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06:世界の状況
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アストリッドに続いて来た道を戻って召喚された場所に戻る。
やはりこの空間には結界が張られている。
いや、結界というよりも……加護か。あの像からその加護が来ていることはハッキリと分かる。
召喚された場所に入ればアストリッドは一直線に俺が治した女性の元へと向かった。
「……ゆ、ユーキ。君が何かしてくれたのか……?」
「あぁ。見たところ魔力枯渇だったからな。応急処置はしておいた」
「魔力枯渇を治せるのか!?」
「できるぞ」
アストリッドは安心した顔を見せて座り込んだ。
「よかったぁ……」
「応急処置しかしていないから今から治していくぞ」
さっきまで張りつめていた感じのアストリッドだがどこか気が抜けた感じだ。
俺は横たわっている女性に近づいて神癒を再びかける。
神癒はどんな怪我や病気でも癒すことができる強いスキルだ。まあこういう魔力枯渇という脳死に近い状態は治すのに時間がかかるが。
「でだ、この世界がどういう状態なのか教えてくれないか? 俺は一刻も早くこの世界のことを聞きたい」
この状況だけを見れば四回目よりもひどい。
四回目の状況は世界が団結しなければ無理な状況だったが国はあった。だが今回のこれは国が機能していない状態だ。
全人類がここにいる人だけとかやめてくれよ? そうなればきつすぎて終わるぞ。
「あぁ、話そう。この世界について」
物分かりがいい俺のことをさておいてくれたアストリッドは俺が女性を治しながら話し始めた。
この世界は十二の神々の加護の元、十二の国がある。
国それぞれが一つの神を信仰していてこのディディミもジェミニを信仰している。
そしてその神々から同時にお告げがあった。
『異次元より闇の者たちが現れる。備えよ』
そうお告げが十二の国であったことで戦争をしていた国同士でも戦争をやめ闇の者たちに備え始めた。
古来より闇の者たちが現れることが数回あったらしく、そのたびに甚大な被害が出ていたことでその怖さを知っていた。
そしてその場合に限り、神々は異世界から神々自身の力に適性がある勇者を呼びだす魔法の行使が許可される。
「それが俺か」
「そうだ。君がジェミニ様に選ばれたジェミニの勇者ということだ」
後ろにあるジェミニの像を見るが、そういう実感はわかない。
ただ選ばれる、という点は覚えがある。
これまでの四回の異世界召喚で不思議なことに適性がなかったことがない。他の仲間たちもそうだ。
だから俺はこの五回目も含めて選ばれるべくして選ばれた、ということになる。不幸なことにな。
「この世界のことは分かった。それでこの国が崩壊しているのはもともとか? それとも闇の者と関係しているのか?」
「……関係している。そして、君にも関係していることなんだ」
「俺に?」
なんだ、俺が無意識に何かしたのか?
「さらに言えば、お母様の魔力枯渇も君の召喚に関係している」
「どういうことだ?」
さっき異世界に来たばかりなのにどういうことだ。ていうかこの女性、お母さんだったんだな。
「君の力を見て確信できた。君は強すぎたんだ。強すぎたから、召喚に時間がかかりすぎた」
「……は?」
俺が強いのは分かっている。だけど、それで召喚に時間が……?
「最初から話そう。ディディミはジェミニの勇者を召喚すべく二人の術者が必要だった。さらにその召喚を補助する魔法使いがいた。多くの術者をもってしても、君の召喚はかなりの時間を要した」
……今思い出した。あの優等生と同じタイミングで呼び出されていた。
だが、俺よりも先に優等生が消えたのを思い出した。そのあと数秒後に俺は飛ばされた。
「召喚をしている間に、闇の者が現れた。国を挙げて勇者召喚を早めようとしたが……勇者がいないこの国は崩壊した。勇者がいれば本来であれば許されていない神の力を行使でき、闇の者を撃退することができた。だが、それができなかった」
あー、これはまあ、俺が悪いな。
「す、すまない! 君を責めているつもりはないんだ!」
「いや、俺が悪いよ。俺が速く来れていれば、この国はこんなことにはならなかった。俺の責任だ」
「……違うんだ。闇の者たちだけじゃないんだ。このディディミにも問題があった。薄情者が身内にいたんだ。それで国は一気に崩壊したんだ……」
どうやら不幸が重なった結果らしいな。
「……もしかしてこの女性が魔力枯渇になっているのは」
「そうだ、君を召喚しようとした結果だ。私はお母様と二人で勇者の召喚の儀を行っていたが、とうとう誰もいない時に闇の者が来たことで私しか対応するものがいなくなった。召喚の儀はあと魔力を込めるだけの段階に入っていた。だから魔力枯渇に近いお母様に任せて、対応していた」
……ふぅ、まさか強すぎることでこんなことになるとは思わなかった。
「悪い」
「君は何も悪くない。むしろ謝らなければいけないのはこちらなんだ」
「別に謝られることはないが」
意を決したアストリッド。
なんだ、何を言われるんだ。
やはりこの空間には結界が張られている。
いや、結界というよりも……加護か。あの像からその加護が来ていることはハッキリと分かる。
召喚された場所に入ればアストリッドは一直線に俺が治した女性の元へと向かった。
「……ゆ、ユーキ。君が何かしてくれたのか……?」
「あぁ。見たところ魔力枯渇だったからな。応急処置はしておいた」
「魔力枯渇を治せるのか!?」
「できるぞ」
アストリッドは安心した顔を見せて座り込んだ。
「よかったぁ……」
「応急処置しかしていないから今から治していくぞ」
さっきまで張りつめていた感じのアストリッドだがどこか気が抜けた感じだ。
俺は横たわっている女性に近づいて神癒を再びかける。
神癒はどんな怪我や病気でも癒すことができる強いスキルだ。まあこういう魔力枯渇という脳死に近い状態は治すのに時間がかかるが。
「でだ、この世界がどういう状態なのか教えてくれないか? 俺は一刻も早くこの世界のことを聞きたい」
この状況だけを見れば四回目よりもひどい。
四回目の状況は世界が団結しなければ無理な状況だったが国はあった。だが今回のこれは国が機能していない状態だ。
全人類がここにいる人だけとかやめてくれよ? そうなればきつすぎて終わるぞ。
「あぁ、話そう。この世界について」
物分かりがいい俺のことをさておいてくれたアストリッドは俺が女性を治しながら話し始めた。
この世界は十二の神々の加護の元、十二の国がある。
国それぞれが一つの神を信仰していてこのディディミもジェミニを信仰している。
そしてその神々から同時にお告げがあった。
『異次元より闇の者たちが現れる。備えよ』
そうお告げが十二の国であったことで戦争をしていた国同士でも戦争をやめ闇の者たちに備え始めた。
古来より闇の者たちが現れることが数回あったらしく、そのたびに甚大な被害が出ていたことでその怖さを知っていた。
そしてその場合に限り、神々は異世界から神々自身の力に適性がある勇者を呼びだす魔法の行使が許可される。
「それが俺か」
「そうだ。君がジェミニ様に選ばれたジェミニの勇者ということだ」
後ろにあるジェミニの像を見るが、そういう実感はわかない。
ただ選ばれる、という点は覚えがある。
これまでの四回の異世界召喚で不思議なことに適性がなかったことがない。他の仲間たちもそうだ。
だから俺はこの五回目も含めて選ばれるべくして選ばれた、ということになる。不幸なことにな。
「この世界のことは分かった。それでこの国が崩壊しているのはもともとか? それとも闇の者と関係しているのか?」
「……関係している。そして、君にも関係していることなんだ」
「俺に?」
なんだ、俺が無意識に何かしたのか?
「さらに言えば、お母様の魔力枯渇も君の召喚に関係している」
「どういうことだ?」
さっき異世界に来たばかりなのにどういうことだ。ていうかこの女性、お母さんだったんだな。
「君の力を見て確信できた。君は強すぎたんだ。強すぎたから、召喚に時間がかかりすぎた」
「……は?」
俺が強いのは分かっている。だけど、それで召喚に時間が……?
「最初から話そう。ディディミはジェミニの勇者を召喚すべく二人の術者が必要だった。さらにその召喚を補助する魔法使いがいた。多くの術者をもってしても、君の召喚はかなりの時間を要した」
……今思い出した。あの優等生と同じタイミングで呼び出されていた。
だが、俺よりも先に優等生が消えたのを思い出した。そのあと数秒後に俺は飛ばされた。
「召喚をしている間に、闇の者が現れた。国を挙げて勇者召喚を早めようとしたが……勇者がいないこの国は崩壊した。勇者がいれば本来であれば許されていない神の力を行使でき、闇の者を撃退することができた。だが、それができなかった」
あー、これはまあ、俺が悪いな。
「す、すまない! 君を責めているつもりはないんだ!」
「いや、俺が悪いよ。俺が速く来れていれば、この国はこんなことにはならなかった。俺の責任だ」
「……違うんだ。闇の者たちだけじゃないんだ。このディディミにも問題があった。薄情者が身内にいたんだ。それで国は一気に崩壊したんだ……」
どうやら不幸が重なった結果らしいな。
「……もしかしてこの女性が魔力枯渇になっているのは」
「そうだ、君を召喚しようとした結果だ。私はお母様と二人で勇者の召喚の儀を行っていたが、とうとう誰もいない時に闇の者が来たことで私しか対応するものがいなくなった。召喚の儀はあと魔力を込めるだけの段階に入っていた。だから魔力枯渇に近いお母様に任せて、対応していた」
……ふぅ、まさか強すぎることでこんなことになるとは思わなかった。
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なんだ、何を言われるんだ。
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