喚はこういうところが怠くて嫌なんだよな。戦うことは一回目じゃないから特に苦労はしないから帰ってきた時の言い訳が怠い。
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