姫系アイドルアイドル男子と砂糖系男子が恋する話し

なよ。

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第四章

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 「おかえりなさいませ領主様」
 アリスはそう言って男性領主様のジャケットを受け取る。そしてお手拭きをお渡しする。領主様が手を拭くのを待ってから料金の説明とドリンクの飲み放題を説明して、何を最初にお飲みになるか聞く、この時間だから最初はカクテルを注文する人が多い。有住オリジナルを注文してくれて、アリスも嬉しくってウキウキでキッチンに戻る。
 「あれで男の子なんですか?」
 領主様は同僚の領主様に聞く。
 「良いだろ? 歌舞伎町で遊ぶのも」
 「ホストより予算内で遊べるって最高ですね。男同士だから浮気でもないし」
 「そーそー遊んでも嫁に怒られない。最高だろ」
 そんな会話が聞こえた。そう、色々楽しみに来られる領主様がいる。いろんな楽しみ方があって、そう言うのもある。女の子が男装カフェで遊ぶみたいなもので、あくまで同性同士だから変な雰囲気にもならないし、お触りもない。純粋に楽しめるし、繋がることもない。ホストと繋がってもそう言う関係にならないけど、コンカフェはもっと安心できる。そもそも繋がること自体がNGだから高校生でも安心して働ける。働けるけど………。アリスは給仕途中でおしりを触られた。まぁ、同性だから何とも感じないけど、嫌なものは嫌だ。
 「領主様、お触りは禁止ですよ」
 「おっと失礼」
 「えへへへ、次やったら出禁ですよ」
 最後は少しドスのきいた声で言った。
 「すいません」
 お触りした領主様が少し青ざめていた。アリスが通り過ぎると(やっぱり男だな、迫力があった)と話しているのが聞こえた。内緒話ってよく耳に入るから面白い。
 「お待たせしました」
 「君大丈夫だった? 触られていたよね」
 (ああ、気づいていても言わないで欲しい)
 男ってなんでこうデリカシーないのかな。あ、僕も男か。
 「大丈夫ですよ、ありがとうございます領主様、優しいですね」
 笑顔で対応してカクテルをお出しする。言外にその話題もうするなよって圧も加える。
 「アリスは何歳なの?」
 「16です」
 「じゃあ、高2」
 「ですです」
 「息子と同じか」
 「えーそうなんですか」
 なんか女の定型文みたいな返しになちゃった。だってどういう返しがいいんだよ。息子と同じって言われて嬉しい? 複雑でしょ?
 向かい側の領主様に話変えよう。
 「領主様は普段こういうところ来るんですか?」
 「いや、僕は東京自体が初めてなんだ」
 「え、そうなんですか?」
 「うん、愛知から出てきたばかっりで」
 「え、愛知って都会じゃないですか。それこそコンカフェとかキャバクラとかありそうなのに」
 「名古屋ならね、僕はもっと田舎の、田んぼばっかりのところだったから」
 「え、そうなんですか。ちなみに僕、福島の田舎です」
 「え、どの辺」
 「新潟寄りの方」
 「あーね」
 多分、福島の地理詳しくないんだろうな。新潟の場所は知っていても東北の福島の位置って南側の人ってピンとこないし、僕も愛知の位置微妙。静岡の近くかなってぐらいで、地域が違うと住んでない人間にとってはそんなものだから、愛知の田舎がどんな場所化は知らない。子供の本当に小さなころに愛知万博行ったことあるけど、海側の旅館に家族と留まったけど、あそこがどんな町だったのかよく分からない。けど海鮮は美味しかった。でも、お味噌は東北の方がおいしかった記憶がある。
 「先輩は新潟ですよね」
 「ん? ああ、そうだよ」
 「え、どのあたりなんですか」
 蚊帳の外にやられて少し不貞腐れ気味だった領主様が後輩領主様から話を振られて、機嫌が直った。
 「佐渡島だよ。本当に何もない島だし、太宰にも小説でボロクソ言われた田舎の島だ」
 「佐渡金山で有名な?」
 「あ、んん、そうそう」
 「僕あれやってみたくて、砂金採り」
 「ああ、いいよね。あと温泉もあるよ」
 そう言ってスマホで地元のおすすめの温泉を見せてもらった。田舎の小さな場所で穴場って感じだった。
 「ふんふん、ここね」
 思わず近づいてしまった。領主様の鼻息が少し荒くなる。
 「あ、すいません!」
 「いや、大丈夫」
 「いついけるかな、夏休み……」
 「本当に行くの?」
 「え? 夏休みだけど、行く予定ですよ。お金貯めて、日帰りかな、地元近いから」
 「一緒に行くか?」
 「……領主様、説明した通りそういうのはNGですよ。ホストじゃないんだから」
 「あ、すまん」
 領主様は本当に下心なしで言ってしまったみたいだ。いや、あったけどいやらしいこととしてじゃなくって、単純に純粋に、そういう事で言ってしまったみたいだ。
 デートとして……。
 出禁にするほどじゃないけど気を付けないと。


 「また来てね、領主様」
 「ああ、楽しかった」
 「またねアリス」
 ふたりの領主様はそう言って手を振る。
 「いや、良かったな。また来よう」
 「男の娘ジャンル初めて嵌りそう」
 ふたりの領主様はそう言いながら帰って行く。アリスの敬語だが親しくなるとついタメ口になるのもポイント高くなり、先輩領主様はそれが可愛く思えて、後輩領主様は同級生と話しているみたいで打ち解けやすかった。田舎出身同士であり、愚痴も言えるのがよかったし、16だから18の後輩領主様とは年も近いのも良かった。それに年下のあの女の子にしか見えない姿もギャップがあって良かった。男はどうしてもギャップに弱い生き物だ。
 「キャバクラと違って繋がれないのが辛いな」
 「そっすね、DM欲しい」
 「Xっで我慢すっか」
 と言っても個人Xは紹介されていない。あくまでお店のアカウントだけだ。風営法辛い。
 「そう言えば、あの子、アイドルしているって噂が………」
 検索するとアイドルグループがヒットした。めちゃくちゃビジュアルがいいメンバーだった。男でも惚れるようなメンズアイドルだ。
 「新しい扉開きそうだ」
 「先輩、同性でも恋したら浮気っすよ」
 「そうだよなー、いや、恋しねーよ!」
 良い領主様だった。
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