S/T/R/I/P/P/E/R ー踊り子ー

誠奈

文字の大きさ
152 / 369
第13章   Life

13

しおりを挟む
 「じゃあ、俺行くわ。悪かったな、時間取らせて」

 俺が服を着終えるのを、ステージ下で両腕を組んで待っていた翔真に向かって軽く頭を下げる。恋人とはいえ、一応・・は支配人だから、そこら辺の区別はキッチリ付けておきたい。

 「ああ、構わねぇよ。それより智樹……」

 ステージから飛び降りようとした俺の手を、翔真の手が掴む。

 「なに……?」

 振り向いた時には、もう俺の身体は翔真の腕の中で……。顎にかかった指で顔を持ち上げられると、翔真の唇が俺の唇を塞いでいた。

 「なっ、なんだよ、いきなり……」

 キスをされたことにじゃない、翔真にしては珍しく大胆な行動に驚いた俺は、咄嗟に翔真の腕から逃れ出ると、熱くなった顔で辺りを見回した。
 別に、俺と翔真がそういう関係だってことは、劇場関係者の中では周知の事実だし、今更誰に見られたって知ったこっちゃねぇ。

 でもそれは俺自身のことであって、翔真はそうじゃない。支配人である以上、立場ってもんがあるだろうから……

 「くく、誰も見てやしねぇよ」
 「で、でも……」

 言いかけた俺の言葉が再び翔真の唇に塞がれ、強引に割り入って来る舌先の熱さに、腰が崩れ落ちそうになる。頭の芯がボンヤリとして、自然と身体が火照って……
 もっと……と、これ以上はダメだって分かってるのに、我儘な俺はつい強請ってしまいそうになる。
 だから……かな、ゆっくりと唇が離れて行った時、やたらと寂しさが胸に溢れて、俺は翔真のシャツをキュッと掴んでいた。

 「続きは家に帰ってからな?」
 「約束だかんな?」
 「ああ、今夜ば寝かせてやんねぇから、覚悟しとくんだな」

 シャツを掴んだ俺の手をやんわりと解き、キザなウィンクを一つして俺の背中を押した。

 「ぜってーだかんな?」
 「分かった分かった。 ほら、早く行かねぇと、雅也の雷が落ちるぞ」
 「やべっ……。アイツさ、優しい顔してるくせに、怒ると超怖ぇーんだよな……」

 俺は肩を竦めてみせると、翔真に向かって手を振りながら出口のドアを開いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

処理中です...