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第8章 009
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相思相愛だと思っていた岸本に裏切られたショックからか、相原の目尻にはジワジワと熱いものが浮かび始めたが、相原はそれが毛足の長いカーペットを濡らす前に握ったままの拳で拭った。
「済まないが警察を呼んでくれないか」
相原が項垂れたまま言う。
「それは、自首する……と言うことで宜しいですか?」
黒瀬が〝自首〟と口にしたことで、慌てたのは岸本だ。
「ちょっとアンタ何考えてんだよ……。つか、俺は関係ないから……」
岸本は相原の肩を掴むと乱暴に揺すったかと思うと、今度は思い切り突き放し、ズカズカと足音を鳴らして
部屋の入り口へと向かった……が、ドアノブを握ったところでドアが開かないことに気付き、一つ舌打ちをした。
その間にも黒瀬は自身のスマホを手に、どこかに電話をかけ始め……
「……っだよ、クソッ!」
岸本は苛立ち紛れにドアを一蹴りし、その場に胡座をかいて座り込んだ。
「いいか、俺は何もしてねーかんな!」
何とも往生際の悪い男だ。
その岸本に対し、勿論黒瀬だって黙ってはいない。
翔真の手を借りながら相原をソファに座らせ、耳元で何やら小声で囁くと、続けて岸本の肩を軽く叩いた。
「確かに、貴方は人を殺してはいません。ですが、横領の罪を逃れることは出来ないし、偽装誘拐に関しても同様にです」
少しだけ強い口調で諌めた。
そして相原にしたのと同じように、岸本の耳元に口を寄せると、やはり小声で何かを囁きかけ、それから漸くソファに腰を下ろした。
「済まないが警察を呼んでくれないか」
相原が項垂れたまま言う。
「それは、自首する……と言うことで宜しいですか?」
黒瀬が〝自首〟と口にしたことで、慌てたのは岸本だ。
「ちょっとアンタ何考えてんだよ……。つか、俺は関係ないから……」
岸本は相原の肩を掴むと乱暴に揺すったかと思うと、今度は思い切り突き放し、ズカズカと足音を鳴らして
部屋の入り口へと向かった……が、ドアノブを握ったところでドアが開かないことに気付き、一つ舌打ちをした。
その間にも黒瀬は自身のスマホを手に、どこかに電話をかけ始め……
「……っだよ、クソッ!」
岸本は苛立ち紛れにドアを一蹴りし、その場に胡座をかいて座り込んだ。
「いいか、俺は何もしてねーかんな!」
何とも往生際の悪い男だ。
その岸本に対し、勿論黒瀬だって黙ってはいない。
翔真の手を借りながら相原をソファに座らせ、耳元で何やら小声で囁くと、続けて岸本の肩を軽く叩いた。
「確かに、貴方は人を殺してはいません。ですが、横領の罪を逃れることは出来ないし、偽装誘拐に関しても同様にです」
少しだけ強い口調で諌めた。
そして相原にしたのと同じように、岸本の耳元に口を寄せると、やはり小声で何かを囁きかけ、それから漸くソファに腰を下ろした。
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