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第21章 loco
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松下とは帰る方向が同じだから、最寄り駅までの道程をトボトボと並んで歩く。
とは言っても終電の時間はとっくに過ぎているし、タクシーだって、勿論バスだって通りゃしない。
となると、駅までは当然徒歩で向かうことを余儀なくされ、駅のロータリーで客待ちをしているタクシーを利用する以外、寒さに凍えることなく帰宅する術はないんだが……
それにしても駅までが遠い!
「この分だと、駅に着く前に凍えてしまいそうだな」
歯をカチカチと鳴らしながら俺が言うと、寒さで表情を強ばらせた松下が、まるで誰のせいだと言わんばかりに俺を睨み付ける。
それには流石の俺も返す言葉もなく、首に巻いていたマフラーを解くと、少し背の高い松下の首に回した。
「これでも無いよりましだろ?」
「い、いいよ……」
松下は直ぐにマフラーを外そうとしたが、俺は強引に松下の首にマフラーを巻き付けた。
「お前、明日も仕事だろ?」
「ま、まあ、そうだけど……」
「大事な会議があるんだから、風邪なんてひいてられないだろ?」
松下は俺のことを考えて週末のこの日を選んでくれたんだろうけど、新たにプロジェクトの責任者を任された松下はそうはいかない。
系列の子会社は勿論のこと、施工会社やそこに携わる企業の中には、週末も関係なく動いている会社だってあるわけで……
その日が丁度明日なわけで……
大袈裟かもしれないが、松下にとっては今後の社内での立場を決めるチャンスでもある。
比べて俺はと言えば、粗方の荷物は新居に送ったし、後やることと言ったら部屋の掃除くらいのもんで、それだって大半は業者任せだから、掃除の苦手な俺がする必要はない。
つまり、簡単に言えば《暇》ってわけだ。
大事な会議を控えた松下と、特にすることもない暇人の俺。どちらを優先すべきかは、考えるまでもない。
「でもいつ返せるか分かんないよ?」
「ばか、いつでも良いよ。それより急ごうぜ? このままじゃマジで凍えちまう」
俺が大袈裟に肩を竦めて見せると、松下は片方の手袋を外し、俺に差し出して来た。
「これでちょっとは暖かいでしょ?」と、気障ったらしくウインクをしながら……
とは言っても終電の時間はとっくに過ぎているし、タクシーだって、勿論バスだって通りゃしない。
となると、駅までは当然徒歩で向かうことを余儀なくされ、駅のロータリーで客待ちをしているタクシーを利用する以外、寒さに凍えることなく帰宅する術はないんだが……
それにしても駅までが遠い!
「この分だと、駅に着く前に凍えてしまいそうだな」
歯をカチカチと鳴らしながら俺が言うと、寒さで表情を強ばらせた松下が、まるで誰のせいだと言わんばかりに俺を睨み付ける。
それには流石の俺も返す言葉もなく、首に巻いていたマフラーを解くと、少し背の高い松下の首に回した。
「これでも無いよりましだろ?」
「い、いいよ……」
松下は直ぐにマフラーを外そうとしたが、俺は強引に松下の首にマフラーを巻き付けた。
「お前、明日も仕事だろ?」
「ま、まあ、そうだけど……」
「大事な会議があるんだから、風邪なんてひいてられないだろ?」
松下は俺のことを考えて週末のこの日を選んでくれたんだろうけど、新たにプロジェクトの責任者を任された松下はそうはいかない。
系列の子会社は勿論のこと、施工会社やそこに携わる企業の中には、週末も関係なく動いている会社だってあるわけで……
その日が丁度明日なわけで……
大袈裟かもしれないが、松下にとっては今後の社内での立場を決めるチャンスでもある。
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つまり、簡単に言えば《暇》ってわけだ。
大事な会議を控えた松下と、特にすることもない暇人の俺。どちらを優先すべきかは、考えるまでもない。
「でもいつ返せるか分かんないよ?」
「ばか、いつでも良いよ。それより急ごうぜ? このままじゃマジで凍えちまう」
俺が大袈裟に肩を竦めて見せると、松下は片方の手袋を外し、俺に差し出して来た。
「これでちょっとは暖かいでしょ?」と、気障ったらしくウインクをしながら……
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