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第6章 007
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立てた二本の人差し指を、翔真からの合図だと思った智樹は、スッと息を吸い込んだ。
「11時頃だったと思う。多分だから、正確なこと分かんねぇけど、大体そんなもんだった筈だ」
ぶっきらぼうな口調はそのままに、真っ直ぐに自分を見つめてくる黒瀬に向かって言うが、智樹にしてみれば、一切ぶれることなく向けられた黒瀬の視線が、まるで自分を疑っているようにも見えたのかもしれない。
尤も、実際黒瀬はこれまでの経験上、弘行は事故死や自然死などではなく、他殺だと判断しているのだから、当然「000号室」にいる〝誰か〟が弘行殺しの犯人だと信じて疑わない。
それを智樹は、持ち前の野性的勘で見抜いたのかもしれない。
「そうですか。では、あの方も一緒に?」
黒瀬の視線が、翔真に向けられた。
でもそれはほんの一瞬のことで、黒瀬はすぐに智樹の方に向き直った。
「まあ……な」
「では、お二人にお聞きします。お二人がこの部屋に入られた時、又は入ろうとした特誰か不審な人物を見かけたり、擦れ違ったりはしませんでしたか?」
「そ、そんなこといちいち覚えてねぇよ。なあ?」
「え……? ああ、多分誰とも擦れ違わなかった……と思う、です」
突然同意を求められ、翔真は一つ大きく頷くと、いかにも自信なさげな口調で言った。
「11時頃だったと思う。多分だから、正確なこと分かんねぇけど、大体そんなもんだった筈だ」
ぶっきらぼうな口調はそのままに、真っ直ぐに自分を見つめてくる黒瀬に向かって言うが、智樹にしてみれば、一切ぶれることなく向けられた黒瀬の視線が、まるで自分を疑っているようにも見えたのかもしれない。
尤も、実際黒瀬はこれまでの経験上、弘行は事故死や自然死などではなく、他殺だと判断しているのだから、当然「000号室」にいる〝誰か〟が弘行殺しの犯人だと信じて疑わない。
それを智樹は、持ち前の野性的勘で見抜いたのかもしれない。
「そうですか。では、あの方も一緒に?」
黒瀬の視線が、翔真に向けられた。
でもそれはほんの一瞬のことで、黒瀬はすぐに智樹の方に向き直った。
「まあ……な」
「では、お二人にお聞きします。お二人がこの部屋に入られた時、又は入ろうとした特誰か不審な人物を見かけたり、擦れ違ったりはしませんでしたか?」
「そ、そんなこといちいち覚えてねぇよ。なあ?」
「え……? ああ、多分誰とも擦れ違わなかった……と思う、です」
突然同意を求められ、翔真は一つ大きく頷くと、いかにも自信なさげな口調で言った。
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