君の声が聞きたくて

第１３章 coda

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　Tシャツの裾を捲り上げ、華奢に見えて実は引き締まった身体を明かりの元に晒しす。けど、智樹はやっぱり瞼を閉じたままで……

　「綺麗だよ、智樹」

　瞼の端にキスをしてやると、長い睫毛がピクリと震えた。
　そして智樹の唇が、一文字ずつ、確実に俺に伝わるように動いた。

　『う・そ』
　「嘘じゃないよ、本当に綺麗だよ」

　男の身体に綺麗なんて表現は相応しくない、ってずっと思っていた。でも今目の前にある智樹の身体は、そんな俺の考えを根底からひっくり返すくらいに綺麗で……

　決して筋肉質になり過ぎない、均整の取れた腹筋に触れてみると、今度はその肌の滑らかさに驚かされた。

俺は智樹の肌を撫でながら、膨らみを持たない二つの胸先を口に含んだ。女性のように主張的ではないそこを、舌先で転がしながら残る一つを指で摘んでやると、一瞬智樹の首が仰け反り、シーツを握る指に力が入った。

　「ここ、感じるの？」

　俺が聞くと、聞いてくれるなとばかりに顔を背けてしまうから、可愛くて堪らない。

　「シャツ、脱ごうか」

　うん……、と頷いた智樹の上体を起こし、智樹の身体からシャツを抜き取って、羞恥に赤くなった頬に口付けながら、再びベッドに智樹の身体を沈める。
　その時、不意に智樹の手が伸びて来て、俺の胸先を指でキュッと摘んだ。

　「えっ、あっ……」

　不意打ちとも言える行為に、予想もしていなければ、心の準備すらしていなかった俺の口からは堪らず声が漏れ、おそらく初めて感じるであろう甘い刺激に身体が震えた。

　そしてその甘い刺激は、痺れるような感覚を伴いながら、俺の下半身に鈍い痛みをもたらした。
　ゆったり目のパンツを履いているにも関わらず、次第に窮屈さを感じて行くそこに、当然智樹が気付かないわけがなく……

　「あ、ちょっ、くっ……」

　胸元から這い降りた指がその部分を通った瞬間、俺は両手をベッドに着いて、前屈みの格好になった。
　そんな俺を、悪戯っぽ笑いを浮かべながら見上げる智樹の指は、俺の敏感な部分を行ったり来たりを繰り返し……

　『見せて？』

　言われて、俺はその言葉の意味を聞き返すこともなく、頷いていた。