18 / 32
18
しおりを挟む
許せない。
僕の兄様を誑かした、和人君が憎い。
和人君さえ表れなければ、兄様は僕だけの兄様だったのに……
和人君がいなくなれば……
僕は父様にお願いして、相原さんを屋敷の使用人として雇って貰うことにした。
元々僕には滅法甘い父様だから、僕の頼みだからとすぐに受け入れてくれた。
相原さんが傍にいれば、和人君が心変わりする……と、僕はそう思っていた。
でも現実は違った。
和人君は兄様から遠ざかるどころか、それまで以上に兄様のお部屋に通い詰めるようになった。
僕はもう限界だった。
兄様に会えない寂しさも……
兄様に触れて貰えないことも……
兄様に愛されないことも……
僕は心に空いてしまった大きな穴を埋めて欲しくて、深夜松下の部屋の扉を叩いた。
「こんな時間にどうなさいました?」
松下の顔を見た途端、貪るように唇を重ねた僕を、松下は黙って受け入れてくれた。
「今だけ……、今夜だけでいいから、僕を抱いて……」
僕は寝巻を脱ぎ去ると、松下の寝巻の襟元に手をかけた。
「これ以上はいけません。私が翔真様に叱られます」
松下は僕の手をやんわりと払うと、僕の肩に寝巻の上をかけた。
「どうして? 兄様も松下も、どうして僕を見てくれないの? どうして僕だけを愛してくれないの?」
どうして、どうして……!
和人君が屋敷に住まうようになってからずっと抑え込んでいた感情が、堰を切ったように次々に口から溢れる。
「僕がこんなにも求めてるのに……、どうして? そんなに僕は悪い子なの? 教えてよ、ねぇ、松下……」
僕は涙に濡れた顔を、松下の胸に埋めた。
僕の兄様を誑かした、和人君が憎い。
和人君さえ表れなければ、兄様は僕だけの兄様だったのに……
和人君がいなくなれば……
僕は父様にお願いして、相原さんを屋敷の使用人として雇って貰うことにした。
元々僕には滅法甘い父様だから、僕の頼みだからとすぐに受け入れてくれた。
相原さんが傍にいれば、和人君が心変わりする……と、僕はそう思っていた。
でも現実は違った。
和人君は兄様から遠ざかるどころか、それまで以上に兄様のお部屋に通い詰めるようになった。
僕はもう限界だった。
兄様に会えない寂しさも……
兄様に触れて貰えないことも……
兄様に愛されないことも……
僕は心に空いてしまった大きな穴を埋めて欲しくて、深夜松下の部屋の扉を叩いた。
「こんな時間にどうなさいました?」
松下の顔を見た途端、貪るように唇を重ねた僕を、松下は黙って受け入れてくれた。
「今だけ……、今夜だけでいいから、僕を抱いて……」
僕は寝巻を脱ぎ去ると、松下の寝巻の襟元に手をかけた。
「これ以上はいけません。私が翔真様に叱られます」
松下は僕の手をやんわりと払うと、僕の肩に寝巻の上をかけた。
「どうして? 兄様も松下も、どうして僕を見てくれないの? どうして僕だけを愛してくれないの?」
どうして、どうして……!
和人君が屋敷に住まうようになってからずっと抑え込んでいた感情が、堰を切ったように次々に口から溢れる。
「僕がこんなにも求めてるのに……、どうして? そんなに僕は悪い子なの? 教えてよ、ねぇ、松下……」
僕は涙に濡れた顔を、松下の胸に埋めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募するお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる