9 / 27
第一章 第八節
しおりを挟む
五日間に及ぶ試合を三人は負けることなく終える。その結果、ベスト8にまで上り詰めていた。準々決勝の試合はマオ対アーバとなっていた。
「いよいよだな」
「うん」
お互いに開始位置につく。会場全体が試合の開始を今か今かと待ちわびていた。
「始め」
開始の合図と同時にアーバの体が赤く発光する。
「三分だ。三分に俺の全てをつぎ込む。こい」
「わかった。三分で終わらせる」
目に見えないほどの速度で拳と剣が何度もぶつかり合う。その度に衝撃波が発生し、観客を守るためのシールドを激しく損傷させる。損傷したシールドは教師によって次々と張り替えられていく。
張り詰めた空気の会場に反し、二人の表情には笑みがこぼれていた。この状況で笑い合う二人の姿は観客からすれば狂気そのものだった。
「さすがマオだ」
「アーバもね」
苛烈さを増していく撃ち合いを制したのはアーバだった。剣で防いだが勢いを殺しきれず、マオは上空に吹き飛ばされてしまう。
「技は足の力が重要だ。空中では足を踏ん張れない。俺の勝ちだ」
アーバは地面を蹴り、一気にマオに近づいていく。
「シールド」
「無駄だ。シールドごときで」
シールドはアーバとの間には出現しなかった。それは吹き飛ぶマオの頭上に出現する。
「なんだと」
マオは反転してシールドを足場に使い、迫ってくるアーバを迎え撃つ。
「六番 テン」
「負けるか」
マオとアーバは激しい撃ち合いになる。下方から追う形で飛んだアーバ。上方から足場を使い迎え撃つマオ。どちらの方が優勢かは明白だった。アーバは地面に向かって勢いよく吹き飛んでいく。
「シールド」
その言葉の意図をアーバは瞬時に理解できた。だが、間に合わない。アーバは受け身を取れないままシールドに叩きつけられる。追撃に備えようと瞬時に立ち上がり足を踏ん張った瞬間にシールドが消える。
「なんだと」
予想を超える魔法の使い方にアーバは翻弄される。
「ヘルフレイムホールド」
設置型で動かせない代わりに威力が高い魔法だ。本来ならあてるのが困難な魔法だが、発動されたのはアーバの下方。当たらない訳が無い状況だった。覚えた魔法の中から状況に応じた一番適切な魔法を選択する。魔法に関しても努力を怠らなかったマオゆえに辿り着いたものだろう。
「俺は負けねえ。まだ負けてねえ」
アーバは空中から火球に向かって拳を放つ。その拳は衝撃波を放ち魔法をかき消す。
「流石アーバ。そんな君に昔から憧れていた。そんな君に勝ちたい」
お互いに着地して状況は振り出しに戻る。再び苛烈な撃ち合いが始まった。 だが、気持ちで強さは変化しない。一回目の撃ち合い同様にマオが押されていく。その状況にアーバは拳を止めて一歩後退する。
「マオ」
「何?」
「どうしてアビスを使わない? このままなら俺が勝つぞ」
その質問にマオは少し困ってしまう。マオは自分のアビスを多少は理解できていた。それ故に、アビスを使うのを躊躇していたのだ。
「俺だってアビスを使ってる。俺が戦いたいのは本気のマオだ。アビスも含めてマオだろ」
「分かった。僕の本気をぶつけるよ」
僕に力を貸してください。
心の中でマオは唱える。数秒後、マオの目つきが変わった。
「これが僕の本気だ」
始まった撃ち合いは一方的なものだった。マオの使う技は今までよりも更に速く、洗練されている。一つ一つの技が今までと比べられないほどの威力をもっていた。アーバの体に徐々に傷が増えていく。
「これがマオの本気か。だが、だからこそ挑む価値がある」
アーバの体が更に赤みを増す。傷からは血が吹き出し始める。
「これが俺の本気だ」
アーバが渾身の力を込めて正拳突きを放つ。それを受け止めたマオの剣は粉々に砕け散った。ここからが本番だと会場全体が思っていた。だが、アーバの体は限界だった。出血が酷く地面に向かって倒れていく。マオはすぐに体を抱きしめて倒れないように支えた。
「もっていけたのは剣だけか。マオの勝ちだ」
「勝者マオ」
アーバは教師によってすぐに回復魔法がかけられ、医務室に運ばれていく。
会場全体からの歓声が一人佇むマオを包むのだった。
「いよいよだな」
「うん」
お互いに開始位置につく。会場全体が試合の開始を今か今かと待ちわびていた。
「始め」
開始の合図と同時にアーバの体が赤く発光する。
「三分だ。三分に俺の全てをつぎ込む。こい」
「わかった。三分で終わらせる」
目に見えないほどの速度で拳と剣が何度もぶつかり合う。その度に衝撃波が発生し、観客を守るためのシールドを激しく損傷させる。損傷したシールドは教師によって次々と張り替えられていく。
張り詰めた空気の会場に反し、二人の表情には笑みがこぼれていた。この状況で笑い合う二人の姿は観客からすれば狂気そのものだった。
「さすがマオだ」
「アーバもね」
苛烈さを増していく撃ち合いを制したのはアーバだった。剣で防いだが勢いを殺しきれず、マオは上空に吹き飛ばされてしまう。
「技は足の力が重要だ。空中では足を踏ん張れない。俺の勝ちだ」
アーバは地面を蹴り、一気にマオに近づいていく。
「シールド」
「無駄だ。シールドごときで」
シールドはアーバとの間には出現しなかった。それは吹き飛ぶマオの頭上に出現する。
「なんだと」
マオは反転してシールドを足場に使い、迫ってくるアーバを迎え撃つ。
「六番 テン」
「負けるか」
マオとアーバは激しい撃ち合いになる。下方から追う形で飛んだアーバ。上方から足場を使い迎え撃つマオ。どちらの方が優勢かは明白だった。アーバは地面に向かって勢いよく吹き飛んでいく。
「シールド」
その言葉の意図をアーバは瞬時に理解できた。だが、間に合わない。アーバは受け身を取れないままシールドに叩きつけられる。追撃に備えようと瞬時に立ち上がり足を踏ん張った瞬間にシールドが消える。
「なんだと」
予想を超える魔法の使い方にアーバは翻弄される。
「ヘルフレイムホールド」
設置型で動かせない代わりに威力が高い魔法だ。本来ならあてるのが困難な魔法だが、発動されたのはアーバの下方。当たらない訳が無い状況だった。覚えた魔法の中から状況に応じた一番適切な魔法を選択する。魔法に関しても努力を怠らなかったマオゆえに辿り着いたものだろう。
「俺は負けねえ。まだ負けてねえ」
アーバは空中から火球に向かって拳を放つ。その拳は衝撃波を放ち魔法をかき消す。
「流石アーバ。そんな君に昔から憧れていた。そんな君に勝ちたい」
お互いに着地して状況は振り出しに戻る。再び苛烈な撃ち合いが始まった。 だが、気持ちで強さは変化しない。一回目の撃ち合い同様にマオが押されていく。その状況にアーバは拳を止めて一歩後退する。
「マオ」
「何?」
「どうしてアビスを使わない? このままなら俺が勝つぞ」
その質問にマオは少し困ってしまう。マオは自分のアビスを多少は理解できていた。それ故に、アビスを使うのを躊躇していたのだ。
「俺だってアビスを使ってる。俺が戦いたいのは本気のマオだ。アビスも含めてマオだろ」
「分かった。僕の本気をぶつけるよ」
僕に力を貸してください。
心の中でマオは唱える。数秒後、マオの目つきが変わった。
「これが僕の本気だ」
始まった撃ち合いは一方的なものだった。マオの使う技は今までよりも更に速く、洗練されている。一つ一つの技が今までと比べられないほどの威力をもっていた。アーバの体に徐々に傷が増えていく。
「これがマオの本気か。だが、だからこそ挑む価値がある」
アーバの体が更に赤みを増す。傷からは血が吹き出し始める。
「これが俺の本気だ」
アーバが渾身の力を込めて正拳突きを放つ。それを受け止めたマオの剣は粉々に砕け散った。ここからが本番だと会場全体が思っていた。だが、アーバの体は限界だった。出血が酷く地面に向かって倒れていく。マオはすぐに体を抱きしめて倒れないように支えた。
「もっていけたのは剣だけか。マオの勝ちだ」
「勝者マオ」
アーバは教師によってすぐに回復魔法がかけられ、医務室に運ばれていく。
会場全体からの歓声が一人佇むマオを包むのだった。
0
あなたにおすすめの小説
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる
灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。
「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」
「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」
最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる