君の声が聞きたくて

誠奈

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第24章  tempestoso

21

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 ……と、俺が優位に立てたのはそこまでで、あっという間に翔真さんの手へと渡った主導権に、俺は散々喘がされていた。


 それこそお互いの身体が繋がり合う時の、あの身を割くような痛みも薄れるくらいに……


 もう恥ずかしさなんて、これぽっちもなかった。
 ただただ翔真さんの手に、唇に……、まるで身体が記憶していたかのように、ピンポイントで俺を攻め立てて来る腰の動きに、俺はすっかり翻弄されていた。

 「もっと……、もっと翔真さんを感じさせて……」


 なんてさ……気付いたら自分から強請ったりしてさ……


 勿論、俺だって誰かの体温を直接身体の奥で感じるのは三年ぶりだし、ましてや男を受け入れるなんて、あの日以来のことだから、身体は初めてに近い状態なわけで、だからそれが気持ち良いのかなんて、正直全然分からない。


 でも翔さんと繋がってるんだ。
 漸く俺達は一つになれたんだ。

 そう思ったら凄く嬉しくて、幸せで……


 だって俺達が最後に身体を繋げた時は、お互い身も心もバラバラで、ただただ虚しさと悲しさしか感じなかった。
 あんな寂しさしか感じないセックスは、後にも先にもあの時の一回きり……だと思う。


 だからこそ、翔真さんの腕に抱かれている喜びを……
 翔真さんを、身体の一番深い場所で包める幸せを……

 俺は全身で感じたかった。


 そしてそれは翔真さんも同じで。
 髪や顎の先から落ちる汗に混じって、翔真さんの目から流れた雫が俺の頬にポツリと落ちるのを、呼吸さえままならない、徐々に薄れて行く意識の中で見つめていた。

 「智樹、愛してる」

 何度も何度も、俺の耳元で繰り返し囁かれる声を聞きながら……
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