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第23章 passionato
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理解して欲しいわけじゃない、ただこういう人間もいるんだってことを、分かって欲しかった。
そんな俺の思いが通じたのか、上杉が俯いていた顔を上げると、小さく笑った。
「やっぱ納得はいかないっすよ。ただ、好きになったのがたまたまその人だった……ってのは、何か分かる気がする」
「うん」
それでいい。今はそれだけで十分だ。
「もう一つだけ聞いても良いっすか?」
「ん? うん」
「兄貴は今でもその人のことを?」
「どうだろうな……」
見切りを付けなくてはと思いながら、今の今まで智樹への未練を断ち切れすにいることを考えれば、やっぱりまだ好きなんだと思う。
ただ、以前のような、会いたくて会いたくて、智樹のことを想うだけで涙が溢れるような、そこまでの感情は、今の俺にはない。
「会いたいとか、思わないんすか?」
「そりゃ会いたいよ。元気にしてるかなとか、やっぱり考えてしまうからね」
「なのに自分からは会いに行かないんすか?」
「それは……」
これまでだって何度も考えた。
もしかしたら智樹は俺を待っているんじゃないか……
だとしたら俺から会いに行った方が良いんじゃないか、って。
でもその度に、相原さんと交わした約束が足枷となって、俺を足止めした。
智樹がいつか自分の足で歩けるようになるまで、その時まで俺は智樹には会わないと、そう心に決めたんだ。
その誓いを破ることは、相原さんとの約束をも反故にすることになる。それだけは絶対に出来ない。
「まだ惚れてんですよね? そのくせに会いたいのに会わないとか、それっておかしくないっすか?」
「え?」
「俺だったら、そこまで惚れた相手がいんなら、どんな深い事情があったとしても、会いたいって気持ちを優先しますけどね」
俺だって、出来ることならそうしたかったし、今だってそうしたいと思ってる。
「でも……」
「もしかして怖い……とかじゃないっすよね?」
「え?」
俺が、何を怖がってるっ……て?
そんな俺の思いが通じたのか、上杉が俯いていた顔を上げると、小さく笑った。
「やっぱ納得はいかないっすよ。ただ、好きになったのがたまたまその人だった……ってのは、何か分かる気がする」
「うん」
それでいい。今はそれだけで十分だ。
「もう一つだけ聞いても良いっすか?」
「ん? うん」
「兄貴は今でもその人のことを?」
「どうだろうな……」
見切りを付けなくてはと思いながら、今の今まで智樹への未練を断ち切れすにいることを考えれば、やっぱりまだ好きなんだと思う。
ただ、以前のような、会いたくて会いたくて、智樹のことを想うだけで涙が溢れるような、そこまでの感情は、今の俺にはない。
「会いたいとか、思わないんすか?」
「そりゃ会いたいよ。元気にしてるかなとか、やっぱり考えてしまうからね」
「なのに自分からは会いに行かないんすか?」
「それは……」
これまでだって何度も考えた。
もしかしたら智樹は俺を待っているんじゃないか……
だとしたら俺から会いに行った方が良いんじゃないか、って。
でもその度に、相原さんと交わした約束が足枷となって、俺を足止めした。
智樹がいつか自分の足で歩けるようになるまで、その時まで俺は智樹には会わないと、そう心に決めたんだ。
その誓いを破ることは、相原さんとの約束をも反故にすることになる。それだけは絶対に出来ない。
「まだ惚れてんですよね? そのくせに会いたいのに会わないとか、それっておかしくないっすか?」
「え?」
「俺だったら、そこまで惚れた相手がいんなら、どんな深い事情があったとしても、会いたいって気持ちを優先しますけどね」
俺だって、出来ることならそうしたかったし、今だってそうしたいと思ってる。
「でも……」
「もしかして怖い……とかじゃないっすよね?」
「え?」
俺が、何を怖がってるっ……て?
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