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第十二章
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「お前、何でアイツとキスしたの?」
夏樹が僕を怒ったように睨む。少し怖かった。
「可愛かったからって言ったら夏樹は怒るよね?」
「当たり前だろ! 自分の性別をいい加減自覚しろよ!! お前今は女なんだよ!!」
夏樹が起こる。僕は周りを見て少し慌てた。今は女だって言葉、人によっては面倒な捉え方するから本当は控えて欲しいけど、頭に血が上った夏樹はそこまで気が回らなかった。
「な、夏樹、ごめん、謝るから抑えて」
「はぁ!? 俺は冷静だよ!! てか、あいつが…………名前なんだっけ? えっと……」
「逢ちゃん」
「そう、そのアイって奴がお前の事好きになったらどうするんだよ!?」
「ならないでしょ? あの子、多分僕と性別無い理由が違うもん」
「どういう事だ?」
無性別者は幾つかパターンがある。
僕のように好きな人が居たら、その人の性別で自分の性別が決まるパターンがあるけど、逢の場合は身体的性別で決まるタイプみたいだ。本来、生まれた時に現れるはずの性別が、成長してもなかなか現れない。でも、ホルモンバランス的に性別が決定されているから、成長の過程でどちらかになる。
逢の場合は多分このパターンだ。
でも、これは少し問題があって。
自分の性別に強い違和感を持つようになるから心と身体で強いかい離が現れる。その為精神的な抵抗が強くなり性別が現れるのが遅くなる場合がある。……って中村先生が言っていた。
逢は多分、女の子になる。でも、心が男の子だからホルモンバランスが崩れて性別が現れにくくなっている。無性別者の性同一性障害。
自然界には両方の性別がある個体があるけど、脊椎動物まで進化した生物は必ずどちらかの性別にしかなれない。脳が処理できないからだとか、身体の負担が考えられるとか色々あるけど詳しくは分かっていない。
って言うのを夏樹に簡単に説明した。
僕もよく理解していないから。
「ふーん、俺らのとは少し違うんだな。てか、心の性が男なら俺らと同じように女好きになれば良いんじゃね?」
「はぁ、夏樹は本当に無性別者だったの?」
「あっ!?」
夏樹が少し苛立って居る。
「良い? ひとつの身体に女の子と男の子が居るんだよ? どっちの心もあるんだから反発し合うでしょ? 片方だけ現れようなんて、片方を殺そうとするものなの。それだと、選ばれなかった方は生きようと自分が先になるようにするでしょ?」
「……お、おぉ」
「理解してる?」
「うっ、あまり……」
「正直だね」
「おう!」
「夏樹のそういう所好きだよ」
「俺もヒバリの事大好きだぞ」
「うーん、要らない」
「え?」
「えへへ」
夏樹とこういう会話って僕、結構好きなんだよね。
すっごく自然体で話せるし、気兼ねなく本音言えるし、それに好きってお互いに分かっているから、裏切らないっていうのは心から安心する。
「嘘だよ。可愛いなぁ、夏樹のそう言う拗ねた所」
「はぁ!? 可愛いくねぇし!! てか、男に可愛いとかキモイだろ?」
「え、キモくないよ」
「キモイ」
「キモくない」
「キモイ」
「キモくない」
「キモイ」
「好き」
「はぁ!?」
「ええ、引っ掛からなーい!!」
「お前、最近俺で遊んでないか?」
「ばれた?」
「おう」
そっか、バレていたかー。
「……なんだよ、急に手なんか繋いで」
「うん? 一緒に教室まで行こうって思って」
「いつも行ってるだ?」
「今日は何か特別」
「何だよそれ」
「えへへ」
夏樹が僕を怒ったように睨む。少し怖かった。
「可愛かったからって言ったら夏樹は怒るよね?」
「当たり前だろ! 自分の性別をいい加減自覚しろよ!! お前今は女なんだよ!!」
夏樹が起こる。僕は周りを見て少し慌てた。今は女だって言葉、人によっては面倒な捉え方するから本当は控えて欲しいけど、頭に血が上った夏樹はそこまで気が回らなかった。
「な、夏樹、ごめん、謝るから抑えて」
「はぁ!? 俺は冷静だよ!! てか、あいつが…………名前なんだっけ? えっと……」
「逢ちゃん」
「そう、そのアイって奴がお前の事好きになったらどうするんだよ!?」
「ならないでしょ? あの子、多分僕と性別無い理由が違うもん」
「どういう事だ?」
無性別者は幾つかパターンがある。
僕のように好きな人が居たら、その人の性別で自分の性別が決まるパターンがあるけど、逢の場合は身体的性別で決まるタイプみたいだ。本来、生まれた時に現れるはずの性別が、成長してもなかなか現れない。でも、ホルモンバランス的に性別が決定されているから、成長の過程でどちらかになる。
逢の場合は多分このパターンだ。
でも、これは少し問題があって。
自分の性別に強い違和感を持つようになるから心と身体で強いかい離が現れる。その為精神的な抵抗が強くなり性別が現れるのが遅くなる場合がある。……って中村先生が言っていた。
逢は多分、女の子になる。でも、心が男の子だからホルモンバランスが崩れて性別が現れにくくなっている。無性別者の性同一性障害。
自然界には両方の性別がある個体があるけど、脊椎動物まで進化した生物は必ずどちらかの性別にしかなれない。脳が処理できないからだとか、身体の負担が考えられるとか色々あるけど詳しくは分かっていない。
って言うのを夏樹に簡単に説明した。
僕もよく理解していないから。
「ふーん、俺らのとは少し違うんだな。てか、心の性が男なら俺らと同じように女好きになれば良いんじゃね?」
「はぁ、夏樹は本当に無性別者だったの?」
「あっ!?」
夏樹が少し苛立って居る。
「良い? ひとつの身体に女の子と男の子が居るんだよ? どっちの心もあるんだから反発し合うでしょ? 片方だけ現れようなんて、片方を殺そうとするものなの。それだと、選ばれなかった方は生きようと自分が先になるようにするでしょ?」
「……お、おぉ」
「理解してる?」
「うっ、あまり……」
「正直だね」
「おう!」
「夏樹のそういう所好きだよ」
「俺もヒバリの事大好きだぞ」
「うーん、要らない」
「え?」
「えへへ」
夏樹とこういう会話って僕、結構好きなんだよね。
すっごく自然体で話せるし、気兼ねなく本音言えるし、それに好きってお互いに分かっているから、裏切らないっていうのは心から安心する。
「嘘だよ。可愛いなぁ、夏樹のそう言う拗ねた所」
「はぁ!? 可愛いくねぇし!! てか、男に可愛いとかキモイだろ?」
「え、キモくないよ」
「キモイ」
「キモくない」
「キモイ」
「キモくない」
「キモイ」
「好き」
「はぁ!?」
「ええ、引っ掛からなーい!!」
「お前、最近俺で遊んでないか?」
「ばれた?」
「おう」
そっか、バレていたかー。
「……なんだよ、急に手なんか繋いで」
「うん? 一緒に教室まで行こうって思って」
「いつも行ってるだ?」
「今日は何か特別」
「何だよそれ」
「えへへ」
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