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第15章 diminish
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彼女との電話を終えた俺は、PCを立ち上げた。
色々あり過ぎて、泊まる筈だったホテルにキャンセルの連絡を入れるのを、すっかり忘れていたことを思い出した。
本来なら直接謝罪の連絡を入れるべきなんだろうが、電話をかける気にもなれず、ホームページ上でやり取りを済ませた。当然のように100%のキャンセル料を請求されたが、こちらの一方的な都合だから、それもやむを得ないだろう。
最後に振込先の確認を済ませて、PCの電源を落とした。
「はあ……、疲れた」
体力には割と自信がある方だから、身体に感じる疲労は殆ど感じない。
なのに何もしたくないし、考えられないのは、きっと色んなことが一遍に起こり過ぎたせいだ。
じゃなきゃ、普段どれだけ仕事が忙しくたって疲れたなんて思ったこともないのに、ここまでの疲労を感じる筈がない。
本当はベッドで横になった方が良いんだろうけど、智樹が残していった香りを嗅いでしまったら、また涙が零れそうだからと、ソファに深く身体を沈め固く瞼を閉じた。
明るいうちに借りた車を返しに行きたいところだけど、夕方でも問題はない。
今はとにかく休みたい。
足も満足に伸ばせないソファの上で身体を丸めると、俺は引き込まれるように眠りの中へと落ちて行った。
夢を……見ていた。
その場所がどこなのかは分からないが、夢の中で智樹は歌を唄っていた。
とても綺麗な……、そうだな例えるならば、そよ風のような、とても澄んだ声で唄っていた。
ああ、この声だ……、俺がずっと聞きたいと願い、焦がれ続けた智樹の声……
漸く聞けた喜びに心が打ち震える。
なのに胸が苦しくなるのは何故だろう。
ああそうか、泣いてるんだ。
痛い……、苦しい……って、声が泣いているんだ。
「泣かないで」
涙一粒も流さず、ただただ声を震わせる智樹を抱き締めようと、腕を伸ばした。
でもその腕に智樹を抱くことなく、俺は夢から醒めた。
泣いていたのは、俺だった……。
色々あり過ぎて、泊まる筈だったホテルにキャンセルの連絡を入れるのを、すっかり忘れていたことを思い出した。
本来なら直接謝罪の連絡を入れるべきなんだろうが、電話をかける気にもなれず、ホームページ上でやり取りを済ませた。当然のように100%のキャンセル料を請求されたが、こちらの一方的な都合だから、それもやむを得ないだろう。
最後に振込先の確認を済ませて、PCの電源を落とした。
「はあ……、疲れた」
体力には割と自信がある方だから、身体に感じる疲労は殆ど感じない。
なのに何もしたくないし、考えられないのは、きっと色んなことが一遍に起こり過ぎたせいだ。
じゃなきゃ、普段どれだけ仕事が忙しくたって疲れたなんて思ったこともないのに、ここまでの疲労を感じる筈がない。
本当はベッドで横になった方が良いんだろうけど、智樹が残していった香りを嗅いでしまったら、また涙が零れそうだからと、ソファに深く身体を沈め固く瞼を閉じた。
明るいうちに借りた車を返しに行きたいところだけど、夕方でも問題はない。
今はとにかく休みたい。
足も満足に伸ばせないソファの上で身体を丸めると、俺は引き込まれるように眠りの中へと落ちて行った。
夢を……見ていた。
その場所がどこなのかは分からないが、夢の中で智樹は歌を唄っていた。
とても綺麗な……、そうだな例えるならば、そよ風のような、とても澄んだ声で唄っていた。
ああ、この声だ……、俺がずっと聞きたいと願い、焦がれ続けた智樹の声……
漸く聞けた喜びに心が打ち震える。
なのに胸が苦しくなるのは何故だろう。
ああそうか、泣いてるんだ。
痛い……、苦しい……って、声が泣いているんだ。
「泣かないで」
涙一粒も流さず、ただただ声を震わせる智樹を抱き締めようと、腕を伸ばした。
でもその腕に智樹を抱くことなく、俺は夢から醒めた。
泣いていたのは、俺だった……。
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